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今日は外で遊ぶと母親に嘘をつき、外の誰も来ないようなところで鍛錬をしようとしたが、思わぬ障害が起きてしまった。
「ねぇ、ママ!どこ?どこにいるの!教えてよ!ねぇ!」
何と迷子の少女に捕まってしまった。
彼女からは逃げられない!!
まぁそんな冗談は置いといて、成り行きとしてはただ歩いていたところを少女が困っていたから無視して通り過ぎようとしたらガッチリ服を掴まれたという分けである。
めんどくせえ、まじで。
どうする?なんとか彼女を突き放して逃げるか、一緒に探してあげるか、能力で消え失せるか?
まぁ最後は論外ではあるが一つ目も流石に俺のポリシーにも反してしまうからこそ、その方法が取れない。
本当に面倒なことをしてくれたな……
というわけで探すか…能力で。
「とりあえず、ママはどんな人?」
まずは情報収集をやっていこうか。
「んーと、優しい!」
……いや、違う違う。中身じゃなくて外見の話なんだが。
「そうじゃなくて君から見て君のママはどう見える?」
「えーとね、えーとね、高い!」
そりゃそうだよ。大人なんだもん、当たり前じゃん…………
こんな聞き方じゃダメだな……終わんなさそう
「じゃあママは髪が長い?」
こくんと頷く、つまりはYESかならば……
「君のママのことも分かったから一緒に探そうか。」
「うん!お願い。」
時間は掛かったが、ようやく探しに行ける。じゃあさっそく能力を使って………
「ミナカ!こんなとこにいたの!」
「あっ!ママ!」
「……………」
「探したんだから……勝手にどっかに言っちゃダメでしょ。」
「ごめんなさい。けどこの人と一緒にいたから寂しくなかったよ!」
「あら、そうだったの。ごめんなさいね、迷惑かけて。」
「いえ、お構いなく。」
……………
「この子と同じくらいなのに一人で偉いね。大丈夫?家まで送ろうか?」
「いえ、お構いなく。一人で帰れる距離なので大丈夫です。」
「そう?本当にありがとう。この子とまた遊んでくれると嬉しいわ。」
「じゃーねー。また遊ぼ〜!」
そう言って少女と母親は去っていった。
……………………この時間なんだったんだよ……
俺いらなかったじゃん……しかも時間も時間だから帰らないといけないし………
まじでなんだったんだよこの時間……無駄だったじゃん。