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 迷宮探索

通常この手の仕事は国の騎士団か、民間の冒険者組合に依頼する物ですが、今回はそうもいきません。


本来新しい迷宮を発見した場合、国に報告して国がその取り扱いを審査するのが慣例になっています。

当然その際の調査で見つかった魔昌石は国の物になるわけで・・・今回ワタクシはその慣例を破り魔昌石を横領しようとしている訳で・・・クックスリ・・・みっ水を・・・ハァハァ・・・こんな事してたらそのうち胃に穴が・・・コワッ!


落ち着け、何もまだ迷宮が、生まれているとは限らない。

そう!

これは飽くまで仮の調査、調査なんです!

海の物とも山の物とも分からないこんな事にお国の手を煩わす事は在りません!

そうです、そうに決まってます!


ワタクシは自分自身に精一杯の言い訳をして出発しました。

独りで・・・無理です。一人で森に入った日には確実に迷子になります。当然護衛兼道案内の狩人さんを引き連れて、後、どうしても離れない甘えん坊さんなクロちゃんをお供に森に入って行きました。


5分後・・・無理、都会育ちのワタクシには道無き道を切り開くとか無理だから。

しかし迷宮の調査には行かねば・・・何もワタクシが行かなくても良くね?

今回は飽くまで迷宮になっているかどうかの調査に過ぎないのですから、

ワタクシが行くのは、迷宮が生まれている事が確認されてからでもいんじゃね?


ワタクシはその場で一人の狩人さんに迷宮かどうかの確認をしてくるよう指示を出し、一端名誉ある撤退を決意した。


3時間後、指示を出した狩人さんが、迷宮の発生を確認報告に戻って来た。

速いよ!

空気読めよ!

責めて1週間後位に報告に来いよ!


また行くの?

無理じゃない?

多分さっきの所でギブアップする自信がある。

これはワタクシに根性が、有るとか無いとか云う低レベルの話ではない!

その様な事を考える不埒者は一度自分の足で森に入って見れば良いのだ!

フゥフゥ、イカンつい興奮してしまった。


こんな時こそ知恵を使うのです!

伊達に役人を何年もしてきた訳ではないのです!

ムム・ムムム・・ムムムム・・・閃いた!

村から洞窟まで道を造れば良いんじゃないですか!

アッタマイイ〜ヨッ元王国魔術師長!

ワタクシは一通りの自画自賛をした後、村人に指示を出し道を造らせました。


村人達は道を作った。

困難な仕事だったろう、樹を切り開き道を整地しながら、襲い来る魔獣や亜人を狩る毎日、しかしその努力は実り、遂に道は完成した。

素晴らしい!

ワタクシはこの感動を胸に抱きしめ、狩人さん達に護衛されながらクロちゃんと共に迷宮に向かいました。



迷宮

魔力溜まり等に一定量を越えた魔力が長時間溜まり続けた結果、特殊な空間を産み出す・・・何て言ってるけど、よくは分かってないのが実状、但しどの迷宮にも共通点がある。

それは、ゲートと呼ばれる入り口が、発生する点である。

キッキの旅日記 著者キッキ


偉大なる魔術師の本によれば迷宮には必ずゲートと呼ばれる入り口が、あるそうだが逆に云えばそれさえなければ迷宮では無いと云うことだ。

正直言って面倒臭くなっているワタクシとしては道を造って貰っといて何なのですが、ゲートとか無い方がいいな〜何て思ってたりします。


しかしそんな願いも虚しくそれはそれは立派なゲートが、出来上がっておりました。

見た目は何処ぞの神殿の入り口に見えました。

うん。ここまで露骨に主張されたら無視出来んわ。

何せ神殿の玄関に魔の森の迷宮入口って書いてあるし・・・狩人の皆さんにこれ村人が書いたりしてないか確認してみたが全員が書いて無いと言われてしまった・・・残念。


まぁここまで来たらやるっきゃない!

やれば出来る子と言われ続けて45年、遂にその成果を見せる時が来たのです!


ワタクシは先頭に狩人さんを左右にも狩人を配置してクロちゃんと共に迷宮に入って行った。


一時間後

何で入っちゃたかな〜私は自分の馬鹿さ加減にほとほと呆れていました。

目の前で全身骨のドラゴンさんがこちらを威嚇しています。


全身骨のドラゴンさん。

あぁホーンドラゴンですか、そうですか。

予測すべきでした。

狩人さんは確かドラゴンの卵と肉はワタクシの屋敷に鱗と皮は近くの街に持って行ったと、じゃあ骨は?

答え 今ワタクシの目の前で巨大な牙で噛みつこうと大口開けてます。


終わった〜ワタクシが呆然と立ち尽くす中、最初に動いたのはクロちゃんでした。

クロちゃんは"アンギャ〜"と一声鳴くと猛然とホーンドラゴンに体当りを咬ましたのです、モチロン効きません。

それどころか骨の尻尾の一振りで壁に叩きつけられてしまいました。

クロちゃんが、稼いでくれた貴重な時間のお陰で何とか精神の崩壊を防げたワタクシは駄目元で狩人さん達にホーンドラゴンの討伐を命じました。


5分後

討伐終了しました。

この人達本当にワタクシが使役してるの?

一寸どころじゃなく強いんですけど!

尻尾の長さまで要れて20メートル近いホーンドラゴンを5分でばらばらにするって!


ましてやこの人達、素手で倒したんですけど!

よくよく思い返して見れば、狩の道具とか渡して無かったけど、まさか素手って・・・うん、これは主人たるワタクシの怠慢ですね、今度街に行って何ぞ武器でも買わなきゃ・・・えっ要らない?

狩人さん達のリーダーから武器は不要と言われてしまいました。


この肉体こそが、武器でありこの拳こそが剣であると・・・嫌っまぁそれで良いのであれば構わないけど、彼等は一体何を目指しちゃってるんだろう・・・


ワタクシは彼等との会話を終わらせクロちゃんの元に向かいました。

クロちゃんの怪我を確認した所多少の擦り傷程度でした。ワタクシは下手な回復魔法を唱えクロちゃんの怪我を癒しました。


クロちゃんは余程怖かったのでしょう。

いつも以上にくっついて放れようとしません。

まぁ少々歩きづらいですが甘えられて悪い気はしません。ワタクシはクロちゃんにスリスリされながら恐る恐るばらばらになったホーンドラゴンに近づいて行きました。


ホーンドラゴンの死骸を調べて見ると大変驚いた事にドラゴンの心臓が、魔昌石の結晶と融合して居たのです!

魔獣の骨が迷宮で魔昌石になっていたと云う話は聞いた事が在りましたが、まさか心臓の魔昌石化とは、いやはや非常に珍しい物を見せて貰いました。


ここでワタクシはふと思いました。持って帰るのこの魔昌石になった心臓でいんじゃね?

大きさは直径60㎝程恐らく魔昌石としての質も大変良いと思われます。何よりこれ以上おっかなくって奥には行きたくない!


ワタクシはホーンドラゴンの心臓を持って勇気ある撤退を決意しました。




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