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第七話 巡礼の聖女 コボルドと遭遇する

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第七話 巡礼の聖女 コボルドと遭遇する


『なんかいる!!』


 街道の狭隘部にさしかかり、左右に険しい傾斜が迫って来る頃、頭上を指さし、クラーラが叫ぶ(声出てないけど)。


『出ましたな巫女様!』

『あれは……かなりの魔力持ちだな。オリヴィ=ラウスには程遠いが』

『然り。クラーラ殿ほどはあるでしょう』


 元人魚(魔物)を越えるオリヴィ、超魔物。


「左右に隠れている奴らがいるわけね」


 そう考えていると、PAPAと射撃音がし、馬が嘶きを上げ前方へと走り出す。こんなこともあろうかと、クリッパには『魔装馬鎧』を装着しヴァイスを魔力供給者として載せてある。


 手綱はクラーラが握り、反対の手で杖を握っている。腰にはメイス代わりになる魔銀鍍金の双発銃。これは、クリスよりクラーラが装備すべきと考えた。クリスはボルカニック銃を右手に、腰にはいつでも抜けるように銃剣を装備している。


 銃声を聞いて護送馬車を盾に姿勢を低くする憲兵達。


「落ち着け!! 騎馬が一旦離脱した後、戻って来る。守るぞ!!」

「「「おう!!」」」


 どうやら、前方から増援の一個小隊が来るという前提が崩れていないようだ。頭上からの射線に的の大きな騎乗憲兵を晒すのは得策でないと、一旦前方に離脱したのだということだ。護送馬車の周辺で白兵が始まれば、同士討ちを恐れて射撃は困難になるはずであるし、時間を稼げばそれだけ有利になると判断しているのだろう。


――― 増援が来るならそれが正解だ。たぶん来ないのだが。





 崖を転げるように下って来るのは、犬頭の小鬼。コボルド。手には、ツルハシやシャベルなどを持っている。塹壕では最強の装備だが、この場ではどうか。


「全員着剣!! 構え!!  放て!!」


 十人では弾幕とは言えないが、駆け下って来る先頭の犬小鬼に二発が命中する。『大陸戦争』以来の古いフリントロック銃だろう。装弾には時間がかかる。指揮官が装弾を止めると、腰だめに小銃を構えさせ、銃剣の切っ先を突進するコボルドに向けている。


 今のところこちらに向く者はいない。が……


「があっ!!」


 コボルドが接近する前に、崖上から追加の射撃。三人が手傷を負い、一人は当たり所が悪かったようで崩れ落ちる。これで九人。


 コボルドは、怪我を負った憲兵に狙いを定めるのだが、それを背後に引きずり下げ、残りの七人で円陣を組み突撃するコボルドを迎え撃つ。


『手が足りそうにもねぇな』


 残りの十九匹に、頭上の賊が十人。目の前のコボルドだけでも一人で三体を相手にする必要がある。


 そこに、一旦戦場を離脱した騎乗憲兵がサーベルを掲げて三々五々突撃してくる。総数が六騎だが。


 先頭の騎乗憲兵に銃弾が命中するが、胸鎧が跳ね飛ばす。腕には手甲、兜を装着し、本職の胸甲騎兵のような突撃に見て取れる。


 混乱したコボルドが一気に半数ほど討取られる。


 しかしながら、ツルハシを腹に受け、半数の馬が崩れ落ちる。残りの騎兵も接近してきた武装組織の民兵から射撃を受け、下馬し戦闘に入る。


 ツルハシで叩かれ驚いた馬から転げ落ちた騎乗憲兵のうち二人が倒れたままとなっている。


 馬車護衛の憲兵で戦闘に参加可能なものが残り六名、騎乗憲兵が四名。コボルドと民兵が凡そ二十では、劣勢が増しているといえるだろう。


『む、こっちにコボルドが気付きましたな』

『いままで気が付いていなかったですとぉ!!』


 手負いのコボルドが、組易しと考えたのか三体ほどこちらに向かってくる。手にはツルハシ。巡礼者では太刀打ちできそうにもない。


「ご、護衛の仕事を!!」

「クラーラ。前へ!!」

『おう!』


 馭者が引き攣った顔で、クリスとクラーラに泣き叫ぶように問いかける。二人は杖と銃をかざし、巡礼馬車の前に出る。その背後では、十字を切り、祈りを捧げる同行する巡礼者たちがいる。


 クリスが勢いを止めるべく、前へと突進する。身体強化と、炎の精霊の加護。


悪しき者から(libera) 私たちを(nos) お守りください(a malo.)

「『アーメン(Amen.)』」


 祈りをささげ、前に出る。


主よ(Erhalt)御言葉もて(uns, Herr,)我らを(bei deinem)守り賜え( Wort)


 ボルカニック銃を構え、突進するコボルドに狙いを定め正面から連射する。


 PANN!!

 GYAIII!!!


 PANN!!

 PIGYUUU……


 一体は胸に銃弾を受け、ビクッとなり倒れ血を噴き出している。そして、すれ違いざまにもう一発別のコボルドにブチ込んだ銃弾はコボルドの右顔面に命中し脳を吹き飛ばす。本来の銃弾の威力に見合わないダメージは『火』の精霊の加護による火薬の威力向上である。


 そして、逃した残り一体は……


『ちょりゃあぁぁ!!』


 魔銀のダガーを杖の先端に収めた、クラーラの一振りで胴を一刀両断され崩れ落ちる。


「「「おおお……神よ……」」」

『神様かんけぇねえだろ?』


 コボルドを仕留めたのはクリスとクラーラだが、巡礼馬車の護衛に二人を遣わしたのは天の配剤に他ならない。そう考えるのが、巡礼者だろう。


『主、どうやら暴走しているようです』


 前方を見ると、コボルドが引きはがし手薄になったところで民兵が護衛馬車の扉を開けて連れ出し逃げる予定であったのだが、予想外に護衛が善戦し、真剣な人間同士の殺し合いになりつつある。


 そして、その集団の中に一際目立つ魔術師のようなものが見て取れる。


 真紅の長靴を履いた亜麻色の髪の美形。恐らくは女性なのだろうが、外見からは判断できない。男装し草木染のマントのようなものを羽織っている。


「あ、『赤長靴』だ……」

「赤長靴の魔女……やべぇ……ビスケ最凶の賊じゃねぇか……」


 民兵の背後に立つ赤い長靴を履いた人物を見て、馭者が呟く。どうやらこの辺りでは有名な『賊』であるらしい。


 目の前でこのまま憲兵が皆殺しにされるのを見過ごして良いものかとクリスは一考するのである。



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