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1.オープニング

 ユグドラシル。それは世界に8本のみ存在する神の創りし命に(マナ)を与える生命樹。




 この世界に生きる者たちは神の加護を受けることが出来る年齢に達するとユグドラシルになる命の実を食し新たな力を宿す。




―――助けて、もう限界、助けて。誰か、誰か私を食べて。




 ユグドラシルになる命の実は生涯で一度しか口にすることは許されない。もし二つの実を口にしてしまったらその者はいままで得たもの全てを失うと言われている。




 だからユグドラシルに辿り着いた者たちは豊富になる実の中から少しでも質の良さそうな物を選び口にする。




―――もう、無理。私の存在がなくなっちゃう。消えて、なくなっちゃう。




 人によっては一つの実を選ぶのに1年以上の時間をかけるという。それくらい実の選定選別は重要なのだ。




―――ああ、私は、私の人生はここまでなんだ。もう私は死んじゃうんだ。もう少し、もう少しだけ生きたかったな。家族のみんなにまた会いたかった。




 必然、明らかに質の悪い実は誰にも食されることなく、いずれ腐って大地に落ちユグドラシルの養分となる。




 そう、それがたとえどんなに特別な実(・・・・)であったとしても。




―――やだ! やっぱりまだ死にたくない!! お願い。誰か私を助けて!! 私を食べて!!!




「あれ? 今誰かに呼ばれたような気が……気のせいかな?」




「ソラ! なにボーっとしてるの。今日はあなたにとって人生で一番大事な日になるかもしれないんだからね。もう10歳になるんだから少しはシャキッとしなさい」




「ごめん母さん。なんかあっちの方から誰かに呼ばれたような気がして」




「あっちっていうとユグドラシルのほうだね。ふふ、それはもしかしたらあんたに食べてほしい命の実からのメッセージかもね」




「でも命の実って食べ物なんでしょ。そんな喋ったりなんて出来るわけないじゃん」




「わからないわよォ~。ユグドラシル自体が神様からの贈り物だからね。中には喋ったり動いたりする実もあったりするかもしれないし、私たちにみたいに身体を持って生きてる実だってあるかもしれないじゃない?」




「ええ~、もしそんな実があるなら僕はその実を食べたいなぁ」




「そうね。一生に一度のことだもの。あなたに一番合う実に出会えるといいわね」




「うん!」




 そう言って晴れ渡る青空のような優しい空色の髪をした少年は跳ねるように新緑の大地を踏みしめた。




 その日世界には蒼い風が吹いた。




 物語はここから始まる。



物語は始まりました。これから一緒にソラの冒険を楽しみましょう!

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