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リュートさんに聞けば分かるかな。
白ちゃんたちの衣装はどうなんだろう。お城所属なら、お城でまとめて洗濯とかしてくれてるのかな?兵とか騎士の洗濯も洗濯する係みたいなのがいるのかな?当番制で兵が洗濯をしているのだとしたら、孤児院に仕事として回してもらえるようにならないかな。
と、今後の可能性の広がりもある。もちろん誰かが真似して洗濯屋を始める可能性もあるけれど、現状、初期投資や、水を確保することなど考えると参入しにくいんじゃないかと思っている。そもそもが、この値段で普通に行うにはわりに合わないと思うし……。初期投資分すら回収できないような値段だ。孤児院の場合は投資分回収を全く考えていないからね……。
ということで、2週間が過ぎてから、徐々に食事の量を増やし始める。
「こんなに食べていいの?」
子供が不思議そうな顔をする。
「みんなが頑張って洗濯の仕事をしている成果です。仕事をすればお給金がもらえます。ここにいる間は、お金を渡すことはできませんから、代わりに食べ物が少し増えます」
小さくなった胃ではいきなりたくさん食べられるようになるわけもないと、パンを4分のひとかけ。スープに入れる野菜の種類を1つ増やすと、そこから始めた。
1週間後には、パンは2分の一つ。スープにはほんのかけら態度だけれどお肉もいれることができた。
子供たちは少しずつ、本当に少しずつだけれど、肌の色が良くなり、骨と皮ばかりの体に、うっすらとお肉がついていったように見える。まだ劇的な変化は見られないけれど、笑顔が増えた。
「お代わりのほしい子はいる?」
食事中に尋ねてみた。
「お代わりは、悪魔のすることだって院長先生が言ってたよ」
「お代わりをすると、孤児院を出て行かなくちゃいけないんだ」
「大人になってからしかお代わりはしてはいけないって。子供のうちにお代わりすると……死んじゃうんだって」
そんなことない!
お代わりが罪なんて……。
と、全力で否定したかったけれど、今まで信頼していた院長先生の言葉を私が否定するわけにはいかない。
院長先生が嘘をついていた、院長先生が嫌いと子供たちに思わせてしまったら。
私は1か月だけの代理。これから先はまた院長先生が孤児院の子供たちと過ごしていくのだから。不信感を与えてはいけない。
せっかく、皆こんないいこに……食事の件は受け入れられないけれど、確かに院長先生は愛情をもって子供たちを育ててくれているんだから。
「そうだった、おばさん、大人だから、子供のころのこと忘れちゃった。お代わりはしちゃ駄目だったね。ごめんね。えーっと、じゃぁ、まだ食べれそうな子は手を挙げてね。明日のご飯の量を少し増やそうね。逆に食べるのが苦しい子も教えてね。明日の量を減らそうね」
それから1週間。
子供たちは、飢え死にしそうな容姿から、痩せてがりがり程度になった。
まだ、手足は細く頼りない。けれど、異様に目立っていたぽっこりしたお腹はそれほどでもなくなってきた。
このままの生活を続けて行けば、すぐに子供らしいふくふくした体形になるだろう。




