3話 混血達の邂逅 Ⅲ ~雪に埋もれた闇の中で~
少し投稿が遅れました。
1話1話を少して楽しんで頂けるように少しでも文章量を長くしようと考えたワケですが…
それで楽しんで頂けたら幸いです。
どうぞ!
悠太は今暫く悩んでいる。これはまたと無いチャンスではあると思うが、何故だか踏ん切りが付いていない。
「大丈夫だぞ、なるべく優しくするように手加減はする。精々毛根にダメージが蓄積されるだけだ。安心しろ、数十~数百抜けるかもって程度だ」
「ソレ…僕のハゲが進行するよね?将来ハゲるのだけはお断りしようかなぁ~」
「なっ!?」
「流石にぃ~この歳でカツラが必要になっちゃうのは堪えるぜぇ」
「うっ、うっさい!そこまで激しくする気は…」
真来が苛めたせいでイジイジしてしまったルナ。そんな彼女を見て笑う真来。そして思わず断ってしまった悠太はと言うと…
(思わず…断っちゃったなぁ。いい機会だと思ってたけど、良く良く考えてみると能力の無力化って訳でもないから根本的な解決になってないんだよなぁ~)
その通りである。あくまでルナが行おうとしていたのは“能力の無力化”ではなくて“能力の効果だけを消し飛ばす”謂わば応急処置。三々言うが気休めも大概だし、根本的な解決策では決してなかった。一時的にだが、彼は他人から注目されることはなくなるだろう。だが、数時間後にはどうだ?能力は再発しいづれは振り出しに戻るだけ。
そうしたらまた彼は彼女に頼らざるを得なくなる。それは何度も…何度も何度も何度も何度も何度も何度も、だ。
彼女が“どんな状態でも”頼らざるを得なくなる。彼女にだって仕事や自分の時間があるのだ。基本的にお人好しな悠太は自分の勝手な都合で人の時間を奪うのは気が引けてしまうのだ。
「うん。やっぱ今はやめとく」
「い、今は?」
「うん。未だに人の視線が気になるけどもう馴れた事だし。でももし…本当に困った事態になったら、力を…貸してくれないかな?ルナさん」
「――っ!?////…あ、あぁ!悠太が、それで…いいのなら。私からは何も言わん」
彼は照れくさそうにルナに向かって言った。その表情が男ながらに余りにも可愛らしかったので、思わず見とれていたなんて言えないルナであった。そして、頬を少し赤らめてしまいそれを気恥ずかしく思ってしまい上手く思考が回らないルナはこの後どうしようか悩んでいると…ふと、私達のやり取りに飽きていたのか真来が電柱を背にしながらスマホを弄っていた。それを見て閃いた。
(ナイスよ涅黎っ!これで…)
不服ながら思わぬ助け船を出してくれた真来に感謝しながらルナは自分の着ている聖衣の周りをまさぐりそしてスマホを取り出して悠太にこう言った。
「そう言う訳だから、お互いに連絡手段がないも困るでしょ?今の内に連絡先を交換しない?」
(ど、どうっ!この自然な流れは…)
彼女は自分のこの機転の良さを心の中で自画自賛しながらスマホを悠太に見せつけた。この言葉に悠太は少し驚いたが、悠太もポケットをあさってスマホを取り出した。
「はい。宜しく…お願いしますね、ルナさん」
「まぁ…よろしくね」
(ウソ?私、男の人と初めて連絡先交換しちゃったぁぁぁぁぁ////)
連絡先を無事に交換し、自分のスマホの中にある彼のメアドを内心ニマニマしながら凝視していた彼女だったが、突如…彼女の体にゾッとした嫌な寒気が襲って来た。
(え?ま、待って待って?ナニナニ…この嫌な寒気は、背筋も凍りそうな悪寒は?何故だが後方から妙に殺気立った視線が鋭く刺さってくる。涅黎?イヤ…この殺気はもっとドロドロした…)
すると異変その2っ!
私の…私達の頭上からどこからともなく雫がポツリポツリを降ってきた。徐に上を向くとさっきまでは星空も良く見えていい景色どったのにいつの間にかもう雨が降ってもおかしくない程の雨雲が発生していた。
(うそ…今日の降水確率ゼロの筈でしょ…でも何この雨…普段の雨よりジメリとする)
言い知れぬ不安が勢いを増す雨降る中で膨らんでいきその心中が顔に出ていたのか悠太もルナの顔色をうかがいながら不安の色を見せていた。
そんな中、未だにスマホ仕舞わず連絡を取ってばかりいる真来はニヤニヤと笑っていた。すると…私は“今”気付いた。
「ね、ねぇ涅黎。あんたの寄り掛かってる電柱の…後ろに誰か見えんだけど?」
「あ?…あぁ!そうかもう気付いちゃったぁ、でもまだまだだぜ半人前ちゃん。コイツが殺気を振り撒いてきた時点で手を打っておけば或いはまだ良かったんだが…俺の知ったこっちゃない」
そう言い捨ててスマホをしまい、彼は寄り掛かってた電柱から離れた。そして電柱影に潜んでいた人物に声をかける。
「もう出てきてもいいんじゃないですか?委員長。そっちも殺りたくてウズウズしてる筈だ。分かるぜ…その目から来る殺気の圧でよぉ~」
彼はケラケラ笑いながら委員長と呼ばれる人物に話し掛ける。ちょっと普通の人なら苛つく声のトーンで…
(骨董屋のダンナァ~見ぃつけたぞぉ“呪具”の所持者がよぉ~こりゃあ骨が折れそうだぜ)
そして…彼女は彼らの前に姿を現したのだ。猛烈な殺意を撒き散らしながら…
*
「えっ?委員長…どうしてここに?」
悠太が目を見開き驚きを隠せずにいる人物。電柱の影から現れたのは、すらりと長い蒼色の髪。そして吊目で瞳は蒼白。顔立ちはスラリとしていて八歩美人なイメージが沸騰する。そう、彼女は悠太の同級生であり彼らのクラスの委員長も努めている人物だ。
「あら、式沢君こそ夜間に外出なんかして“学生”として余り素行が良いとは言えませんよ?そんな不審者達と話しをするなんてもってのほか」
「不審者…ですって?随分な謂われようだわ。ねぇ悠太…そこの明らかに友達いなさそうな女は誰?」
明らかにルナも相手側を挑発させている物言いだが、悠太はそれを臆せず言える程の度胸がない為、相手を気遣いつつ説明した。
「彼女は天津 連羅さん。僕らのクラスの委員長をやってる人。とてもいい人だよ…」
「まぁ品行方正、才色兼備、文武両道、容姿端麗、八方美人とか…そんな完璧要素丸々詰め込めば孤立するのも無理ないけどナ!」
割り込むように真来は説明に補足を入れた。とても悪意のある言い方をしながらだが…
だがそれも気にせずに彼女、連羅はとても冷めた笑みを浮かべながらルナを見ていた。
「えぇそうよ。泥棒猫さん」
「はぁ泥棒猫?どういう意味…」
「とぼけないで下さらない?いつもの様に彼を視ていたのにこんな“虫”がまとわり付いていたなんて…こんな事ならさっさと私のモノにするべきだったわ」
そして連羅は、忌ま忌ましいと呟きながらとても冷めた目でルナを敵視していた。彼女に今抱く感想は“恐れ”しかなかった。情報量は少なくとも彼女の口から語られれた意味を察せられる者は少なくない。だが…
「あの…委員長。どういう意味なの?それって…」
ここに気付かないバカがいた!
(普通気付く筈だけどなぁ~。まぁ馬鹿だし)
呆れながらもこうなるんだろうナーと予想していた筈だが、改めて悠太の鈍感さに脱帽している若干苦笑いの真来がいた。
(色恋とかに頓着ない私でも分かるわよっ!てか何あの女っ!?超悪質なストーカーじゃないの?なんて事なの、それに気付かない悠太も悠太だけど…てか私が泥棒猫扱いって!?わわ私、悠太の事なんて、何とも思ってないんだけどぉぉぉぉぉ!!!)
ストーカー気質を丸出ししている連羅に引きつつも、彼女の好意に気付く気配すらない悠太に苛立ちながらも、自分が悠太の事を好きだと勘違いしている連羅に怒りながらも満更じゃないなぁと思ってたりして何故か悶々とした感じになっているルナ。
そうすると、もう焦れったいのか?それともこの事態をしっちゃかめっちゃかにしようと企んだのか、真来がズケズケと切り込んでくる。
「ハッ!まだ分かんないのか悠太?御目出度いお花畑脳だなぁ、親譲りか?そこの女はなぁ!俺の目から視ても~テメーに対して薄着たねぇ感情の色をダラダラダラダラとお前に向けていた変態サイコストーカーだっ!」
「い、言い方っ!言い方ってもんを考えなさいよっ!」
「え?イヤ…常に何処からか視線を感じる時もあるけどさ、それが委員長のせいだって言いたいの?」
「おう、良く言った悠太!そう…コイツは何時からかは知らんが恐らく“呪具”を使ってるのは明らかだ」
(“呪具”?聞き慣れない単語ね?大方呪術師が使う道具か何かなのかしら…)
不敵な笑みを浮かべながら真来は連羅が肩から下げていたバックに指を差してから、皆が疑問に持つ“呪具”についての説明をしてくれた。
*
“呪具”それは“世界を呪った者達の感情が籠められた道具”の略称である。
その“呪具”にはそれぞれとある強い感情が主軸となりその感情に連動して協力無比な効果を発揮する。だが“呪具”扱うにも相性は存在する。
所有者が内に秘めている願いが欲望の形…その気持ちから生れた感情が、それぞれの“呪具”の根底にある強い感情と類似していれば“呪具”は更なる強化と所有者に稀に力を分け与える事となる。
だが、使用すればするほど所有者の精神は誤差はあるが必ず何らかの精神汚染を受け、無意識の内に“呪具”に頼り切り依存する傾向にあると言う。
そして“呪具”の力に魅入られて力に溺れてしまった者の末路は……………
「まっ!そんな呪いの道具に手ぇ出してちゃ破滅…良くて廃人確定だな。前に特撮好きのオタクが持ってた〈変身願望〉を促すベルト型の“呪具”使ってライダーとかに変・身♪された時には大変だったわぁ~でも、変身ポーズとる前に殴ったから事なきを得たがな…おっと!汚いとか言うなよ?現実は残酷なんだ…空想は自分が楽しめればいいんだ。節度を持ってなぁ」
(だけど…汚いっ!流石悪魔、汚いっ!)
「で?結局貴方は何が言いたいの。ハッキリして」
顔から滲み出る不快感を隠さずに真来に睨みを効かせている連羅。その瞳からは心底冷えきった視線が送られる。見た者を凍り付かせる様な威圧的な視線。それに臆する事なく真来はハッキリと言った。
「つ・ま・り。手前がそのバックに持ってる“呪具”を大人しく俺に渡してくれたら、面倒事起こさずに済むんだよ。ソレは…アンタの手に余る代物だ」
その目は本気と書いて“マジ”だった。今までの不敵で不気味で気色悪い笑みは何処かに消え、連羅を説得するのにとても真剣な表情を浮かべている。その額に一筋の汗を垂らしてまで…
悠太は即座に理解した。一応親友だから、真来の事は一通り知っている。
異様にリア充を敵視し、彼らをどのようにして破滅させてやろうかと…そして破滅した後に見せる絶望の感情の味はどのようなものかと…そのような事を毎晩妄想してる事を僕にこっそり教えてくれたり。
意外にも甘党で3時になると、例えそれが授業中でもすぐに屋上に逃げ出して持参した菓子類を食べている事を、そして学校帰りに余った菓子を僕に分けてくれたり。
両親が毎朝行う日課のSMプレイを弟と共に冷めた目で一瞥しながら交代制で朝食を作って、度々聞こえてくる父親だった豚野郎の喘ぎ声と母親だった現役バリバリの女王様のノリノリの狂喜の高笑いを無視しながらご飯を口に運ぶ。そう言った異様な光景に抵抗がなくなってきている自分とまだ12才の弟の精神状態の異常性を密かに嘆いているのを僕に愚痴ってくれたりと…
彼はただの悪人ではない。僕らと同じく悩みながら今を生きているヒトだ。
だから、彼の目は本当に本気なんだと嫌でも分かる。それでも、どうしても彼を信じる事が出来ない人がいるだろう。でも…それも直ぐに看破される。
「あぁ、コレの事かしら?」
連羅がバックから取り出したのは、拳位の大きさの薄い紫色の水晶玉だった。偏見かも知れないが一見すると、よく占い師の人が占いの際に大体使っている水晶玉の様にも見える。
だが、表面上では何の問題もない。問題はその水晶が内に秘めているモノの異質さだ。
「この、禍々しいオーラ。そして、やっぱり〈感情視〉からも反応アリだ。間違いない。間違いようがねぇ…第四の“呪具”だ」
予感的中。
真来の右目に宿る〈感情視〉それは、人が今抱いている感情を色で判別出来る能力。単純に赤なら怒り方面、青なら悲しみ方面とこの人知を越えた能力の事を認識した時に確かめた事だ。そして概ね彼の予想通りだった。
この能力の対象は“知能ある生物”ではあるが、この能力の本質は“感情を読み取る”ことにあるから、怨念等が入り交じった道具も対象には入る。そこで見たものは…
(嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情劣情狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜狂喜背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳背徳―)
思わず目を背けた。彼は苦笑いをしながら常々思っていたのだ。
(やっぱり…濁ってる。いつも呪具を見るとコレだ。全体的に濁り切ってる、汚染された川を見た時と同じ位の胸糞悪さだ。人の汚ならしい感情の捌け口、まるで慰み物だな)
彼はこの呪具から垣間見える白とも黒とも付かない、色んな色が際限無く混ざり合って歪みに歪む色を見るのがとても堪えられなかった。
それもはや突発的な事から現れる“感情”ではなく、蓄積され溜まりに溜まった“欲望”だ。
彼が好むのは幸福の色を絶望一色に染め上げる事だ。それは太陽から光を奪い去る所業と同義。それにより生まれた絶望の色は混じりっけ無しの“純黒”だ。
それが彼にとっての美味。そこに至るまでの過程を考え実行し観戦するのが彼にとっての最上の喜びだった。
幸不幸に関わらず、彼は純粋な“色”で染め上げられている感情を好む。(一部例外もあるけど…)
だけど、欲望に直結する感情を食らうのは勿論の事、見るのさえ憚られる。それは、様々な下心やら劣情から産み出された混ざりモノ。その色は人によって違い、そしてどれも例外なく濁っている。
濁っているのが好まないのだ。欲望にまみれた奴らを彼は常に軽蔑している。そして…人の“欲望”を糧に人の願いを叶える願望機の様な働きをする“呪具”も個人的に見逃す事が出来ない。
だが本来の目的は金だ。そう、カネ。マネー。
金が絡まなければ動く事もない。それは事実だ。
以上の理由から真来は骨董屋の依頼を受けている。彼も“呪具”をどうにかしたい。それなりの貯蓄もある。そして彼には“呪具”を浄化する術さえ持っている。乗らない話はない。利害もちゃーんと一致しているのだから。
そして、蓄積された数多の連羅の“欲望”の奥底に潜んでいた元凶を見つけ出した。
(うぅわっ!?なんか濁った緑の…ネバついた感じ?そして何故かジメジメっとしてくるし…やっぱ、アレか?)
彼女の望みと直結していたこの水晶玉に秘められていた感情の名は…
「大方執着か?気持ちワリ!そしてその水晶も悠太だけの事を映し出せるって所か…これじゃあ【遠見の水晶】の上位互換、悠太専用バージョンってかぁ?「なっ!?」こりゃあ図星か?全く…只のストーキングとか部屋に盗聴機やら監視カメラ取り付けるとかよりよっぽど悪質じゃねーか!何せソレ一つで事足りるからな。ストーカーに一台欲しい位の性能の良さだぜ。…呪われてる装備じゃなけりゃ何万でも積んでるw」
皮肉を交えながら連羅をこれでもかと挑発する真来。伊達に悪魔じゃないのがこの男!
そして彼の推理も彼女のバツの悪そうな表情を見てみれば大体合っていると見て間違いなかった。でも、そうなるとちょっとどけゾッとする。ルナでさえ背筋が凍る程だ。でも…当の被害者は余り信じたくないと言った心境だった。でも、心辺りがあるのだから否定しきれない。
「さぁ、ホラ。まだ間に合う筈だ。ソレをさっさと渡せよ。もうタネがバレた以上また使えると思うのか?」
「確かに…式沢君にもバレちゃったわ。でも…それでも目的は変わらない」
「…………ハァ?」
イキナリ…余り気にもしなかった雨の勢いが更に一段と強くなった。通常なら傘が必須になる位だが、生憎と彼らは傘も合羽も折り畳み傘すらも持ち合わせていない為、このままだと数分めしない内にびしょ濡れになる。
どうしようかと悠太は悩んでいるが、それ以前に悪寒がする。それもただの悪寒じゃない。もっとこう…芯から凍り付きそうな…まるで冷蔵庫に閉じ込められた気分だ。悠太だけでなく真来も少し顔を青ざめさしている。ルナに関しては自身の中にある直感に従って臨戦態勢を崩さない。
「こ、これは…」
「コレを持ってるとねぇ、凄く…凄く力が湧いてくるの。それに式沢君の事を観察するのがちょっと癖になっちゃってねぇ、それなりの愛着もあるわけだし…貴方に渡すと思って?」
「おいおい…だったら最悪、破壊だけでも「却下っ!論外っ!」デスヨネェ~」
麻薬服用者に麻薬を止めさせるのがほぼ無理ゲーな話と同じだ。あの女はもう既に呪具に魅入られている。“呪具”と言う劇薬に思考も毒され今の連羅は…“欲望”のままに動く獣と同じ。
説得とか、土台無理な話だ。
そして、気になっている彼女の計画。それは…
「早く…早くジャマモノ消して早く…式沢君を私のモノにシナキャ…堕落、させなキャ」
その瞳に最早光は灯っていなかった。
雨に打たれながら妖艶な雰囲気を醸し出す彼女の今の姿に、彼らは心から恐怖の感情を沸き上がらせた。
そしてよく見てみると、彼女の周囲から冷気が漏れ出ているのが分かる。そしてその冷気は彼女を中心に液体をドンドンと凍結させていった。
雨男と雪女の血を引き継ぐ冷徹な女の執念が…
彼らに容赦無く襲い掛かる。
品行方正なのにストーカー気質な美少女。よくマンガとか小説にあるよね。
アレ?
品行方正でしょ?
でも、ストーカーしてよね?
それって…どうなの?
品行方正ってなんだろ?(哲学)