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反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~  作者: 有


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 街は、城の中で想像していたとおりの、中世ヨーロッパ風の街だ。

 石畳が敷かれ、大通りには2階建ての木と漆喰で作られた建物が並んでいる。石造りの家が少なくて、木で作ってあるってことは、緑が豊かな国なのかな。街の向こう側には青々とした山が確かに見える。

 そういえば、春色だとか秋色だとか言っていたくらいだから、四季もはっきりしているのだろう。……冬と夏は厳しくないといいけど。

 さてと。

 何をしましょうかね?

 とりあえず、この世界を救うにはどうすればいいのかな?

 ……あ、あのくそったれ王だとか国のために救う気はさらさらないけどね。もし本当に何かのせいで苦しんでいる人たちがいて、聖女がいなければ世界が滅亡するみたいなことなら、救えるなら救いたいとは思っている。

 ……命令されるのは嫌。強制されるのはもっといや。期待されてもプレッシャーになる。

 てなわけで、ボランティア。自由意志。自分が好きで救う分には全然問題ない。

「早まったかな……」

 もう少し説明聞いてから飛び出せばよかったかな?

 でも、すごく頭に来てたし。赤ちゃんを殺そうとするなんて……。

 と、思っていたら、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。

 うん、この鳴き声は生後半年くらいだろうか。

 赤ちゃんって、泣き声違うんだよ。生まれたてのか細いけれど必死な泣き声は格別。泣くのにも全力でね、だから顔も真っ赤。生後半年になると、体も大きくなるし、泣くだけの体力も十分ついてる。寝返りやお座りができるころだから、生まれたてとは全然泣き声が違ってる。

 これがまた、1歳ごろになるとさらに力強い泣き声になっていくんだけど……。

 妹が双子を生んだからね。両親がいないので、妹は姉の私の家で里帰り出産。3か月いる間、ママ補助としてお手伝いさせていただきましたよ。その後も、週に3日は妹は双子ちゃんを連れて来てたので。もう、自分の子か!ってくらい面倒見させてもらいました。

 かわいいの。

 めちゃくちゃかわいいの。一人頂戴なんて不謹慎なことを口走りそうになったくらい、溺愛。

 3年かぁ……。日本に帰れたとしても、あの子たち私のこと忘れちゃってるだろうな……。まだ1歳だもんな。

 カフェはどうなっちゃうんだろう。雇われ店長だから、新しい店長を入れるのかなあ。あーあ。気に入ってたんだけどな。仕事。

 ああ、もうっ。

 全部、陛下が悪いんだよね。

 思わず、自分の手をつねって陛下に飛んでけーと……するのを我慢。はー。やばい。そうとう自制しないと、この魔法、本当に自分がどこまでも悪い人間になりそう。聖女とはまるっきり反対の……悪女?魔女?闇女?

 と、思考の海に身を投じていた間も、赤ちゃんの泣き声が気になって気になって仕方がない。


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