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妹が人類を滅ぼしかけていて、ヤバい。  作者: 束冴噺 -つかさしん-
第4章 やっぱり、人類は滅亡するしかないのですか?
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《Q-TeK》へ

「俺たちは、どうやって帰ればいいんだ?」


 俺はリザに聞いた。

 するとリザは実に涼しい顔をしながら、


「問題ない」


 と言った。

 何をそんなに焦っているんだ?というニュアンスを含みながら。


「なぜだ?」

「レイベンは1機だけじゃない。他にもある。別の機体を後で迎えによこせばいい」

「……なるほどね」

「とは言え、レイベンは貴重な設備だ。帰れば腕立て伏せ100回を10セットやるペナルティが待っているがな」

「それは、ご苦労さん」

「何を言っている? お前もやるんだぞ」

「……嘘だろ?」


 リザは刀を背中の鞘に戻す。


「それにしても、その魔法の刀は何だ? 異世界からの贈り物か?」

「超振動ブレードだ。といっても、まだ試作品(プロトタイプ)だがな。分子レベルで物質を振動させ、物質の結合を解くことができる」

「さすがアメリカだな。戦争や兵器になると、力の入れようが違う」

「だが、さっきので内蔵されているバッテリーを大きく消耗した。使えたとしても、あと1回だ」

「まるでチーターだな。凄く足が速くても、スタミナがない」


 向こうには《Q-Tek》の社屋がある。

 話を終えた俺たちは、それに向けて足を進める。

 兵士が一人死んだから、リザを含めて兵士は4人。

 彼らは俺を囲むように四角形に陣を取り、視線を全て外側に向けることで死角を無くす。

 そんな俺たちの周りには、〈ガルディア〉がたくさんいる。

 数十体くらいだ。

 それだけの〈ガルディア〉に、俺たちは包囲されている。

 しかし、俺は盾だ。

 本来なら、ここにいる〈ガルディア〉は静止して、俺たちに攻撃できないはずだ。

 でも俺たちが乗っていたレイベンが墜落したのは、恐らくこの中にいるどれかの機体がRPG-7のような携帯用ミサイルを発射したからだ。

 なぜそんなことが起きる?

 はやりこの近くにハヅキがいて、俺の“力”を無効化しているということか?

 それとも、俺がレイベンに乗っていたせいで、俺の姿を外から視認できなかったからか?


「なあ、もし俺の盾としての“力”が消えていたら、どうする?」


 俺の問いに、リザがこう答える。


「ここでお前を破棄するまでだ」

「……それは優しいね。涙が出るよ」


 だが、俺たちを包囲している〈ガルディア〉たちは、完全に静止している。

 とりあえず今は、俺の“力”はちゃんと発動しているようだ。


「油断するな」


 リザは言う。「いつ、〈こいつら〉が動き出すかわからない」


 リザの言う通りだ。

 俺たちは気が抜けない。

 何がきっかけでこいつらが動き出すかわからない。

 俺の“力”が消えかけている可能性だってある。


 そういうわけだから、俺はリザたちの四角形の陣営によって守ってもらわなければならない。

 ったく、これじゃあ、どっちが盾なのか、わかりゃしないがな。


 そして俺たちは《Q-TeK》の社屋にたどり着いた。

 エントランスホールに入るための自動ドアは壊れていて、開いたままになっている。

 そこを抜けた先にあるどこかに、ハヅキがいるかもしれない。

 先頭に立っていたリザが左手を上げ、止まるように指示する。

 そしてリザが先に行って、様子を見てくると言う。


「気をつけろよ」


 俺はそう言うが、リザは返事をしない。

 リザはライフルを前方に構えながら、ゆっくりと足音を消してエントランスホールへと向かう。

 そしてリザが、開いたままになっている自動ドアを抜けた。

 そのときだった。

 突然、エントランスホールの奥から、激しい銃声が鳴った。

 と同時に、無数の銃弾が放たれた。リザに向かって。


 だからだ。

 その銃弾は、リザの体に突き刺さる――

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