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「ばかっ、聖女様にまず状況を説明するのが我らの役目だろう!」
「そうだ、そもそも兄さんと呼ぶなと何度言えば。少しでも正体が分かるような発言はダメだとあれほど」
「それに、そんな得体のしれないものを受け取るな!」
得体のしれない?
って、コーヒーのことよね。
失礼しちゃうわっ!
「うちは、カフェですから。コーヒーを得体のしれないなどという人に来ていただきたくはありません。おかえりください」
白装束AとBを睨み付ける。
いや、当然でしょ。自慢のコーヒーを馬鹿にされて怒らない店長は店長失格よね?
「は?おかえりってあの、聖女様?」
聖女様?
「出て行ってください!」
ドアのある方を指さす。
「それとも、私がここから立ち去ったほうがいいですか?」
AとBが顔を見合わせた。表情はわからない。っていうか、お互いもわからないだろうに、何かわかったのか……小さく頷きあい、白ちゃんの肩をぽんっとたたいた。
「私たちは、聖女様の召喚に成功したことを報告してくる。聖女様へのご説明はお前に任せる」
Aが、その後白ちゃんの耳元……たぶん耳のある当たりに顔を寄せ、ぼそぼそと支持を出しているのか念を押しているのか、文句を言っているのか。その間にBが私に向かって頭を下げる。
「聖女様、大変失礼をいたしました。ご不快でるというのであれば、我々は部屋を出ますが、一人はドアの外に控えておりますので何かございましたらおよびください」
……私も、君たちの名前とかわからなくて、勝手に心のなかでAとかBとか白ちゃんとか呼んでるけど……。君たちは、なぜ私を「聖女」と呼ぶのか。
AとBが出ていくと白ちゃんと私の二人が部屋に残された。
「立ったままというのもあれなんで、座ります?」
と、白ちゃんに声をかけると、白ちゃんがおとなしく石の床……石といっても、ごつごつしたそれではなくて、大理石の床というより、つるりと加工した墓石のような表面の床だ。
ぺたりと白ちゃんと私は向かい合って座った。
「あーっと、いただきます」
「はいどうぞ」
頭にすっぽりかぶった布を少したくし上げて、口元を出してコーヒーを飲む白ちゃん。
口元、髭生えてない。皺深くない。声は男の人のようだから、つるっとした口元からすると、若いようだ。とはいえ、ろうそくの明かりでは肌の色艶まではわからないし、よく見ると細かい皺だったり、髭そりあとだったり結構すごいことになってるのかもしれないけど。
「ふあー、おいしいですね」
白ちゃんの飾り気のない感想に思わずニンマリする。
「ありがとうございます。よろしければお代わりありますよ?」
と、ガラスを揺らすと、中のコーヒーがゆらりと揺れる。
コーヒーサーバには3杯分のコーヒーが入っていたのだ。あと2杯分ある。




