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「子供だけならましだよ。うちは主人が仕事で毎日真っ黒にしてくる。黒いだけならいいんだけど、匂いがひどくて洗濯しないわけにはいかない」

 そうか。おむつ以外でも毎日洗濯しなければいけないような人もいるんだ。布が高いということは服も高い。着替えをたくさん持っているわけでもないからそうなるのか。

「お待たせ。じゃぁ、おむつ変えてあげるよ」

 赤毛の女性が戻ってきた。私の背中から赤ちゃんを下ろして、てきぱきとおむつを替え始めた。

「いい布もらちゃったからね。おむつはこれだけ。2日分はあると思う。けどこれだけじゃ申仕分けないからね。赤ちゃんの着替え。ほら、これですっきりしたね!」

 赤毛の女性が、おむつ替えだけじゃなくて持ってきた服に着替えさせてくれた。

「すいません、ありがとうございます」

 もう、ぺこぺこと頭を下げるしかない。

「お礼を言うのはこっちだよ。布を見たとたんに娘も目を輝かせてたからねぇ。新しい服なんてもしかすると初めてのことかもしれないからね」

 と、お互いにぺこぺこお礼を言い合っていると、50代の女性ががははと豪快に笑った。

「ははは、誰も損してないんだ。いいことだ。じゃぁ、おばちゃんももう行くからね。ヨリト君、ばいばい、いっぱいおっぱい飲んで大きくなるんだよ!」

 選択が終わった50歳の女性……ああ、誰かに似ていると思ったら、あれだ。「40秒で支度しな!」っていう豪快でかっこよくて頼れる「おばさま」。

「王都は初めてだって言ってたね。わからないことや困ったことがあったら相談しておくれ。私はハルヤだよ。こっから西に延びた道を歩いて3つめの曲がり角を曲がった通りにある雑貨屋……。主人が作るこまごまとした道具を売ってる店にいるから」

 ハルヤさん?あ、マチルダさんが言っていた人だ!

「ありがとうございます」

 そうか。情報通というだけじゃなくて、きっと面倒見がよくていい人だから、マチルダさんも名前を出したんだよね。ご主人さんが作ったものを売る雑貨屋さんか。何を作っているんだろう?

 いただいたおむつを鞄に詰め込む。パンパンだ。ありがたい。

 それから、洗濯の終わったおむつを桶にいれ、持ってきたバケツといろいろ荷物を両手に抱え……ヨリトは、前抱っこ。背中は濡れているので。

 そういえば、私の着替えはどうしようか。どちらにしても1枚は洗い替えがいるから買わないと。

 白ちゃんに洗い替えも頼めばよかったなぁ。

「だ?」

 ヨリトがほっぺをペチペチとたたく。

 そのまま、手が目に延びる。

「ダメよ、おめめは痛い痛いだからね!」

 ふ。ふふ。異世界だろうが赤ちゃんはおんなじだね。顔に興味を持って手を伸ばすようになるんだ。目にも容赦なく手を伸ばすので油断ならない。

 特に今は、両手がふさがっているので無防備だ。

「だ!」

 私の言っていることが伝わったのか、ニコッと笑って頬っぺたをペチペチとたたかれる。


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