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第一話 巡礼の聖女 護衛をボルカニックする

お読みいただきありがとうございます!

第一話 巡礼の聖女 護衛をボルカニックする


 館からは、人を呼ぶ叫び声、火を消そうと水を求める声が聞こえてくる。一階にいた半数はボルカニックされ、残りの半数が向かっているのだろう。そして、二階の男たちと三階の主人の護衛のうち、一人は様子を見に向かっているだろうか。


「先に上の階を抑える?」

『書類とかは、三階の執務室にまとまっているだろうな』

『魔力壁で階段創るなら、いつでもやるよ!』


 問題は、三階の窓は鎧格子がはいっていて、簡単に窓から中に入ることが出来ない作りとなっているところか。


『素直に三階の窓から入らなくても、屋根裏の使用人部屋からはいればいいだろ?』

「それも……そうね」

『屋根裏……ちょっとあこがれるかも』


 恐らく、この騒ぎで屋根裏の使用人たちも、何事かと目を覚ましているだろう。できれば、女性の部屋がいい。


『そういえば、クリス、ほら、マスクしないと!』


 いわゆる目出し帽。十年ほど前、降国と連合王国がバラク半島をめぐる戦争のさい、寒冷な戦地に向かう兵士に家族が編んだ防寒具に起因する装備である。オリヴィはそれを、魔装糸で編み物に仕上げた。編んだのはオリヴィではないが。因みに、ビルでもない、内職してくれた王都の職人さんだ。


「これで、顔が覚えられる事も、魔力を通せば鋼鉄の仮面みたいになるから怪我する事もないわけね」

『女は顔が命!』

『否定はしねぇが、そりゃ人形は……だろ』


 二人は目出し魔銀帽を被り、屋根裏の窓まで魔力壁を足場に駈け上がる。猫が一つの小窓の前にたたずんでいる。


『ここが女性の部屋です』

「先ずはノックから」

『まあ、騒がれても困るしな』

『騒ぐよ! けど、下はもっと大騒ぎだから大丈夫!!』


 軽く二回、反応がないので強めに二回ノックする。ズリズリと窓が開き、二人の姿を見て中から顔を出した女性が悲鳴を上げる。


「命が惜しければ、奥に下がって壁を向いて立ちなさい」

『!!!!』

「黙って。殺したくないの」


 右手で銃を突き付け、左手で口を塞ぐ。ベッドしかない小部屋に入り、続いて、クラーラとシュワルツも侵入する。


『主、先行します』

「お願いね。執務室を特定して。クラーラはシュワルツの位置を確認して先導ね」


 クリスは、「ごめんなさいね。これ、お礼」といって40フルール金貨を差出し手に乗せる。半月分くらいの給金になればいいのだが、恐らく、明日には失業になるので、そのお詫びのしるしである。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 階下は大騒ぎであり、ドタトダと何か喚きながら階段を下りていく気配や、三階の通路を歩いていく気配が伝わる。屋根裏の通路から階下を除くと、猫がこちらを見ている。どうやら、安全確保できているようだ。


『わたしのお仕事がぁ』

「まだあるわ。三階の魔力走査。魔力持ちが居ないかどうか確認お願い」

『うけたまわり!!』


 忍び歩きのクリス、魔力壁を足元に展開しテコテコと歩いていくクラーラ。魔力豊富ってやっぱチートだわとクリスは思う。


『お前も、訓練すれば十分可能だぞ』

「せいぜいやってみせましょう」


 銃を手に、姿勢を低くし先導するシュワルツの背後を音もなく進む。やがて、最奥の扉の前でシュワルツが止まる。


『主人と護衛が一人。護衛がリボルバーを持っていますが、かなり大きく重い銃です』

『魔力の気配なし』


 扉の隙間から中の明かりが漏れ出る。クリスは頷き、作戦を伝える。


「クラーラは銃剣で扉を斬り飛ばして魔力壁を作って突撃、シュワルツは護衛の拳銃を私が無力化するので、取上げて。ついでに、主人の首にでも噛みついてくれると嬉しいわ」

『りょうかい』

『拳銃を持つ手をかみ砕き、主人の首に牙を突き立てればよろしいですね』

『血管切らないようにな。切る前に、聞きてぇことがあるんだろ?』


 クリスは、帳簿や秘密の書類のありかを知りたかった。回収して、オリヴィに手渡せば、ここの犯罪組織に協力していた存在も排除できるだろうからだ。





 既に、地下からは煙が上がってきている為、通路もかなり煙臭い。体に煙臭さが沁み込むので、そうそうに終わらせたい。


「行くわよ、三、ニ……一……!!!」


 クラーラがX字型に剣を差し込み、扉ごと魔力壁で吹き飛ばし中に侵入。中には、中央のソファに座る男と、壁際で外を確認している男。飛び込んだ勢いで、中央のソファに座る男に、砕けた扉が命中する。


「げぇ」


 入り込んだクラーラ、その背後から突撃するクリスに向け銃を発砲しようとする窓際の男だが、思うようにはいかない。


 KATINN!!


 PUSHUU……


「なっ! くそ!!」


 KATINN!!

 PUSHUU……


 KATINN!!

 PUSHUU……


 撃鉄を起し、次々に発砲しようとするが火薬が湿気ていたようにプシュとくぐもった音がして弾が出ない。


「ぎゃあぁぁぁ!!」

「ぐはっ……」


 手をかみ砕かれた男と、中型犬ほどの大きさに変わったシュワルツが、ソファの男の首筋に牙を立てて拘束する。


「こんばんは。攫われた乙女その一とその二ですわ。あんたたちの下種な商売の証拠と命、差し出してもらおうかな」

「なにを」


 PANN!!

 PANN!!

 PANN!!


 クリスは「オドじゃねぇぞ下種野郎」と吐き捨てると、護衛の男に弾丸を送り込み息の根を止めた。




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