表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/79

+

「俺の気持ち」

 え?

 顔を上げてリュートさんの顔を見ると、そっぽを向いてがりがりと頭をかいていた。

「深く考えないでほしい。俺が、頼子に渡したかったんだ。じゃぁ、着替えるのに俺邪魔だろう、行くからっ」

 リュートさんの気持ち?深く考えないようにっていうことは、深読みするなってこと……で、深い意味はないってこと……だよね?

 困っているときに助けてくれた感謝の気持ちとかそういうこと、かな?

 どちらにしても、着るものがない状態ではいられないので、ブラウスも脱いで干す。リュートさんが買ってきてくれたワンピースに袖を通す。

 ……誰にでも合うように作られているのか、かなり大きめだ。主に、胸元とウエストが。大きめなんじゃなくてこういうデザインかな。

 白ちゃんが持ってきてくれたものはもう少しスリムなデザインだったけれど、あれは、白ちゃんが私に合わせて選んでくれたからってこと?

「ありがとう。着心地がいいです」

 ごわごわしてない。柔らかな布だ。それできて着古した感のないたぶん新品で。高そうだけど、もう値段は気にしない」

「よかった」

 マチルダさんの家の前で待っていたリュートさんにもう一度お礼を言う。

「ところで頼子は、行くあてはあるのか?」

 行くあて?

 ……この世界のどこへ行くかということ?3年後には日本に帰りたいし、ときどきわるいことしてないか王様チェックしたり、慰謝料の分割払い分もらいに行ったりすることも考えると、遠くに行くのは得策じゃない。

 かといって、じゃぁ、王都のどこでどういう生活をするのかということも、今はまだ考えられない……というか、私に何ができるんだろう。

 んーと考え込むと、リュートさんが口を開く。

「さっき、お勧めの宿を聞いたんだ。一般的な宿よりも少しだけ高いが、安全面で問題のない宿を教えてもらったんだが……」

 そうだ。

 そうか。これからどうするかって先の展望よりも、今日の宿さえまだ決めてなかったんだ。

「一緒に泊まらないか?」

 リュートさんの言葉におもわず赤くなる。

「部屋は、別で」

 と、リュートさんに全力否定されました。

「あ、はい。そうですね。すいません。宿に誰かと泊まるというと、家族か友達との旅行しか経験なくて……ほぼ同室だったので……」

 みっともない勘違いしちゃった。

 顔が赤くなった自分が恥ずかしい。「は?冗談じゃない」って思えば、きっと怒りだの嫌悪感だので顔が赤くなるようなことはないんだから。

 リュートさんと一緒の部屋に泊まるっていうことに対して……顔が赤くなったのは、その……。嫌じゃなかったからで。初対面の男性と一緒の部屋に泊まることに対して警戒心とかがとっさに出なかった自分が恥ずかしいっ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ