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店を出てきょろきょろとあたりを見回すけれど、リュートさんの姿も赤ちゃんの姿もなかった。
……。置いて、行かれた……?
「あー、お待たせ!」
「リュートさん!」
後ろから声をかけられ、振り返るとそこには……。
「え?それ……」
赤ちゃんをおんぶ紐で背負っているリュートさんの姿が。
「背負ってやれと言われて、そこで布買って背負い方教えてもらった。どうも、この胸当てが当たって抱っこは居心地が悪いらしい」
確かに、リュートさんは胸当てをしたまま抱っこしていて、金属よりはましだろうけれど、革でできた堅そうな胸当てが当たるのは赤ちゃんは居心地が悪いだろう。
「あの、孤児院の……」
「あ、そうか。孤児院にすぐに預けるのに、わざわざ紐を買うこともなかったか……」
リュートさんがはっと私の顔を見る。
「いえ、その……ごめんなさい。孤児院の場所を聞きそびれました。それで、その、代わりに……おむつとか売っている場所を教えてもらったんですけど」
そうだよね。
おんぶ紐もいらないけど、おむつもすぐに孤児院に預けるなら必要ない。
「ああ、おむつ、そうか。さすがにいるよな。わ、なんか、すぐにでも、いるっ」
リュートさんの表情が変わった。
え?と思ってみると、なんだかぷぅんとかぐわしい香りが。
「食べたら出るよね」
……そういえば、おしりふきもないんだ。こういう時どうするのか。ちょっとふき取って洗う?ふき取る布は……ああ、おむつかな?どうせ汚れてしまって洗うおむつでふき取ってから洗うの?
水はどこにあるの?水は冷たすぎる?お湯?
うわー。ダメだ。わからないことだらけ。
とりあえず、おむつを買ってから、教えてもらった3件先の赤ちゃんのいるという家を訪ねよう。
急いで布屋へ飛び込み、おむつが必要だと言って、布を購入。簡単におむつの作り方も教えてもらう。それから、おむつカバーの布もかわいいのを進められた。男の子か女の子かもわからないんだけど、慌てていたこともあり言われるままに布を購入。
占めて金貨1枚。……。貨幣価値がわからないんだけど、これって、安いの?高いの?物価もわからないので、適正価格かどうかもわからない。
まぁいいや。とりあえずお金は当面困らない分は持っているし。なんていうの?自分の物を買うなら値段と相談してあきらめることもするけど、赤ちゃんの物って思うと、財布の紐も軽くなりがちよねー。
今すぐにおむつが必要と言ったら、おまけに1枚出来上がったおむつをつけてくれた。
腹帯を買った人には、おむつの見本として渡しているものらしい。
「ありがとうございます。助かります!」




