生徒会に客
生徒会にお客さんらしいです〜
コンコン。
「先生ですか?一々ノックしてくれなくても大丈夫ですよ」
また新しい仕事だろうか、クラス内であんな事をしてしまった影響かクラスの皆から俺はどことなくどころかハッキリと避けられるようになってしまって、生徒会に入れるとごろか話をする友達さえも失ってしまったのだ。
仕事は一向に片付かないから嫌になるぜ全く。
「いや……あの、先生じゃないのだけれど」
「え?」
そこに立っていたのは意外や意外、先日の問題の張本人である如月真実である。
どうでも良いけどあの長い髪は歩く時に邪魔にならないのだろうか。
なんて考えながら取り敢えず中に招き椅子に座らせる。
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして、で、今日は何か用でも?」
「い、いえ別に特段用があるわけじゃないんだけど……」
「じゃあなんで来たの?」
そんな好んで来るほど面白いものなんてある場所じゃあないだろうに。
「だって、元々あの教室には居づらかったけれど、あの1件以来もっと居づらくなって、教室に私の居場所がないんだもの。 それであなたはどうしてるのかなと思ってあなたの方を見ると休み時間になるやいなやここに来ているんだもの、こんないい隠れ場所あなた1人だけで使うなんてずるいじゃない」
「いや、別にこれはみんなから隠れてるわけじゃなくてね?生徒会の仕事が溜まりに溜まってるから片付けてるんだよ」
「へー、というかあなた以外の生徒会役員は来てないの?」
「うん、まあ来てないというか……」
「酷いわねー新人イビリってやつされてるんじゃないの?」
「いや、来てないっていうかそもそもいないんだ俺以外に生徒会がいないんだよ」
「それホント?どう見たって1人で終わる量じゃないじゃない、確か生徒会は1クラスに一人出すんじゃなかったの?」
「いやー、実は去年まではそうだったらしいんだけど、この学校って人数多いから1クラスから一人出してたら余る人が半分以上出て遊んじゃってたらしいんだ」
「なるほど、それで今年から自由にしたら誰も来なかったと」
「そう、それで、新任の俺達の担任だけ絶対必要だと思ってて無理やり出した結果こうなったってわけだ」
「なるほどねー、ただ単に隠れてるだけじゃなかったのね」
「いや、だから別に隠れてるだけじゃ……」
「ホントに?そんな気持ちが一片もなかったと言える?それが真実?」
「う……少しだけ隠れてました」
「よろしい、嘘はいけないよ嘘は」
バリバリ隠れに来てたくせに偉そうにしやがって!
「そんな事よりあれ?まみ今かくれんぼでもしてるの?見えないんだけど」
「目の前にいるわ!」
痛った!すね痛った!
机の上に積み重なった仕事の資料で机の上からちょこっと出ていたであろう頭と顔が完璧に隠されて、仕事が俺に悪口言ってるように聞こえて割と悪夢なんだが。
「なに?まだなにかあるの?」
「い、いやなんでもないよ」
「あ、そう。 あ、ココ会計の計算合ってないわよ」
「え?マジで?どこどこ?」
「ほら、ココ、ココ……って近い!」
「痛ってえ!なにすんだ!」
確かめようとして近づいたら引っぱたかれた!一体俺の何が悪かったのか……。
「う、うるさいわね!あなたちょっと近すぎるのよ、気をつけてよね!」
「口で言え口で!」
「今言ったじゃない!」
「最初に言えよ!」
「うぅ、ごめんなさい……」
まあ、肝心な所は正直なんだよなー。
……ただ単に俺に怯えてるだけかもしれないけど。
「おっと、そんな事より仕事しないと、ただでさえ仕事の納入日待ってもらってるのに……」
「もうそれ、高校生が言う言葉じゃないわね……」
「ホントにそれな、てか別にいても良いけど、あんまり話しかけんなよ?二つのことを同時に行えるほど器用じゃねーんだ」
喋るほう優先させちゃいそうだしな。
「はーい」
キーンコーンカーンコーン
「うーん……昼休みも終わりか〜」
全然終わってない……こりゃまた放課後も居残りだな。
「もう、まみも教室に帰ったか……」
「まだいるわよ!」
「あ、ごめんマジで見えなかった」
「嘘じゃないってのがわかるから余計傷つくわね……」
「いやほんとごめん」
「別にいいわよ気にしてるけど……」
「気にしてるのかよ!」
「当たり前じゃない、女性は常に自分磨きをするものなのよ?」
「なるほど!磨き過ぎてこんなにちいさK……」
「ていっ!」
痛い!声の可愛さに似合わず痛い!
「まあ、私が小さいのは真実なのだけどね」
じゃあなぜ蹴ったし……。
「それよりほら、勝手がわからない所が多かったから結構穴だらけだけど……」
「え?」
手渡されたのはなんと、確かに所々抜けているがしっかりと書かれた生徒会の提出書類だった。
「静かだと思ったらこんな事を……ありがとう、このお礼はいつか必ず!」
「何言ってるのよ、あなたがこの前あの男子から庇ってくれた事に比べたら大した事じゃないわよ」
「いや、別にあれは自己満足のためにやっただけだし……恩に感じる必要はないよ」
「じゃあ私のこれも気にしなくていいんじゃない?」
「口が上手いこと……」
「それは褒めてるのよね?ありがとう♪」
「そうだなベタ褒めだよ」
「ちょっと何よいきなり……照れるじゃない……」
いや、そんな俯かれても……そこまで重く言ってないんだけど……空気しか重くなってないんだけど?
「ねぇ、放課後も来ていい?仕事手伝わせてよ」
「え?いいの?」
「こっちがそれを聞いてるんだけど?」
少しムッとする真実。身長だけじゃなくて表情まで子供みたいに情緒豊かだな……。
「今なにか失礼な事考えた?」
「なぜわかったし」
「むー、まあいいわ、それより来てもいいの?それともダメなの?」
そんな、目で見つめられて断れる男はこの世に存在しないだろ……。
それにこの話自体俺には得でしかないわけだし。
「もちろんOKだよ、ぶっちゃけめちゃくちゃ助かる」
「ホントに!?じゃあまた放課後に来るわね!」
「あぁ、ホントにありがとう」
「別にいいわよ、気にしないで」
「そうだな、それとゴメン……」
「なによ?謝らないでよ」
「いや、そうじゃなくて時間……」
「え?あ、ああぁぁぁぁ!!もう半分以上5時限目終わっちゃってる!」
「ヤバイな、これで教室入ったら絶対変な雰囲気になるぞ、どうする?5時限目サボっちゃう?」
「そんな事したら余計に怪しまれるじゃない!早く帰りましょ走るのよ!」
「おう!」
手早く生徒会室の鍵を占めて走り出す。
「あのー、ところで……」
「なによ?」
「教室に入った時の言い訳のことなんだけど……」
「もちろんわかってるわよ」
よかった、流石に合わせてくれるらしい……
「当然正直に話しましょう、それしかないわ……!」
「それだけはねーよ!」
「なんでよ!真実が一番大事じゃない!」
「そんな事したらなんて言われるか、ここは少し時間帯をズラして入って別々の理由ってことにしないと……」
「ゴチャゴチャうるさいわね!さっさと真実を言いましょう!」
「いやおいちょっと待て……!」
そのドアを開けるのはちょっと待って……あ!
「失礼します、遅れてすいません……ってあれ?」
「いやーあの、たまたまそこで会いましてねー、別に一緒にいたとかじゃなくて……ってえ?」
「「誰もいない……」」
どうやら5時限目は体育の授業だったらしい。
もちろん5時限目の授業に二人とも間に合わなかったのは言うまでもない……。
人気がほしいーー!
どうやったら手に入るんだろうな
ホントになんでも上の方の方はスゴすぎる
尊敬しかできないわ