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 あー。そうだ。マチルダさんのところもおむつが乾かないと困るけど、うちも買った布でおむつを作らないと困るんだ。

 オムツ難民だ。

「ここでいいわ」

 洗濯場には、5人ほどの女性が足をあらわに洗濯ものを踏んでいた。そうか、踏み洗いか。洗濯板みたいなのもないし、石鹸らしきものもないし……。冬場はどうするのかな。洗濯用の防寒長靴みたいなのがあればいいのにねぇ。夏場は冷たくて気持ちよさそうだけど。

「あ、ああ」

 リュートさんも洗濯場の様子を見て、男性が姿を現さない方がいいと思ったようで、すぐに顔をそらした。

 ふむ。

 足を出すことも女性にははしたないことって世界かな?よかった。召喚されたときに来てた制服がズボンで。うちのカフェ、女性はズボンとタイトスカートの2種類あって好きな方を天候や気分に合わせて選んで着るんだよね。

 もし、スカートでひざしたの足が出た状態で召喚されてたら……。白装束3人はどんな反応をしただろう。

 うーん、白ちゃんは、ひっくり返って地面に並べられたろうそくで白装束に焦げ跡作っていたかもね。

 ふふふ。想像するとちょっと楽しい。ああそれにしても白ちゃんは大丈夫かなぁ。私が城を出るのを手助けした形になっちゃったわけだし。

 うーん。

「俺は、ちょっと稼いでくるよ」

「稼ぐ?」

「狩り。獲物を狩って、それを売るのが仕事……というか、今はそれしかできなからな」

 狩り?

「冒険者……みたいな?」

 ふと頭に浮かんだのは、ダンジョンでモンスターを倒して、魔石だとかドロップ品だとか素材だとかを手にいれる姿だ。

「冒険者か。懐かしい言葉だな。じゃぁ、行ってくる」

 リュートさんが手を振って走っていった。そういえば、この街の道中の森でこの子、見つけたとか言っていた?森に住んでる生き物を狩るのかな?

 鳥?猪?熊?

 大丈夫かな。剣も弓も、何も持っていないようにみえたけど。

「あなた、見ない顔ね?」

 洗濯場につくと早速50代のおばさまに声をかけられた。

「はい。今日、街につきました。何もわからないのでいろいろ教えてください。あの、この場所使っても大丈夫ですか?」

 一番初めに声をかけてきたイコールボスママ的存在と予想し、頭を下げる。

 教えてくださいって声に弱いというのは経験で得た豆知識。それから、早速質問をぶつける。

 洗い場一つとっても、立場が上から順にどこを使うと暗黙の了解がある場合がある。それを知らずに新参者がいい場所を使ってしまえば、それから先はとても不幸なことが待っている。

 ……というのは、父を殺した田舎の町での経験から学んだことだ。

 結局、移り住んだ父は、便利な医者であり、基本はよそ者だったんだよね。身内じゃなきゃどうなろうと知ったことかという心理が働いていたのかもしれない。ずきりと胸の奥が痛む。


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