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前編

ここはグリミナス王国、今日は500年の建国記念パーティーが行われ和やかな雰囲気の中、一人の男子がその雰囲気をぶち壊した


【ラメセス・グリミナス】

「イリヤ・シュナイザー、貴様は私の想い人であるユリナ・イスファルト男爵令嬢に数々の嫌がらせをしたこと、万死に値する!王太子の名を持って婚約を破棄する!」


グリミナス王国の広間にてラメセス・グリミナス王太子は婚約者であるイリヤ・シュナイザーに断罪の上、婚約破棄を突きつけたのだ。突然のラメセスの宣言に周囲は騒然とした


【イリヤ・シュナイザー】

「ラメセス殿?これは一体、何なんですか?それに婚約破棄とは、ただ事ではありませんよ。」


【ラメセス・グリミナス】

「黙れ!貴様が私の想い人であるユリナに嫌がらせをしたのだろう!」


ラメセスの傍らには想い人のユリナ・イスファルトがいた


【イリヤ・シュナイザー】

「ユリナとは、その御方ですか?ラメセス殿、私はその者とお会いしたこともないのに、どうやって嫌がらせをするのですか?」


【ラメセス・グリミナス】

「ユリナが貴様から嫌がらせを受けたと泣きついてきたのだ!」


【イリヤ・シュナイザー】

「はぁ~、そうですか。その者の言だけで信じたのですか?次期国王になる御方が男爵令嬢の言いなりになるとは随分と浅はかな振る舞いをなさいますな?」


【ラメセス・グリミナス】

「何だと!私はグリミナス王国の王太子だ!無礼だぞ!」


ラメセスが今にも切りかかろうとしたが、側近と近衛兵に止められた


【側近】

「殿下!何をなされているのですか!」


【ラメセス・グリミナス】

「決まっておるだろ!私だけではなく想い人であるユリナも侮辱したのだ!」


【側近】

「殿下!どうか冷静に!冷静に!」


側近と近衛兵がラメセスを抑えていると、イリヤが・・・・


【イリヤ・シュナイザー】

「分かりました。婚約破棄を受け入れましょう。」


イリヤが婚約破棄を受け入れたと同時に周囲がざわめき始めた


【側近】

「イリヤ様、申し訳ございません!殿下は少しばかり酔うておられるのです!何卒、お考え直しのほどを!」


側近は必死で謝罪すると同時に考え直すよう説得した


【イリヤ・シュナイザー】

「ラメセス殿は私と婚約破棄をしたいと望んでいるのです。私もそれが良いと存じます。」


【側近】

「どうか、お考え直しを!」


【周囲の貴族たち】

「どうか、お考え直しを!」


側近と周囲の貴族たちが必死でイリヤを説得したが・・・・


【イリヤ・シュナイザー】

「いいえ、結構です。では、皆様さようなら。」


イリヤは転移魔法を使い、その場から消えた


【側近】

「あぁ、行ってしまわれた。」


側近と近衛兵と周囲の貴族たちは呆然と立ち尽くしてきたが・・・・


【ラメセス・グリミナス】

「あの野郎、逃げやがったな!すぐに探してだして、ここへ連れてこい!私が手打ちにしてくれる!」


ラメセスは1人喚いていたが・・・・


【側近】

「殿下!何ということをしてくれるのですか!」


【近衛兵】

「殿下、気は確かですか!」


【周囲の貴族】

「殿下は大馬鹿者です!」


側近と近衛兵と周囲の貴族たちの糾弾にラメセスは思わず怯んだ


【ラメセス・グリミナス】

「いや、私はただ、ユリナがあの女に苛められているから糾弾しただけで・・・・」


【側近】

「それだけの理由で婚約破棄をしたのですか!」


【ラメセス・グリミナス】

「あの女が悪いんだ!私のせいではない!」


【側近】

「黙らっしゃい!貴方はグリミナス王国を危機に陥れる気ですか!」


【ラメセス・グリミナス】

「えっ、だって・・・・」


【ウルスラ・グリミナス】

「何事だ、一体!」


【マリア・グリミナス】

「騒々しい、何事ですか?」


側近と周囲の貴族たちがラメセスを糾弾していると、そこへグリミナス王国の国王のウルスラ・グリミナスと王妃のマリア・グリミナスが現れた


【側近】

「陛下、由々しき事態が起きました!」


【ウルスラ・グリミナス】

「一体、何事だ。」


【側近】

「実は・・・・」


側近からの報告を受けた国王と王妃は激怒した


【ウルスラ・グリミナス】

「アホオオオオオオ!」


【ラメセス・グリミナス】

「ち、父上。」


【ウルスラ・グリミナス】

「お前は浮気相手のために大事な婚約者を糾弾したのか!」


【ラメセス・グリミナス】

「いや、それはイリヤが・・・・」


【マリア・グリミナス】

「お黙りなさい!」


ラメセスが言い訳をすると王妃はラメセスに近づき、ビンタを食らわせた


【ラメセス・グリミナス】

「ぐふ、は、母上。」


突然、母にビンタされたラメセスは呆然とした


【ウルスラ・グリミナス】

「お前が婚約破棄をした相手は同盟国のシュナイザー帝国皇帝の第一皇女だぞ!そんなことも忘れたのか!」


国王が息子にそう言った瞬間・・・・


【ラメセス・グリミナス】

「あっ、忘れてた。」


ラメセスは本当に忘れていたようで周囲は愕然とした


【マリア・グリミナス】

「まさか、本当に忘れていたとは・・・・」


王妃は目眩を起こし、倒れそうになったが近衛兵たちに支えられて、何とか倒れずにすんだ


【ウルスラ・グリミナス】

「パーティーは中止だ!すぐに国境を固め、軍備を整えよ!」


国王はすぐに指示を出し、パーティーは中止し、周囲の貴族たちはすぐさま屋敷へ帰宅した


【ラメセス・グリミナス】

「ち、父上。」


ラメセスはただならぬ雰囲気を感じとり、怯えていた


【ウルスラ・グリミナス】

「ラメセス、今はお前を断罪するときではない、だがケジメはつけさせてもらうからな。」


【ラメセス・グリミナス】

「それはユリナが・・・・」


【ウルスラ・グリミナス】

「喧しい!それにお前の浮気相手はとうに、おらぬぞ!」


【ラメセス・グリミナス】

「へ?」


ラメセスは周囲を見渡したが愛しのユリナ・イスファルトがいなくなっていた


【ウルスラ・グリミナス】

「近衛兵よ、この愚か者を捕らえ、地下牢に幽閉しろ!」


【近衛兵】

「はっ!」


国王の命令でラメセスは近衛兵に捕らえられた


【ラメセス・グリミナス】

「父上、お許しを!お許しを!」


ラメセスは必死で許しを乞うたが、国王は無視した。今はそれどころではないのだから・・・・


【イリヤ・シュナイザー】

「ふふふ、うまくいったわね。」


イリヤは転移魔法で故郷のシュナイザー帝国に到着した。突然の帰国にシュナイザー帝国の兵士たちが驚いたが、帰国の理由を話すと、真っ先に父である皇帝陛下の元へ案内された、ユリナ・イスファルトとともに・・・・


【ユリナ・イスファルト】

「うまくいきましたね、イリヤ様。」


【イリヤ・シュナイザー】

「貴方も大儀でした、ユリナ。」


【ユリナ・イスファルト】

「ははっ、ありがたき、幸せ!」


ユリナ・イスファルトの正体はシュナイザー帝国に仕える隠密であり、彼女の仕事は王太子のラメセスを骨抜きにすること、ユリナはラメセスに近づき、己の色香で籠絡し自分の意のままに操ることに成功し、ようやく婚約破棄に結びつけることができたのである。ユリナたち隠密がグリミナス王国で活動するために、イリヤが密かに手を回し、男爵位を授けられ、邸宅を手に入れ、隠密たちの隠れ蓑にしたのである


【イリヤ・シュナイザー】

「ふふふ、これでグリミナス王国を手に入れる口実ができました。」


【ユリナ・イスファルト】

「知らせによれば既に国境を固めているそうです。」


【イリヤ・シュナイザー】

「王太子はバカでも、親はまともね。でも遅いわ。」


私たちがそう会話をしていると、そこへ父であり、このシュナイザー帝国の皇帝であるイザリナ・シュナイザーが出迎えてくれた


【イザリナ・シュナイザー】

「おお、我が愛しの娘よ、よくぞ帰ってきた!」


皇帝はすぐに娘を抱擁した


【イリヤ・シュナイザー】

「お父様、お会いできたのは嬉しいのですが、苦しいです。」


【イザリナ・シュナイザー】

「ああ、すまんな!つい、嬉しくてな。」


皇帝はすぐに抱擁を解いた


【ジョエル・シュナイザー】

「おお、愛しの妹よ、帰ってきたか!」


【イリヤ・シュナイザー】

「お久しぶりです、お兄様。」


シュナイザー帝国の皇太子で次期皇帝でイリヤの実兄のジョエル・シュナイザーが駆けつけた。そして父同様、すぐに抱擁した


【ジョエル・シュナイザー】

「許しておくれよ!お前をあんな国へ嫁入りさせたことを!」


【イリヤ・シュナイザー】

「もうよろしいですよ。それと苦しいですので放してくれませんか。」


【ジョエル・シュナイザー】

「あぁ、すまぬな。」


すぐに抱擁を解いた


【イリヤ・シュナイザー】

「お父様、グリミナス王国は国境を固め、軍備を整えているそうです。」


【イザリナ・シュナイザー】

「そうか、向こうの王も感づいたか。」


【イリヤ・シュナイザー】

「いかが、いたしますか。」


【イザリナ・シュナイザー】

「すぐには動くな。まずは外堀から埋めていく。」


【ジョエル・シュナイザー】

「外堀にございますか。」


【イザリナ・シュナイザー】

「あぁ、まずは奴等の収入源を押さえねばな。」


皇帝はニヤリと笑いながら・・・・


【イザリナ・シュナイザー】

「経済制裁だ!」


皇帝の命でグリミナス王国の収入源となる物品等を差し止めることにした。そのころ、グリミナス王国では・・・・


【グリミナス王国の宰相】

「陛下、シュナイザー帝国より物品の差し止めが通達されました。」


【ウルスラ・グリミナス】

「そうか。」


【グリミナス王国の宰相】

「陛下、シュナイザー帝国は我々の収入源を断ち、干上がるのを待っているのでしょう。」


【ウルスラ・グリミナス】

「で、あるか。」


【グリミナス王国の宰相】

「此度の御婚約も我が国がシュナイザー帝国に申し込んでおりますゆえ、彼の(かのくに)に弱味を握られた状態でございます。」


【ウルスラ・グリミナス】

「確かに此度の事は我が国の失態であるが、我が国にも面目がある。」


【グリミナス王国の宰相】

「陛下、間違っても、戦争は避けねばなりません。彼の(かのくに)の国力は我が国よりも優っております!今は外交で解決するしかありません。」


【ウルスラ・グリミナス】

「あい分かった。」


ここから運命の歯車が動き出すのである

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