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 突然ですが会社辞めました。

国王陛下からは大部慰留されましたが、正直こんな爆弾(ほん)抱えてお役人何て出来ません、つ〜か胃が持ちません。

私は他国に仕えない旨と万が一戦争になった場合協力する旨を誓い王国魔術師長の職を辞職しました。

少々早いが早期退職の楽隠居生活です。

無趣味の独り者ですので貯金の方も大部あり尚且つ国王陛下から退職金まで頂いてしまいました。

こうして無職になったワタクシですがのんびりしている訳にもいきません。早い処このヤバイ本を封印せねばなりません。


一応ながら候補地の選定も済ませてはあるのです。

この大陸には魔力溜まりと呼ばれる場所が結構な数存在します。その1つが我が国の南部国境にもございます。

その名を魔の森、名前だけ聞くと少々恐ろしく聞こえますが名前のまんま恐ろしい森です。

兎に角、魔物の数が多い!王国でも騎士や冒険者を雇い小まめに駆除をおこなってますが、それでも追い付いて無いのが実態です。

ワタクシが目を付けたのはまさに魔の森の周辺にある廃村でした。

10年ほど前、森から大量発生したゴブリンによって村人の殆どが死滅した村です。

・・・あの時は本当に大変でした。


当時のワタクシは魔術師長に就任したてでその対応に追われまくった事を思い出します・・・思い出しただけで胃がイタタタ。


そんな胃の痛くなる場所ですが爆弾(ほん)の隠し場所としては悪くは無いと思いました。


本来なら魔術師長の引退等は揉めにもめるのですが、そこそこあっさりと辞職を認めて頂いた訳も、陛下から引退を慰留された際の理由(いいわけ)として魔の森の防人をすると伝えた事でスムーズに退職する事が出来た次第です。


そんなこんなでワタクシは長年住み慣れた王都を離れ田舎でのんびりスローライフ始める事と相成りました。



全然スローライフじゃ在りません!

何ですか?

この魔物の多さは?

王国は何をやってるんですか?

まったく行政の怠慢ここに極まれりです!

まぁ1週間前まで行政のの長をしていた私が言っちゃ不味いんですけど、人の住んでない土地にそこまで予算を付けれないという世知辛い事情があるのですが・・・前に村の合った場所にゴブリンの集落が出来ているのは頂けません。

困りました、都落ちして1週間目で計画が挫折するとは。

しかしワタクシも伊達に役人(けんりょくしゃ)をやっていた訳では在りません。

机の上で立てた計画は多少の事では変更しません。ワタクシは深夜ゴブリン達が寝静まるのを待って村の中に合った共同墓地に忍び込みました。

こう見えてもワタクシだって死霊魔術師の端くれやる時はやる男でございます。

ワタクシは墓地に立ちこの地に眠る残留思念を探しました。よく勘違いされるのですが死霊魔術師は霊を呼び出し使役すると思われがちですが死んで別の次元にシフトした魂を連れ戻す何て芸当はワタクシごとき魔術師には無理でございます。それこそ神官が簡単に復活(リザレクション)の奇跡を出来ないのと同じでございます。

ワタクシに出来るのは残留思念を依り代に憑依させる方法でございます。


ちなみに依り代にはシンプルにお墓の土を使わせて頂きました。


結果としては魔術は成功、依り代に取りついた村の皆さんのお陰でゴブリン達は皆殺しにされてしまいました。最初は正直ワタクシの魔術が未熟で指示を上手く出せず酷い事になってしまった物と思っておりましたが、よくよく残留思念の話を聞いて見れば、自分達を皆殺しにしたゴブリンが村に住んでる事が許せなかったとの事。

まぁ少々残酷な結果になってしまいましたが、取りあえず拠点を確保する事が出来ました。


ワタクシは村の村長の思念から役場を教えて貰い取りあえずの家としました。ゴブリンの皆さんは存外綺麗に使用していたらしく住むだけなら十分使用出来るレベルで保存されておりました。


さて人間の生きていく上で必要な物を衣食住と申しますが、ワタクシの場合、衣住は何とかなりましたが食が問題となりました。

当座の食料品は持ち込みましたがそれとても何時までも持つ訳では在りません。

ワタクシ数時間の思案の末にここは魔術師らしく魔術を持って解決しようと考えました。

とは云えワタクシ土魔術や植物系の魔術等は得意では在りません。正直言えば出来ません。やり方は知っているのですよやり方は!

しかし知っているから成功するとは限らないのが魔術の残念な所です。相性の壁を乗り越えるのは中々難しい物なのですよ。


さて、自分への言い訳はこれぐらいにして出来る事をやりましょう。

ワタクシは死霊魔術師、であるならば当然解決手段も死霊魔術となるのは必然!

さて、ここに新鮮な死体があります。そして私の魔術で活性化した残留思念この二つをこのように掛け合わせれば、フンッホッオリャアはい!

見事、リビングデッドの出来上がり。

いや〜我ながらいい仕事をしました。ゴブリンの肉体を修復した上で脳に残留思念から取り出した情報を上書き保存、見事なリビングデッドが出来上がりました。

何より素晴らしいのは精神と肉体の相乗効果によって当時の村人を見事再現して見せている所です。

唯一肌の色が緑色な事を除けば・・・

しかしこれにて食の問題も解決したも同然!

何といってもこの村の皆さんは農業従事経験者、きっと私の指示を理解して作物を作ってくれる事でしょう。


講してワタクシのスローライフは始まりを告げたのでした。


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