【十三、ディナー】
毎年七月七日の七夕にSF短編を投稿するという『七夕一人企画』を実行しています。今年もなんとか「星に願いを・2016」をお届けできそうです。七夕の「織姫と彦星の物語」に因んだSF短編をご堪能くださいませ。【七夕一人企画・2016】
まだ明るいうちに私とルキァ、そしてアクティとキーンの四人は夕食を食べる予定になっていた。青い夕陽がさす頃になるとネペンドンがワサワサと動き始める。そうなる頃にはもう作戦を開始しているはずなのだから。私とルキァが料理を作り終えてラウンジのテーブルに配膳を始めると、エアロックの方からアクティとキーンが戻ってきた。彼らはブタドックリのAIを戦闘モードに切り替えて作戦プログラムをインストール、最終調整を終えて戻ってきたのだ。
「ブタドックリの士気はすでにマックスになってますよぉ。ショットガンも完調だし、アテクシも完全に復活しましたですよぉ。なので、恐れるものは何もありませんよぉ」
意気揚々としてラウンジに入ってきたアクティは、確かにその雄弁を完全に取り戻していた。
「そのしゃべりなら、もう大丈夫みたいね」
ルキァは、ブタドックリよりもアクティの方が心配だったらしい。
「アテクシを心配してくださっていたのですか! それは涙ものです。うれしい!」
目頭に手を当てるアクティだったが、ルキァの次の言葉でその動きを止めた。
「アンタが正気じゃないと、ここまで準備したことが全て水の泡になるからね。それに、会社の資金をここまで投入しているのだから無駄にしたくはないでしょ? それに、失敗したらアンタの首が飛ぶのじゃないのかな、アクティさん?」
ここでキーンが口をはさむ。
「大丈夫ですよ、ルキァさん。アクティさんはこの程度の損失なら過去に一度や二度でなく経験していますから。その都度、持ち前のバイタリティで頑張って挽回するアクティさんだからこそ、ボクがスカウトしたのです……あ、やば……と、親会社のCEOさんから聞いています」
「これこれ、キーン君。余計なことを言うもんじゃありませんよ」
妙な二人の言い回しに、私は何かをごまかされている気がするのだけれども。
「それなら大丈夫ね。心強いパートナーを得て、あたしはうれしいわ。さぁ、十分に腹ごしらえをして採集作戦に挑みましょう。作戦前のディナーは『ノッポのイタリアンフルコース』よ!」
ノッポのカルパッチョ、ノッポのクリームスパゲッティ、ノッポのシーザーサラダ、ノッポのフリット、ノッポ入りのロールパン、ノッポのステーキにノッポ入りのジェラートと、ノッポ尽くしの料理が並んだテーブルへと、ルキァは二人を案内した。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
【七夕一人企画の宣伝】
毎年七月七日に個人で勝手に騒いでいる『七夕一人企画』です。
今年で十年の節目を迎えるこの企画、一人で勝手に七夕SF企画なのですが、自分の小説が毎年一つずつ積み重なっていく楽しい企画です。




