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 演技じゃない表情が出たことで、何一つ疑われずに信じてもらえたようだ。

「そうかい……両親は……だけど、こんなかわいい子供と旦那がいるんだ、幸せになれるさ!」

 いや、だから、旦那じゃないですし、子供も……私の子じゃないですって。

 にかっと笑っておじさんは店を出て行った。

 うーん、否定する暇もなかった。

「すまない……」

 男の人が頭を下げた。

「え?」

「俺のようなさえないおっさんと夫婦だと勘違いされるなんて迷惑だろう?」

 さえないおっさん?

「えーっと、冴えないと、冴えてるの違いは何でしょうか?」

 金回りがいいとか地位があるとかが冴えている基準なら……。

 王座にふんぞり返ったくそ野郎とか、そのまわりの人を人だと思ってないような豚や狐とか、上から命じられたことに疑問も持たずに仕事をこなすお人形騎士とか……自慢のコーヒーを馬鹿にするAやらBやらとかっていうなら、冴えてなくたっていい。

「えーっと、冴えないってのは……地味な?」

 地味ねぇ。

 ふと店の外を見ると、やけにキラキラしたイケメンが目に入ってきた。

 うわ。金髪に青い目で、スタイルもよくて、20代後半かな。光って見える。

「もしかして、ああいう容姿に憧れあります?」

 男の人が黙った。

「ってことは、ああいう感じの女性、金髪碧眼美女でグラマーな人が好みってことでしょうか?そうすると、私もずいぶん冴えないおばちゃんに見えてるんですよね?」

 冴えないおばちゃんと自分で言って少し傷ついた。

「いや、そんなことはない、あーむしろ、好みだ。その、金髪は正直怖い。美女となるともっと怖い。グラマーだとなおさら怖い」

 は?

「好み?」

 日本人は、金髪美人好きか、興味ないか、むしろ萎縮しちゃって怖さすら感じるタイプがいるっていうけど、そのラストのタイプか。

 それとも……。

「えっと、あなたは」

 名前をまだ聞いていなかった。

「名前すらまだ言っていなかったな。隆人だ」

「リュートさんさんですね。リュートさんさんはもともと金髪が苦手だったんですか?それとも、なにか嫌なことがあって苦手になったとか……」

 どうも、後者が怪しい。

 さっきのおじさんの話しっぷりだと、黒目黒髪というだけで、勇者の血を引いてるかもとか言われ、好意的な印象を持たれていた。ってことは、モテそうなんだよね。モテすぎて、ひどい目にあったんじゃないかな?

 リュートさんさんが視線をそらした。

 ああ、ビンゴか。

「隆人と、呼び捨てでいい」

「お待たせいたしました」

 お店の人が、料理を運んできた。

 私の前には、大きなパン1つと、野菜のスープに、薄切り肉を焼いたものが乗っている。これが銅貨7枚の食事か。

 リュートさんの前には、大きなパン2つと野菜のスープに、厚切りの肉を焼いたものが乗っていた。かなりのボリュームだ。スープの器は両掌くらいの大きさはあるし、厚切り肉は300gステーキ以上はあると思う。そもそもパン1つが4枚切りのパン2枚分くらいありそうだから、2個だと1斤くらいありそう……。


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