第22話 クジャクの母②
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時はアドリエルが召喚される15年前の春。場所は猫の国。クジャク1歳の物語。
--- イズの都のマイヅル 視点 ---
再びお目に掛かれたこと大変嬉しゅうございます。
クジャクの母マイヅルでございます。
今宵も我が子クジャクの物語をお話しましょう。
前回のお話から季節は廻り再び【猫の国】に春が参りました。
嫡男クジャクも満一歳となられ、嬉しいことに健やかに成長しております。
ここからが私マイヅルと我が子クジャクとのお話しでございます。
遅ればせながら自己紹介をさせて頂きます。
私、名はマイヅル、歳は14、姉上より四つ年下の妹でございます。
姉上は母上似の白猫、私は父上似の黒猫、容姿も性格も正反対、おしとやかな姉上、おてんばな私、でもとても仲の良い姉妹でございました。
ですから姉上の悲報を聞くやいなや馳せ参じた次第でございます。
【イズの都】に参りまして早一年、姉上の忘れ形見のこの子に一方ならぬ愛情を注いでまいりました。
そして今、ケンビシ様と私は、ゆりかごで微睡むクジャクのもと、この子の生末を案じているのでございます。
ケンビシ:「クジャクは不憫な子じゃ。母を亡くし。ワシはこの子が不憫で不憫で仕方がない。
マイヅルよ、我が子の母になってはくれないか?」
あっぁーー私、この一年間ずっとこの言葉を待っていたのでしょうね。
若き君主様に恋焦がれていた少女時代、姉上と御結婚されたケンビシ様への馳せる思いを宥めてまいりました。
こんな形ではありますが、この願いが叶うなんて・・・あぁーー嬉しゅうございます。
マイヅル:「はい、謹んでお受け致します。
私、クジャクの為、ひいては【猫の国】の為、尽くす所存でございます」
ケンビシ:「かたじけない、我が妻とし大切にすることを約束しよう」
良い国は良い王によって治められます。
例にもれずケンビシ様も人徳と手腕に富んだ素晴らしいお方。
南の【イズの都】のケンビシ様。言わずと知れた【猫の国】の君主です。
北の【フジエダの都】のトワダ様。ケンビシ様の盟友にして、国の政策に革命をもたらした英雄です。
東の【オダの都】のムサシ様。剣豪であられ、東の守りの要であられます。
西の【イワタの都】のシシャク様。私の兄君であり、西の名君とうたわれた人格者です。
この若き猫武者達を中心に改革が行われ、【猫の国】は本当に住み良い国となりました。
姉上?姉上がお慕いしたケンビシ様を今度は私が支えてまいります。
少女だった私も妻となり母となりました。
姉上、どうか見守ってください。
マイヅル:「クジャク、今日から私が母ですよ」
ケンビシ:「クジャクよ、よかったな」
これまで幾度もこの子を抱っこしてまいりました。
オムツを替え、夜泣きするこの子をあやし、お世話をしてまいりました。
そして今、この子の母となって初めての抱っこでございます。
とても感慨深く、より愛おしく思うのでございます。
そして私は、着物の衿元を広げ乳房をクジャクに含ませるのです。
真似事とは言え母と子、【絆】を確かに感じるのでございます。
マイヅル:「穏やかないい子、ママですよぉ~よしよし・よしよし♪
クジャクは目元が姉上にそっくりねぇ~」
母上がよく歌ってくれた子守唄を口ずさみながら、この子をあやすのでございます。
だって私はクジャクの母なのですから。
この子を見つめるケンビシ様もとても御満悦な御様子。
姉上、クジャクのことはお任せ下さい。私が責任を持って育ててみせます。
私マイヅルと我が子クジャクとのお話しでございました。
では皆様方、今宵はここまでに致しとうござりまする。
読んでくれてありがとぉ~♪
また来てね♪