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 ワタクシがスローライフを始めて5年の月日が流れました。村の方も紆余曲折ありましたが最近ではワタクシが一々指示を出さずとも皆さん良く動いてくれています。

しかし問題は別の所に潜んで居たのです!

正直暇なんです!

この地に来て5年最初の内はいつこの魔導書を奪われないか不安でした。

しかしよくよく考えてみれば、この魔導書の存在を知っているのはワタクシだけ、ならば一体誰が奪いに来ると云うのでしょう!


あほでした。この魔導書の価値に惑わされたワタクシは肝心の奪いに来る相手もいないのに数年に渡り幾つもの罠を仕掛け、慣れない田舎暮らしを満喫してしまったのでした。その癖気の弱いワタクシは万が一が有ってはと遠出もままなりません。

この前訪ねて来てくれた元部下が言うには魔の森から魔獣が溢れ出なくなったのはワタクシのお陰だと国王陛下以下王都の人々までが感謝しているとの事・・・そんなん聞いたら帰るに帰れないし!


確かに魔獣被害が減った1つの要因はワタクシにあります。正確にはワタクシが使役している村の皆さんのお力によります。

お野菜は皆さんのお陰で沢山頂けるのですがベジタリアンではないワタクシとしては、たんぱく質も頂きたい。そこで村の元狩人だった方々に新たな指示を出しました。森に入り狩りをしてくる様に。ワタクシとしてはブタさんや鳥さんを捕って来てくれたらいいな〜という軽い気持ちでのお願いだったのですが、結果としては手当たり次第に森の魔獣を狩る暗殺者(アサッシン)の様になってしまいました。

精神に肉体が引っ張られるとは良く言ったモノです、まさか狩人から暗殺者にジョブチェンジするとは作った私もびっくりです。


そんなこんなでやる事なしのワタクシは、45にしてペットを飼う事を決意しました。ペットを飼ったら一生独身確定だよ、などと思っていた事もございましたが、飼おうが飼わなかろうがワタクシの場合変わらない事に気付いてしまいました。


その日はベットの枕を少し濡らしてしまいました。

兎に角ペットを飼うと決めはしたものの一体どの様な生き物を飼ったら良いのか分かりません。6才から40才まで仕事一筋で来てしまったワタクシにはペットの知識と云うものが少々欠落しておりました。それにどうせ飼うなら人から羨ましがられるペットを飼いたいと思いました。

・・・まぁ見せる相手いないんですけとね。


ワタクシは狩人の方々にお願いして卵を捕って来て貰いました。大きさは鶏の卵を少し大きくした程度、ワタクシの知識からこの卵は巨大ピヨコと見ました。大人になると体高1.5メートル程のひよこです。生まれた時に見た相手を親と思い込む可愛い鳥さんです。大事に育てれば将来馬の代わりに乗ることも可能でしょう。

夢が広がります。


卵を暖めながら少しでも早く育つ様に魔力を流し込み1週間目の朝、卵にヒビが入りました。私は卵の前に座り込みその瞬間を今か今かと待ちました。

卵のヒビが大きくなり遂に中から真っ黒な可愛らしい羽のあるトカゲが這い出て参りました・・・えっ?


ピヨコは?

ワタクシを見詰めるのはどう見ても黄色いピヨコではなく真っ黒な身体の羽のあるトカゲでした。

うん。

これはこれで可愛いいけど、羽のあるトカゲか〜人はそれをドラゴンと呼ぶ・・・駄目じゃんドラゴンの巣から卵とか捕って来ちゃ!

終わった、終了です、幾らなんでもドラゴンって幾つ罠仕掛けたってどうにかなる相手じゃないし、あ〜あ、齢45で人生終了するとは思わなかった。

一応狩人さん達からその時の状況聞いて王都に報告しますか、まっドラゴンに襲来された時点で都市機能は崩壊、王国は良くて他国に吸収最悪全滅も在りますね・・・もうなんかどうでも良くなってきたわ、

おっと独りで妄想の世界に逃走してる間に狩人さん達が来たようですね、さて、よっこらしょっと、

ワタクシは椅子から立ち上がり狩人さん達を屋敷に招き入れました。


結論!ドラゴンによる襲来は在りません。

何故ならば狩人さん達が親ドラゴンをぶち殺して卵を奪ったからです。


正直最初聞いた時は耳を疑いました。

だってドラゴンですよ!ド・ラ・ゴ・ン!

最強の幻獣を村人がぶっ殺すって!

よくよく聞くと狩人だけでは倒しきれず村人総出で殺したとの事・・・何この戦闘力、一寸誰かスカウター持って来て。

私は呆然としながら狩人さんからのお話を聞き、ブラックドラゴンの子供はワタクシを親と勘違いして膝の上で丸まって寝ています。


ちなみにドラゴンさんの死体はどうしたか尋ねた所、命令どおり肉は貯蔵庫、それ以外は近隣の街にワタクシの署名と一緒に置いてきたと・・・そう言えば出してましたね、そんな指示。

狩を始めた頃、魔獣の毛皮とか捕れすぎて邪魔くさかったワタクシは近隣の街に買い取りをお願いしたのでした。売れた資金は魔獣の被害に会われた方々の為に使うようお願いして・・・まぁ魔物の暴走を防げなかった無能な役人のせめてもの償いとして・・・でもドラゴンの鱗とかって流石に不味くない、王国から審問とか受けたらどうするのよ、まじ恐いんですけど・・・誰か胃薬を!イタタタ


後日、王国からドラゴンスレイヤーの称号が贈られて来ました。








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