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「ああ、いいんだ」

 ふーん。やっぱり白装束を着ている白魔導士さんってばエリートなのねぇ。お城で侍女が存在を怪しむこともなく様付きで呼ぶくらいだから。

「少し彼女に部屋を貸してくれる?着替えがしたいんだ」

 白ちゃんに言われて侍女が白ちゃんと部屋を出る。

 エプロンを外して、畳んで鞄にしまう。エプロンのポケットに入っていた砂糖とミルクはそのままにした。

 お金が詰まった巾着は3つ。一つをさかさまにして中身をテーブルに広げる。

 金色のものと、銀色のものと、銅色のものが混じっている。それぞれ大きいものと小さいものがある。……単純に考えれば金貨、銀貨、銅貨って、まぁ価値はおいおい調べればいいんで。とりあえず、たくさんお金の詰まった財布を持っているのを見られるのは危険なので、それぞれ、大きいのと小さいのを2枚ずつ巾着に戻し、残りは、他の巾着の中に詰め込んで、エプロンの下に隠し入れる。

 ブラウスとズボンはそのままで、上からワンピースを着てみた。

「着れた……」

 ちょうど、ブラウスの襟をワンピースの襟元から出すとかわいくなった。気がする……。

 うーん、ウエストマークがない、長袖のモスグリーンのワンピース……。なんだか、ずいぶん寂しい。

 ドアを開くと、廊下に白ちゃんと侍女さんが並んで立っていた。

 あ、そうだ。

「あの、エプロンください」

「え?」

 侍女さんが驚いた声を出し、白ちゃんを見る。

「ください」

 白ちゃんが侍女に頼むと、侍女さんは慌ててエプロンを外した。

 受け取ったエプロンを早速腰に巻く。

 あ、メイド服みたいなひらひらしたエプロンじゃないんですよ。

 腰から下しかないもので、ひらひらなし。後ろで紐をくくると紐がリボン状になってちょっとかわいいけど、私はカフェスタイル。

 紐を後ろじゃなくて、くるりと前まで持ってきて、小さく結び目を作り、残りの紐はぐぐと入れ込む。

 よし。ウエストマークもされるし、やっぱり、こう、エプロンすると落ち着く……職業病かしらね?


「ありがとう」

 城の門まで白ちゃんに送ってもらう。

 城の敷地を歩いていても、白装束……白魔導士様と一緒ってことで、ノーチェックなんだよね。もし、一人でうろうろしてたら「誰だお前は!」とか言われたかもしれない。助かった。何も考えずに王の間を飛び出したけど、白ちゃんがいてくれて本当によかった。

「あの、聖女様……」

 街の方向を教えてもらい立ち去ろうとしたとき、白ちゃんが声をかけてきた。

「えーっと、その呼び方はしないでくれる?頼子。私の名前は頼子。じゃ、えーっと、ばいばい、白ちゃん。ありがとうね!」

 何を言うつもりだったのか知らないけど、今度は呼び止められないように、手を振って小走りで街に向かって駆けだした。


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