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月夜譚 【No.1~No.100】

梅雨旅行 【月夜譚No.38】

作者: 夏月七葉

 傘を差す旅行も、風情があって良いものだ。知らない街を、傘を打つ雨音に耳を傾けながら歩くと、このまま延々と歩いていられるような気さえしてくる。

 道端に咲いた紫陽花が雨粒に彩られ、時折お辞儀をしては水滴を散らす。紫陽花は土の性質によって花の色を変えると聞くが、ここの花弁は鮮やかな青色だ。雨の中で小さな青空を見つけたような気がして、ふっと笑みが零れ落ちる。

 近くで鳴き声がして足下に視線を落とすと、拳ほどの大きさの蛙が雨宿りをしていた。しかしゲコゲコと二度ほど鳴くと、傘の下には何の未練もなく雨の中に飛び出ていった。得意の後ろ足で跳ねながら道を横断し、雑草の生い茂った花壇に身を隠した。

 手の中で傘の柄をくるりと回し、再び向かっていた方向に足を向ける。さて次は一体何に出会えるのだろうか。雨の旅行は、まだまだ始まったばかりだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 紫陽花の表現が良いと思いました。 特にお辞儀の描写が、シンプルに情景を伝えていて好きです。 僅かな文字数ですけど、美しさに立体感を感じるので、何回読んでも楽しめました。 [一言] この様な…
2020/07/17 08:23 退会済み
管理
[一言]  良いですねぇ……。  こんな穏やかな雨ならいいのですが、今年の梅雨は荒々しいのです……。  そんな中でも、紫陽花は綺麗に咲いているのですよ!  ありがとうございました!
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