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《デュアル・ブラット》PS.混血達は悩んでいる  作者: 巌参
序章:混血達の邂逅篇/濃いメンツと濃い豚骨醤油ラーメン…どっちを取る?
2/10

1話 混血達の邂逅 Ⅰ ~恋知らぬ無垢なる天使~

ハイハイハイヾ(・ω・ヾ)


こっからがお待ちかねの本編ですよぉ!

こちらを読む前に紹介コーナーで多少の予備知識を手に入れた事だと思います。


その上で更に妄想を膨らませて楽しんで読んで貰えたら幸いです。




さぁ、半人前な天使にも春が来る。

“天使”や“悪魔”などと言った存在。




それは“善”と“悪”の象徴とも言えよう。




でも実際は強ければ何でも理不尽が罷り通り相手に有無を言わせなければ“正義”だ。だが、決して“善”の行為とは言い難い。それは力で…恐怖で支配し黙らせているだけなのだ。“真実”を…弱き人々に―




弱き者は強き者に搾取されるだけ。強き者こそこの世界で自由を謳歌し楽しむ事が出来る。それは、何処でも言われているであろう“世界の心理”だ。




()()に疑問を持つということは即ち“()()()()()”から外れている愚か者と強き者は嗤うだろう。『そんな事をほざく奴ほど弱い』と、大笑いしている所だ。






















それはどうでもいい。ぶっちゃけ知らん。

価値観の違い位当たり前に起きている事なんだしイチイチ首突っ込んで『それは違う』と否定するのは正しくブーメラン。


もはや時間の無駄とさえ思えてしまう。


だから、自分の価値観に自信を持て。

だが、その価値観を“捨てろ”とは言わないが()()さえ“変えて”みれば狭苦しい視野が広がり新しい景色が見えるのもまた事実だ。







 人気の無い深夜の街で、片手にスマホを耳に当て通話をしながら少年はニタニタと笑いフラフラと歩いていた。


「もしもぉ~し、どーしました骨董屋こっとうやのダンナァ?今俺、別件でクソガキ共に()()()()()ってのしてこなきゃいけないんすよぉ~」


『済まないね、ソチラの用事が終わってからでいい。私の探索術ロケーションでこの町に反応があった』


へぇ…と、骨董屋の旦那と呼んでいる声の主からの言葉を聞き通話をしている愉快な彼は、更に愉快そうに漏らした。


「まぁた“呪具じゅぐ”かぁ。ソレ、今回はケッコーヤバめなのかな?」


『あぁとてもマズイ。危険度は然程高くなかったんだが、問題は所持者だ。その“呪具”の所持者には恐らく人為らざる力を持っているのか、はたまた所持者と“呪具”が共鳴しているのか不明だが反応は膨れ上がっている。これは由々しき事態だ。明日には…いや今夜にも動きがある!』


「………報酬、ドレ位弾める?」


『フッ…さてはやる気だな?分かった。通常の三倍…いやもっとだっ!五倍…五倍出すことを約束しようっ!』


「毎度あり♪じゃっ、終わり次第連絡するよ」


そう言って通話を切ってスマホをしまう。そして彼は目的地に着いていた。未だに肌寒い風が体を透き通るが彼は関係無く笑っていた。そこはもう使われなくなり廃棄されたものが集まる場所。この町の廃品置き場の敷地内からゲラゲラと笑う複数人の声が聞こえてくる。


その笑い声に釣られてか、はたまたこれから起こる事態を想像してつい笑みを浮かべたのか…ソレは定かではないが彼はとても愉快そうに笑っていた。


「イヤァ~楽しみだ。ジャッ!イキリ警察の出番かなぁ~?」




そして彼は足取り早く歩いていく。




「イイィ声で哭けよ?」







 ここは〈極嵐ごくらんちょう〉人と、人為らざる者が影ながら住まう町だ。そこでは人と人為らざる者達が結ばれ子を成し両方の特性を持った存在が生まれる事がある。それを世間一般的に言うと《混血》と呼ぶ。




「やれやれ…悪魔の反応があるとこんな夜中に来てみればなに?たかだか《小悪魔インプ》じゃない?」


「なんだぁ!?こんっの糞アマァ」


「犯れてぇのかぁ?嬢ちゃん」


静寂と暗闇が街並みを包む夜。

誰も近寄らない裏路地にて、屯している頭上にツノを一本生やした凶悪な風貌の悪漢達の目の前に現れたのは…


「―――ゲェッ!?あ、あの女…まさか!」


この様な暗闇の中でも光を失わない輝ける翼を背にし、彼らの頭上を飛んでいる。そして頭の上にそこそこ光っている輪っか状の光の物体も存在する。




そして…白き純白の聖衣せいいを纏いて彼女は舞い降りた。






「私は【天使兵団てんしへいだん・見習い】ルナ=イクフィリア。お前達《悪魔》を打ち滅ぼす者だっ!」




長い金色の髪を靡かせ琥珀の瞳を輝かせ、そして結構自己主張が激しい聖衣から溢れんはがりの胸を揺さぶる少女は高らかに名乗った。そして、手をかざして…


「吹き荒れろ【神風しんふう】ッ!!」


小悪魔インプ》と呼ばれた悪漢達を軽々しくあしらうかの様な暴風が文字通り吹き荒れた。それは彼らを後方に吹き飛ばしたった一撃でノックアウトに追いやったのだ。


その後、彼女はもう動かなくなった彼らを一瞥した後に懐からサングラスらしきものを取り出し、掛けて彼らをまた見る。


「平均〈総力〉二千から三千ちょい…ダメね。やっぱりインプ程度の下級悪魔じゃこの程度…いつまでこんな()()()紛いな事しなきゃいけないのっ!こんなんじゃ…正式隊員になれないじゃないの」


彼女は自分で自分を叱咤し、また夜の街をその輝かしい翼を翻して駆けるのであった。




彼女の正義を貫く為に…







(もう少し…強そうな悪魔はいないのかしら?)


彼女【天使兵団・見習い】は街の治安を守る為に日夜休まず活動している。その中でも人間社会に溶け込み人々に影ながら害を成す《悪魔》も存在している。そんな奴らを退治する為、彼女は毎日奔走しているのだ。


(早く出世してお父様に…近づくんだ!)


そう彼女は実の親でもある父の姿に憧れを抱いている。誰にも負けない圧倒的な強さ、どんな状況でも冷静さを欠かないその知性、全てを守る為に戦う勇姿、そして輝きを失わない正義の心。


それらは幼き頃から見てきた彼女に強く心に残っていた。自分もこんな風になりたいと…




(『“正義せいぎ”とは“ただしい”だ。常に周りを見てみよ、焦らず、落ち着いて、どんな物事にも紳士的ジェントルメンに向き合えば…お前は“正義”を執行できる。』でしたよね…いつも心得ています!)




そして彼女は今日もパトロールを続けていると…掛けていたサングラスらしきもの。通称【スキャングラス】を通して情報が入ってきた。


《スキャン完了…警告!警告!〈極嵐町二丁目〉の廃品置き場にて魔力反応感知。推定魔力量約2000以上と推測…予測〈総力~10000以上と断定!脅威判定を“B”に設定。ユーザー005555:ルナ=イクフィリアの〈総力〉と同等、または同等以上の悪魔反応です…》


「―――ッな!?」


彼女は、少しばかり戦慄した。

今まで彼女が相手をしてきたのは《小悪魔インプ》等の下級悪魔に分類される一般的に雑魚ざこを処理していただけだった。その〈総力〉…この世界では個々が持つ純粋な力を数値として表し、その総合的な力の名称を〈総力〉を称している。


《小悪魔》程度の存在では〈総力〉は精々2000~3000程度で彼女の〈総力〉は10000弱。これだけ差が開いていたら制圧するのは容易だが、自分と同等…それ以上の相手をしたのは父親以来の彼女にはまだ早いと…彼女が冷静に判断した結果だ。


(相手は間違いなく強い…しかもこの町の廃品置き場では常に不良が屯して喧嘩が絶えないと聞く。そこには…人の溜り場にちょっかいをかけたがる悪魔にとっては無視出来ない場所だろう。それに恐らく相手は私以上の手練の筈…どうする!)


彼女は飛行しながら悩んでいた。これは自分1人で手に負えるモノなのか。冷静になってみればここで【天使兵団本部】に応援要請をするのが最適解だが…それは彼女のプライドが許せなかった。




『人との間に生まれた()()のくせに…【天使兵団】に入るだとぉ?我々を愚弄しているのか!』




「……くっ!」


この世界では悪魔だとか天使だとか、そんな非現実的な存在がちゃんと実在し世界の一部として認識されている。そんな中でも人と、悪魔や天使等といった人為らざる者の総称または人間達が使う差別用語“人外じんがい”達が交わり子を成し産まれ双方の特徴を受け継いだ者達が“混血こんけつ”と呼ばれている。


天使の中には特別プライドが高く、主に人々を守る立場にある天使としては少しアレな感性の持ち主も存在する。その一部に『人間は自分達のお陰で平穏に暮らせているのだ。もっと俺たちを敬えよっ!』とかそんな傲慢な思想を持ったりして人間を心の中で見下しているどーしようもない天使に言われた一言が、彼女の脳裏に離れないのだ。


ぶっちゃけ、特別自分の血統を理由にプライドをブクブク太らせている事に関しては天使だろうが人間だろうがあんまり大差はないのだが…


それでもそのせいで彼女…“半人はんじん半天使はんてんし”と言う存在には堪えるものがあるのだ。


普通の感性のお優しい天使の考えでは、人間=守るべき対象・儚き存在としては思っている。だが、天使の誰しもが人間の事を好いているかと聞かれればそれは微妙な所となる。


そしてブクブクにプライド太らせ中の傲慢天使の考えでは、人間=弱っちい奴らとか、もうぶっちゃけ酷い時には守る価値ないんじゃねwとか本気で思ってる者の存在を否定出来ない。


だから彼女は自ずと…『自分にも出来るんだ』と言う所を見せて奴らの鼻を明かしてやりたいとか思ったりしたりしたのだ。


だから彼女には“逃げる”というコマンドを選択しない。もう“戦う”一択なのだ。そう意気込んで目的の場所まで急ごうとしたその時…




「…………ん?」




突如として彼女の視線は、()()()()に釘付けとなった。


「イヤ~~~今日は人が少なくて良かったぁ~お陰でラーメン気兼ねなく食べられたし♪」


丁度、極嵐ごくらんちょうでよく見かけるラーメン店。〈腐痔深屋ふじみや〉の扉から出てきたフードを目深にかぶった少年のような少女のようなちょっと中性的な声色の人物。〈腐痔深屋ふじみや〉は名前はアレだが、店主の腕はピカイチで有名。それに季節ごとにブッ飛んだ品を出す事もある店だ。


こんな夜中に…見た目的にまだ未成年に見える人物がラーメンなどを食べるのだろうか?…とかそんな事を思ったりした訳ではない。ホント…そんなことじゃない?






何故だろう…目が離せない。

こんな気持ちになるのは初めてだ。

何故なんだ。何故………何故……………




「あのぉ~そこで宙に浮いている人ぉー大丈夫ですか?」


「―――えっ!?はい?………あれ?」




気付けば彼女は今までの疑問をすっかり忘れて知らず知らずの内に彼の所へ近付いてしまったのだ。………無意識の内に、彼に近付きたかったから…


(あっ!?マズイ…『人外』の存在は一般人には秘密事項っ!さっさと記憶消去装置をっ―――)


天使兵団のみならず『人外』に分類される彼女らには『故意に、無断で、勝手に、人間に接触をしない。我々の存在を明らかにしてはいけない。これは最重要秘密事項によるもの。もし、存在を知られた場合は速やかに記憶消去装置の使用をする事。直ちに証拠を消し去って立ち去る事を義務付ける』事を『人外』達…引いては人間達が時に讃え、敬い、恐れおののく存在“神”によって絶対の法が定められているからだ。


それに乗っ取り彼女、ルナは早々に自分の所持しているバックの中にある、記憶をある程度飛ばせる光を放てる装置【懐中電灯型かいちゅうでんとうがた記憶消去装置きおくしょうきょそうち】通称【デバックライト】を漁っているのだが…


(まっ、マズイわ!今日アレ家に置きっぱなしだったぁぁぁぁぁぁ!こ、これじゃあ…どうすればぁ?)


ルナが自分の凡ミスで頭を抱えて震え、この周辺に来た目的すら忘れ掛けている時に、彼女の様子に心配したのかフードを目深に被った人物は声を掛けてきた。それも…何故か“震える声”で。


「あの…大丈夫ですか?そのぉ~ま、まさか………()()退()()()()()()()使()()なん、です……か?」


「えっ!?いや、今この状況大丈夫じゃな…い、から?てっ………えっ?今…………なんて?」


「あのっ!ぼ、僕………確かに悪魔の血が混じった《混血》だけど…で、でもっ!人とか襲ってないしっ!悪魔の血も!とぉぉぉっても薄いからぁ!た、退治しないで!?」


おもむろにフードを脱ぎ素顔をさらした()は、何を勘違いしたのか、必死にルナに向かって拙いながらも弁明している。そして、本気で怯えている。目元には若干涙目になっている程。




「魔力は、無くはないし、自分じゃ…コントロールも未熟だけど、さぁ!人に迷惑かけてないから!てか大体、全部僕に迷惑かかっちゃうからっ!」




「―――――」




「てかぁ!い、今!ここに居るのは危ないです…よ。この辺りは不良や“アイツ”がいるから危険ですっ!もう深夜です、早く逃げましょうよぉ!」




「―――――」




「…って、あのぉー聞いてますかぁ?」




「―――――」




ルナは彼に目を見開いたまま凝視し、そのまま反応がなかったのだ。彼はどうしたものかとますます心配し、何度も呼び掛けをするが…全然応答がなかった。彼も遂には心配や不安を通り越して気味悪がった。


























だが、だがだがしかぁぁぁぁしぃ!当のルナはそれどころではなかった。


(な、何なのだ!この…感情は?)


ルナはやっとフードを被っていた人物の顔を知った。そして、それを見てなんとなくだがその人物は“男”なんだと理解した。


(日本で一般的に見られる黒髪だがとても綺麗だ。オマケに肩まで伸ばしている。瞳は黒くつぶらで中々愛らしい…顔立ちは童顔だが中性的ではあるが…声色からして女よりやっぱり男の方がしっくり来る。一人称“僕”だし、口調も男っぽい。多分髪を纏めれば私ですら女と間違えるかも知れない。身長は…ちょっと低いな、私と同じ位か?)


因みにルナは高校女子の平均身長だと思ってくれればいい。正確な身長等の個人情報は後々な(高く付くぞ?)


(その…何故だろう。彼の一挙一動に、胸がこう…キュッ!と締め付けられる。あの綺麗な黒髪が夜の風に揺られる動作から目が…離せないっ!何度でも見ていたいっ!彼のあの…つぶらな瞳。どうしようっ!アレを間近で見てみると、なんだか吸い込まれそうだぁ!……な、なんなのだ!こ、これはっ!?このっ!“感情こころ”はぁぁぁぁぁぁぁ!?)




傍らで彼が心配しているのに対し、ルナは突如自分に襲い掛かってきたこのブレーキの利かない暴走列車の様な自分の知らない“感情”に振り回されて気が気ではなかったのだ。


額に何故だか嫌な汗が垂れていく。そして徐々に顔が少しずつ紅潮してしまっている。でも、それを気にしている暇がない。彼女は固まったまま動けない。それはもう、一目見たときから彼女は、彼に心臓を射ぬかれたかのようだ。


「あのぉー顔、赤くなってきてるけど?も、もしかして…熱?」


(あ、あぁぁぁ~~~!?もう彼の顔の周りにキラキラしたものが見えてきちゃってる!?彼が、彼が…輝いて見えちゃってるぅぅぅぅぅ!)


もう目がチカチカして脳も正常な判断が出来ているかどうかさえも不安だ。



でも、仕方ないのだろう…






(もうぅ、なんなの?この、抑えられないこの昂る“気持ち”は…この感覚は何なのぉぉ?誰か教えてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!)






彼女は後に知る事となるだろう。

この“気持ち”の〈呼び名〉を…

























































    〈()()〉なんだと!!

はい!


次回は来週辺りになると思いますので気長に待ってて下さいね。


~次回~

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