毎月、少しずつお金を貯めていきなさい。 そうすれば、年末にはびっくりするでしょう。 あまりの少なさに
この世は、金でできている。
人は金のために働き、金のために学び、金のために生きるのである。
金がなければ服を着ることも、布団で眠ることも、明日の食事も約束されないのである。
人々は金を愛し、金を崇拝し、金こそがステータスであり人生の全てである。それを誰が断罪できようか。
それが真実でないと。金は人生において重要なものではないと。私は金などなくとも生きていけると。誰が宣言できようか。
否。断じて否。
人は誰も金を拒み、金を裏切り、金から逃れることはできないのである。
「だからー、今日は配達だから無理だって」
時は放課後、場所は生徒たちのカバンや教科書の入っているロッカー前。俺、山野京太は帰り支度をしているとこだった。
「えー、お前昨日もそう言ってたじゃんよー。せっかくの休み前なんだしどっか羽伸ばしたほうがいいって!」
期末試験も終わり、大して部活にも力を入れていないうちの学校では試験期間中は最終日も休みの部がほとんどである。おそらく今俺を遊びに誘っているこいつもそれに当てはまるのだろう。確か…なんの部かは忘れた。
「お前にとっては休み前でも俺は休みの日こそ稼ぎ時なの。だから休み前じゃない。」
俺は中学生にもかかわらずほぼ毎日配達のアルバイトをしている。本当はもっと稼ぎのいい仕事をしたいのだが、原則中学生はアルバイト禁止だしね。
「ふーん。そういうもんか?。俺なら休みにまで働きたくねーけど!」
「休日の方が時給もいいし、効率いいけどな。ま、そいうわけだから。じゃーな。」
そう言い残して俺はさっさとバイト先に向かうことにする。試験だけで学校が終わる分早めにシフトを組んでもらってるから、時間に余裕がない。
「あっ。おい!」
まだなんか言ってるけど、自分急いでるんで。
ロッカー前の攻防を強引に突破して階段を降りる。今はちょうど12時くらいか、家に帰ってたら間に合わないな。よし、直接向かおう。昼飯は諦めるしかないな。なんだかんだあいつ2、30分粘りやがったからな。
と、思わぬ襲撃に時間を奪われたことを恨めしく思いながら下駄箱にたどり着く。
「あっ、京太!今帰り?」
また足止めかよ…。今度は誰だ?そう思いながら声の方向に振り向くと、そこには金髪にパーマをかけ、制服はかなり着崩した上に手首にはブレスレットをつけ、腰にカーディガンを巻きつけるという、まさにTHE女子高生ギャルといった風貌の美女が立っていた。
「…いや、マジで誰」