過度なスキンシップはやめてください
兄:ヨリ(主人公)
妹:ハヅキ
「するわけないだろ! 俺たちは兄妹だ」
「そんなの、関係ないよ!」
そう言った直後だった。
妹は俺に飛び掛ってきた。
まるで獲物を仕留める肉食動物のように。
それで俺は捕食された獲物のように、妹に抱きつかれたまま床に押し倒される。
妹が、俺の上にのしかかる。
そして妹は俺の鼻と鼻とが触れそうな距離にまで顔を迫らせ、
「きっとお兄ちゃんのことだから、私とキスをしたら目を覚ます、とか考えたでしょ?」
そんなことを言った。
「まさか……」俺は妹から目をそらす。「そんなこと、考えるわけねーだろ」
「うっそだー! だってお兄ちゃん、エッチだもん!」
妹は至近距離で笑う。
それから背中に回していた片方の腕を解き、その手で俺の胸の辺りから臍にかけて、そっと、ゆっくりと撫でる。そしてその手はさらに俺の下半身へと滑っていき――
「お、おい! 止めろ!」
俺は叫ぶ。
だって妹は、俺のベルトを外そうとしているんだから。
「止めろ! ハヅキ!」
「ヤダ。止めない」
俺は妹を引き剥がそうとするも、できない。
どういうわけか、こんなに華奢な体つきだというのに、妹は片手だけで俺を押さえ込み、もう片方の手で俺のベルトを外そうとしている。
そうこうしているうちに、俺のベルトが外れてしまった。
ベルトは俺のズボンからスルリと蛇のように抜け、妹はそれを放り投げる。
「知ってるよ。お兄ちゃん。本当はこういうこと、すっごくしたいんでしょ?」
「ああ、そうだ。しかしそれは、妹以外のナイスバディーな女とが希望だ」
「私だって、脱いだら結構スゴいよ。あとで見せてあげるから」
妹は俺のズボンのフックを外し、ファスナーもあける。
俺は脱がされまいと必死で抵抗を試みる。
だが、無駄だった。
妹は足を使って、実に器用に、俺のズボンをスルリと脱がしてしまう。
まるで皮むき器だ。
そして最終防衛ラインである――つまりパンツに妹の手がかかる。
――それだけは死守しなければならない!
でなければ、
いろんな意味で、
終わる。
俺はとにかく足をバタつかせ、腰をくねらせる。
なんとしても、パンツだけは……このパンツだけは守らなければ!
「脱がされてたまるか!」
俺は抵抗を続ける。
さっきよりも体を激しくうねらせる。
しかし!
俺の抵抗も虚しく、ついに最終防衛ラインが突破される。
妹がパンツを強引に引っ張り、ゴムの部分が大きく伸びる。
俺はパンツを掴む妹の手を握り、その手を止めようとする。
だが既に、俺のアレは外気に触れ、爽やかな清涼感に……いや違う! 羞恥心に包まれる。
妹は俺のアレをロックオン。
鋭い眼差しが俺のパンツの中に注がれるのがわかる。
気持ち、俺の下半身が熱くなってきている気がする。
それから妹は、「止めだ」と言わんばかりに、掴んだ俺のパンツを思いっきり下に向かって引っ張った。
そして――
「うわわわわわわわー!」
玄関に、悲鳴が木霊した。




