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【完結】『煉火の聖女 巡禮記』 右手には銃 左手に剣 心には正義の鉄槌 ちょっぴりの希望を  作者: ペルスネージュ
第一章『オンディーヌ』

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第三話 巡礼の聖女 イロロの街に到着する

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第三話 巡礼の聖女 イロロの街に到着する


 『ディア』曰く、『水』の精霊に多少違いがあるのだという。とくに、森や川に棲む水の精霊と、海に棲む水の精霊では大いに違うらしい。


 既に、ルードの街を出立し一行は西大山脈を越える『アスペ峠』の麓にある街『イロロ』へと足を向けている。クリスは、調査報告書を朝一番で書き上げ冒険者ギルドの窓口でオリヴィ宛の手紙としてしたためると、ルードの街をさっさと後にしたのである。


 泉の聖母様がいなくなったとバレるのは時間の問題であることはないが、なんとなく居づらい気持ちになったという事もあるが、さっさと巡礼街道の旅に戻りたかったというのもある。ルードは寄り道なのだ。


「何がどう違うの?」

『ん、知りたいか?』

「べつにー いいけど」

『そんなこと言わずに、聞いておけ。よいか、海の精霊は……』


 ディア曰く、水の精霊に風の精霊の要素が混ざったものが『海』の精霊であり、水の精霊に土の精霊の要素が加わったものが『川』『泉』の精霊なのだという。


「つまり、『火』が赤、『水』が青、『土』が黄、『風』が白だとすると、海の精霊は水色になるし、川や泉の精霊は緑がかった青になるってことね」

『なるほどな。絵具の色を混ぜるとそんなイメージになるか、おもしれぇ』

『絵具……それは美味しい具であるのか?』

『わたしも、たべてみたいかも』


 鉱物由来の材料が多いので、絵の具を口にしない方が良いと思うよ。


『風には色がないではないか』

『いえ、雲や霧が白く見えますから、あながち関係ないとは言えないでしょう』

『ヴァイスは闇だから黒一択か』

『白という名なのに黒い精霊とはこれいかに!!』

『我の巫女様への忠義の心が白いということであろう』


 ヴァイス、正直暑苦しいとクリスは思っている。まあ、ヒンヤリしているその体は嫌いではないのだが。





イロロ(Ilor)の街は、トロザの街から進む『内海巡礼路』が到達する街であり、ルードには途中から街道を逸れてきたのである。


 王国から聖地に向かう四つの街道のうち、他の三つは北のスタバ(Stabal)を経由する多くの巡礼者が通る街でもある。唯一、「内海路」だけが南のアスペ峠を越える。


 西大山脈の東側山麓にある司教座都市として発展し、二つの川の合流点にある。『内海巡礼路』にある重要な札所である聖マリ大聖堂をもつ。この大聖堂は、聖征に参加し名を遺した当地の領主である子爵家により建立されたものである。イロロは五年ほど前に隣接するサンマリと統合されたが、二つの旧市街は対立した歴史が長く、未だその影響を残していると聞く。


『触らぬ神になんとやらだな』

「先を急ぐんだから、余計な事には関わらないわ。でも、施療院での奉仕活動は何かしないとね」

『修道女だし! 当然だよね』


 ディアは修道女のお勤めに興味があるのだという。


『あの娘がどのような生活をしているのか、気になるからのぉ。まあ、健康になれば良いのだが』

「そうね。施療院は教会所属の医師もいるから、市井で生活するよりは健康に留意されると思うわ。それに、『聖母』を見た奇蹟の人だから、教会の上層部も大切にするでしょうね」

『なら、安心か。それだけが、あの街での心残りゆえな』


 今までのように、相手を見て劇的に回復するようなポーションを汲んだ水に施すことはできないが、ディアが不在であったとしても、回復効果のあるルードの泉は、あの周辺の山々が汚されない限り効果が期待できるのだというので、ベルナという名の娘の立場もそうそう悪くなることはないだろう。


『泉の集客を当て込んで、修道院も学校を併設するなどして修道女教育に力を入れるようですので、彼の地の修道女の生活は今より改善されると聞いております』

「……良くあの短期間で調べられるものね……」

『恐縮です』


 シュワルツの情報収集能力もだんだん理解できて来た。大耳年増である。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 今では『イロロ=サンマリ』となった街には、その日の夕方には到着することができた。人気の無いところではダッシュである。


『けっこうつかれたよ』


 そんなことを言うが、クラーラは半分くらいクリッパの背に乗っていた。山道もあり、歩きにくい道が続いたというのもあるが、アスペ峠越えには心配な要素でもある。


「山の高いところは、空気が薄いらしいわね」

『うん、それも心配?』

『はて、海の底は薄いどころか空気がないではないか、さかな』

『さかなじゃない! クラーラ!!』


 大精霊、調子が出てきたらしい。まだまだ回復には時間がかかりそうだが、クラーラの魔力で満たした魔水晶の中の居心地は良いようで、随分と存在がしっかりしてきたという。魔力の相性も悪くないのだという。


『妾、大精霊じゃから、回復にはこの程度では焼け石に水』

『なら、山の中の人が来ないような池にポチャするといいかも』

『ま、まてまて。妾はお前たちの旅の終わりまでは付き合うぞ。人間の一生など、妾からすれば一瞬じゃ。気にするでない』

『まあ、まだ何の役にも立ってねぇからな。精霊としちゃ、恩義を返してからだよな』

『精霊ではない、妾は大精霊じゃ!!』


 大精霊にはこだわりがあるようだ。





 イロロからアスペ峠を越え神国の国境の街イアカ(Iace)までの道のりが約60㎞、さらにイアカから巡礼街道の本街道の入口とも言えるイルニア(Irunia)までが同程度の距離である。


 平地ならおそらく、三日とかからずに移動できる距離だが、山道峠道を進むことを考えると無理はできない。恐らく、イアカ迄二日、イルニア迄さらに二日は必要となるだろう。


「教会に行って、施療院で奉仕活動をしながら峠までの道のりや、神国側の情報を集められると良いわね」

『主、私は別行動で、街の中の様子を探って参ります』

「お願い」


 シュワルツが、夕闇迫る街の中へと消えていく。恐らく、酒場や宿屋の食堂などの様子を伺い、地域の噂や情報を集めてくるのだろう。


 イロロの『聖マリ大聖堂』は、聖征の時代に先駆けた建築物のようで、王都やルージュの大聖堂のような豪華さ華やかさはないものの、歴史を感じる建物であった。宿を借りる代わりに、数日の奉仕活動を行うことで滞在を許可される。


 聖マリ大聖堂は、以前は「イロロ大聖堂」とも呼ばれた歴史ある司教座を有するものであった。しかしながら、五十年程前に『バイヨ』の司教区に統合され、今では教区教会として利用されるのみなので、司教は存在しない。


 また、この大聖堂の主であった司教の夏の御座所であった『ヒモテ城』と呼ばれる建物が街を離れた丘の上に立っているのだが、これは、その昔内海を渡り神国に攻め寄せたサラセン人を迎え撃つために建てられた砦の跡を城館に変えたものであるという。



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