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「じゃぁ、えーっと、おむつを替えるのを私も教えてもらうので、一緒に教えてもらいましょうか」
これは大事だ。特に、おおきい方の処理ができるかできないかでイクメン度は大きく違ってくる。
てなわけで、今回はマチルダさんがおむつを替えてくれるのを見学するスタイルになりました。
カバーを外し、おむつをお尻を上げて外す……ところまではまぁ、紙おむつでも同じ。そっから。
おむつの汚れていない部分を使って、お尻を拭く。それから、パッと見できれいになったかな?という段階で、小さな布を濡らして拭く。
なるほど。おしりふきがない時代はこうしてたのね。
新しいおむつをあてがい、完成。
「男の子か……」
へ?リュートさんのつぶやきに顔を上げる。
そういえば、性別も知らなかったんだったけど、それどころじゃなくて忘れてた。言われてみれば男の子だ。っていうか……。
リュートさん、ちゃんとおむつの代え方見てました?覚えました?
って……。
必要、ないのかな?
この子は孤児院に……。
「お腹すいたね。お待たせ」
マチルダさんが娘ちゃん(マチルダさんの赤ちゃんは女の子だった)に授乳をしようと抱きかかえる。
「あー、リュートさんは外でね?」
と、慌てて背中を押して部屋を追い出す。
「その子の名前は?」
ごくごくとおいしそうにおっぱいを飲む赤ちゃん。
「マーサ。頼子さんの子供……えっと、面倒を見ることになった子供の名前は?」
「それが、名前もわからないの……リュートさんが捨て子を見つけて……」
マチルダさんがハッと目を見開いた。
「捨て子……」
ちょっと寂しそうな顔をして赤ちゃんの顔を見る。
「あの、それで……少しおっぱいを分けてもらえればと……」
「もちろんいいわよ。出過ぎるくらいよく出るから、逆に飲みきれなくてたまった分が炎症起こしちゃったってことなんでしょう?」
そうそう。毎回空になるのが理想なんだよね。右も左も平等に。
「助かります。マチルダさん。そうだ、寝込んでたなら、マチルダさんもお腹がすいているんじゃない?お礼に何か食べるもの買ってくるね」
「え?お礼なんて、熱を下げてもらっただけでもありがたいのにっ」
と、引き留めようとしたマチルダさんだけど、授乳中に急に立ち上がることも出来ずに諦めたようだ。
「この子、ちょっとお願いね」
赤ちゃんをベビーベッドに寝かせて家を出る。
「あれ?どうした?」
「うん、マチルダさん……えっと、赤ちゃんのママなんだけど、ちょっと体調を崩して寝込んでいたみたいなの。それで、もう回復したんだけど、しばらくご飯を食べてないだろうから、何か買ってこようかと」
「ああ、それなら俺が」
と、言うと思いました。




