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加速器 2

兄:ヨリ(主人公)

妹:ハヅキ

〈フーム〉:人類を滅亡の危機に追い込んだ謎の生命体

「ハヅキ!」


 俺は叫ぶ。

 しかし妹に返事が無い。

 まるで猟銃で狙い撃ちされてしまったウサギのように、銃声と同時に妹の体は吹っ飛び、そのまま倒れた。

 俺はそんな妹に駆け寄ろうとするが――


 俺の前に、〈フーム〉が立ちはだかる。


 〈それ〉は俺と同じ強化外骨格を身に着けた、人間に擬態した〈フーム〉。

 〈それ〉が倒れた妹を跨ぎ、俺の方に向かってくる。

 俺は咄嗟にアサルトライフを構え、〈それ〉を撃つ。

 しかし、強化外骨格の装甲は簡単に貫けない。

 銃弾が装甲の上を撫でるだけだ。

 そして〈フーム〉は、俺に向かって何かを構えた。

 それは、ただの銃じゃなかった――


 グレネードランチャー!


 ただでさえ、装甲車との戦闘で俺の装甲は綻んでるんだ。

 そんなものを喰らったら、俺の体は吹き飛ぶわけで――


 グレネードランチャーのトリガーにかかる指に、力が入るのがわかった。


 どうする? 俺?


 そのときだ。


 妹が、〈フーム〉の足を掴んだ。

 妹は、まだ生きていた。

 そしてその瞬間、隙がうまれた。

 俺に向けられていた〈フーム〉の集中力が、妹に移行する。


 それからは、何も考えなかった。


 何も考えず、俺は〈フーム〉に体当たりした。


 まるでアメフトだ。

 お互い強化外骨格で大きくなった体がぶつかり合う。

 そして金属同士が衝突する鈍い音が響いた後、〈フーム〉が倒れた。

 そのまま俺は〈フーム〉に馬乗りになる。

 〈フーム〉のグレネードランチャーは、〈奴〉の手から離れ、床に転がった。

 それは俺のアサルトライフルも同じだった。

 だから今の俺にできる攻撃は、殴ることだけだ。

 俺は拳に力を込め、それを思いっきり〈フーム〉の顔面にぶつける。

 何度も。

 無心で。


 しかしだ。


 俺の拳が、〈フーム〉によって掴まれた。

 そのせいで俺の拳が静止する。

 動かそうにも、動かない。

 まるで俺の拳が、空間に固定されてしまったかのように、押すことも、引くこともできない。

 強化外骨格で、俺の筋力も増強されていると言うのに。

 〈フーム〉の腕力は、俺の想像を超えている。


 ――言っとくけど、〈フーム〉をあまり甘く見ない方がいいよ、お兄ちゃん。


 妹の忠告が、俺の頭をよぎる。

 だが、もう遅かった。


 俺の首筋に、衝撃が走った。

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