プロローグ
グレゴリ暦610年
「これより大罪人グリード・ラ・アマイモンの死刑を執行する」
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王都ホーマに建てられた死刑台に一人の男が座っている。男の名前はグリード・ラ・アマイモンといい度重なる魔物進行から人類を守り抜いた7人の英雄。
しかし現在は、自身が守った者たちにその魔物進行を起こした張本人として殺されそうになっている。いや、殺されそうではなく間違いなくこのままいけば間も無く殺されるのであろう。
「なんで...お前たちのためにこの身を削ってまで勝ち取った勝利の結末が守ったものに殺されることなのか」
グリードは何が間違っていたのかと今までのことについて振り返る中で、自分のステータスを開く。
「ステータスオープン...」
そう口にすると目の前に見慣れたステータス情報が浮かび上がってきた。
【名前】グリード・ラ・アマイモン
【種族】人間族
【称号】英雄 強欲の大罪人
【レベル】95
【体力】8400/8400
【魔力】570/570
【魔法】
生活魔法
【スキル】
奪取
ここまでの努力はなんだったのか...
刻一刻と近づいてくる執行の時間
死刑台の周りにはたくさんの民衆が集まり、罵詈雑言の嵐を投げてくる。助けた者からこのような仕打ちをされるとなると、怒りや悲しみの感情を通り越して呆れてしまうというが、こんな感じなのか。
処刑人が登ってくる足音がコツコツと聞こえてきた。
「これより大罪人グリード・ラ・アマイモンの死刑を執行する」
執行人が斬首用の剣をふりかぶる。
それに従い民衆の声も騒がしくなる。
数秒後に俺は死ぬ。そう思った瞬間、走馬灯のように今までの記憶が蘇ってきた。
第一なぜこのようなことになったのか、魔物進行から人々を守っている間は俺たちに感謝の念を抱いていたはずだ。それが、魔物進行が過ぎ去った時人々の態度はガラリと変わってしまった。
まるで何か操られているように見えた。
それが人為的なものであるなら誰がなんの目的でそんなことをしたのか...
次の瞬間、グリードの首に振り下ろされた剣が食い込みストンと頭と首が二つに分かれていた。
人は首が斬られてから三秒間は意識があるという。
途切れゆく意識の中でグリードは来世というものを願うのであった。
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