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不健康女の壮絶日記  作者: つき
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~元気が無いから何にもできぬ~

私は健康ではない。

本来人間にデフォルトで備わっているべき装備、元気が無いのだ。

前向きなはずの「元気があればなんでもできる」という言葉は、元気すらない私にとっては最高に苦痛の名言である。目に見えて痛ましく思われる程の病気ではなく、でも全くをもって健康児でもないという微妙な隙間を一生彷徨い続けては、健康ではない自分の身体を何度も痛めつけ、恨み、楽しそうで健康な友人を横目にベッドで蹲ってばかり。我ながら結構ウケる。


まず中学生の頃、私はスポーツが好きで勉強もそこそこに嗜むそれはそれは普通に健康な人間だった。自分で言うのも何だが結構器用だったため、テキトーな気分で入った部活でもそれなりに楽しくやっていた。勉強はそこまで出来ないものの、周りを見る能力に長けていたため、先生の推薦で学級委員も務めるという中々多忙な日々を送っていた。

ところが、そろそろ進路を考える時期だよね、という雰囲気が漂い始めた中学二年生の二学期、志半ばで体調を崩し、10代の眩しい青春を駆け抜けるはずだったはたちの今に至るまで、ズルズルとひたすら自分の体調の悪さに泣き続ける日々が続いている。

病名を名乗るほどの命に関わるものではないため、一旦はその話は置いておく。

と、いうことでおそらく皆さんは過ごしたことのない、私のしっちゃかめっちゃかな日常を、ここにお届けしたいと思う。







「あなたのアカウントへのアクセス権が取り消されました。」

埃を被りかけた大学のパソコンでメールのアプリにログインしようとしたとき、表示された言葉だ。

そういえば自分は、不健康すぎて大学に通えず退学したんだと言うことを思い出した。忘れてたわ。


自分の病気と体のことを大学に話した時に「配慮します」と宣っていたが無惨に砕け散り、「力になれなくて申し訳ない」と謎に情けをかけてくる人々の口にレジンを流し込んで固めてやろうと思った。


「学びはいつからでもリスタートできます。それはあなたの人生もです。」

そんなことを言われたくて大学に挑戦してみたのではない。私は普通になりたいだけだ。私のことを元気にスタートして躓いた可哀想なやつだと認定していることが伺えるのがなんとも苦しい。健康を既に手に入れている人に言われるものほど、惨めで腹のわたが煮えくり返る言葉はない。

まずは健康にならねば。泣きながら画面を閉じた夜中の3時26分、真っ白な壁を見つめて真っ黒な自分の先の人生に思いを馳せる。


助けますよ。味方ですよ。と言う態度を示してきた大人たちは見事に全員手を離してゆき、不健康な私のことを忘れて生きていく。『大人は案外最低で、思っているほど大人ではない。』

私が十四歳にして得た知見だ。


結局期待したら負け、希望持つから絶望が待ってるんだと言い聞かせて生きていくしかない。 行けたら行くは行かないし、大丈夫って言う時は大抵大丈夫じゃない。



我ながらなんてエッセイなんだこれは。




次回 『一生忘れない手のひら返し教師』お楽しみに。




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