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第二章:訪れるは魔女の足

第二章:訪れるは魔女の足

      *

 空調の効いた教室。

 時分は午後の三時二十分、講義は六限目だった。

 外界の熱射と蝉の喧騒を無視して、生徒たちは講師の話を傾聴していた。

 内容は地政学、その中でも特に地政学から鑑みた経済を取り上げた講義だ。議題は、現在の世界経済から鑑みる世界の情勢、だ。

 ……こういう手の話は、やっぱり波坂の得意分野なのだろうか。

 教室の前から二列目、窓側の席に座る遠野は何気なくそんな事を考えていた。

 自分の隣に座る少女、波坂・伊沙紀。官僚上がりの首相を父に持ち、神州神話機構の大佐相当官。佇まいからして気品に溢れるが金銭に目聡く、会計の能力は一級品と名高い。

 ……波坂曰く、この世界を支える経済大国は―――。

 遠野の考えを、女性講師が代弁した。男勝りな講師は力と熱の入った口調で、

「印度、まさにそれに尽きる。米国というドル箱が消え、海上空輸のどちらも危険が増したこの十年、中間貿易という利点で欧州からアジアまでの貿易利益を掌握した印度は、金の力に物言わせて世界屈指の労働力を持つ東南アジアを経済協力圏として吸収した!」

 講師は演劇でもするかのような振る舞いを続ける。

「神州を含め、欧州や中東、南アフリカ、アボリジユ、南米までもが印度の貿易力に頭が上がらない状況っ! 近年は盤石となった護送能力をこれ見よがしに活用して、世界中に資源を供給する貿易艦隊を編成しているのだ、アア凄く羨ましいィイ!!」

 何故そんなに悔しそうに喋るのだろうか。皆がそう疑問に思いつつも、講師の女性は正面の大型ディスプレイを叩いてこう告げた。

「ではここで質問だ。一応授業だからな。印度も神州と同じく国営の主導権を継承者たちが奪って、かつ経済を中心として生きている。ならば、他の襲名組織、連合はどうだ?」

 端的な問いかけに、教室は一度静まる。

 遠野は無論答える気はなかった。二月前の蒼衣の暴挙を機に、全部長を監査する幕僚監部が新設され、その幕僚長に彼は任命されはしたが、まだ半人前の域を出ず、組織運営に専念しているせいがそこら辺の知識が疎かになっている。

 ……生半可な知識で答える訳にはいかない。受動的になるのは良くないが、まだ手を出していい分野でもない。ここは真摯に他人の知恵を学ぶ事の方が得策だろう。

 そう思った遠野は、とりあえず横の人間を尻目で捉えた。

 波坂だ。

 この小隊でも、彼女は何ら遜色ない実力の持ち主だ。積極的な性格も相まって、質問への挙手回数はかなりの数になる。今回もそうだろうと彼は思っていたのだ。が、

「なんだ。誰も答えないのか? 分からない訳でもないだろう」

 何故か、波坂は顎肘を突いたまま動こうとしなかったのだ。

 答えないのか? と彼は自分の予想が外れた事に内心残念の感情を得つつも、それならばと別の予想を立てていた。

 ……他に分かる奴となると岩戸か朝臣、宿禰。――それと、空か……。

 最後の空は、正直本当に答えられるのか怪しいところだった。否、まず無理だろう。

「……そもそも寝てるしな。質問のしの字すら聞いてない」

 流石は生徒会長の妹だけあって、授業の居眠りは日常茶飯事だった。

 午前中も、攻撃制限で何もできないから獣化して逃げ回っていたところを、まんまと岩戸に撃ち落とされ、挙句の果てに遠野と波坂を巻き添えにして敗退した。

 濃紺の柔らかな髪を背中まで流し、細い両腕を枕にして安眠する少女。覗ける寝顔からは時折笑みを浮かべているのが分かる。良い夢でも見ているのだろう。結構な事だ。

 ……それはさておき、今は授業だ。誰も答えないなら俺が行くしかないが、やはりできれば他人の解を聞きたかったな。

 そもそもどうして波坂は動かないんだ? 空のように居眠りをしている訳でもないのに。

 観察する限り、先程から空いている右手の五指が小刻みに動いて、デスクの画面に何かを入力し続けている。少なくとも寝ているという可能性は皆無だ。

 何を考えているのか。何かの帳簿でも書いているのだろうか。

      *

      *

 中華と日本食、どちらが良いか。

 かれこれ十分近く彼女は悩み続けていた。悩むのは、水色の長髪を一房に結った少女。

 波坂だ。

 一人の少女として、初めて料理を男に食わせるのだ。自分の至極を出すのは当然だが、相手の好みを全く無視する訳にもいかない。

 左手で顎を着き、多少体勢が悪いのも無視して波坂は手元の画面にメニューの案を書き込み続けている。遠野から見えないよう、画面の大きさと身体の位置はすでに考慮してある。右の席に座る空は相変わらず愛らしい寝顔を晒して、こちらの英気を養ってくれる。

 ……もうこれぞ快なりですわ! 今ワタクシは人生の絶頂にいる気さえしてきますもの!

 隣に殿方を置き、殿方の夕飯の献立を考えながら愛娘の寝顔を楽しむ。心臓の鼓動は高まる一方だ。もはや留まる事さえ知らない。

 ……フフフ、やはりここは無難に日本食で攻めてみるのが最上ですわね。ワタクシの調べでは和時さんは和食と中華が好みのようですけど、頻度からして和食の方が多い。

 日常的に口にする物ならばそれだけ味を選ぶ。相性が良ければ、こちらの好感度はうなぎ上り間違いなしだ。

 ……そうとなればメニューの組み合わせを考えないといけませんわ。お米はご自宅の物を頂くとして、主菜副菜、汁物、それとデザートをどうするかですわね。

 こちらがもてなすのだから、あまり質素な物ではインパクトが足りないし失礼だ。そうなれば、多少凝った料理でも悪印象は着かないだろう。

「ではここで質問だ―――」

 教卓に立つ講師の声が一瞬聞こえたが無視。波坂は全集中力を、今晩遠野に振る舞う料理の献立の計画に費やしていた。

      *

      *

 アイツにもアイツの用事があるのだろう。

 波坂の黙考具合をそう結論付けて、遠野は質問に答えようとする生徒が現れないか待った。

 教室に無言は続いている。

 前の講師も久しぶりの沈黙が辛かったのか、口調にそぐわず手入れの利いた髪をポリポリと掻くと、消しゴムを一つ取り出して唐突に構えた。そして、

「よっ、と」

 講師はそれを投げた。

 消しゴムは緩やかな放物線を描き、そのまま一直線に、前から二列目の席に座る少女の頭にクリーンヒットした。

 当たったのは濃紺の髪。――空だった。

 ……まあ当然だろうな。

 小さく吐息した遠野は、視界の端で頭を上げて首を振る空の姿を認めた。瞳は寝ぼけてとろんとし、頬が緩んで何とも間抜けな表情だった。

 く、と思わず室内にいた生徒たちは失笑した。

「ほーら静かにしろ。そして蒼衣、授業中だ。寝るのは構わんが、もちっと眠気を堪える努力をした雰囲気を出せ。確信犯にしか見えない姿勢だったぞ」

「……え、あ、はい。しゅいません」

 眠いです、と地味に寝かせてくれとせがむ空。静かに漂う大物の匂いに、流石の生徒たちも苦笑するしかなかった。講師も嘆息を漏らして彼女に言った。

「分かった。とりあえず質問に答えてくれたら寝てていいぞ。今の世界各国が取る主な同一方針、またはそれぞれの特徴を適当に言ってくれ」

 半ば呆れた講師は雑に答えを要求する。が、はいと返事した空は立ち上がると、手元のディスプレイを二、三度触れて操作し、講師の質問に答え始めた。意外とはっきりとした口調で、

「ええ、と。――まず神州は神役継承と神名の襲名を推進する以外、これといった動きはしてないです。朝鮮は極貧、中華道州も内部統制がとれておらず、近辺で国家運営がはかどっているのはインド経協圏とオセアニアンくらいです。

 中東は印度からの援助と資源産出を糧とし、領域問題を持ちつつも現状の維持を図っているみたいです。他で大きなところは欧州と英国、北欧、スラブです。欧州は技術研究と経済力の底上げ。英国は自給力の拡充。北欧は神役、神話を至上として神話再現を行い、スラブはひたすら外敵への防護を優先させるようです。なお、」

 なお、と空は説明に捕捉を付け足した。

「どの襲名組織も国家の中枢に入り込み、その殆どが内部の統制をしてるみたいです。法律の上では国家運営は民主制を謳っていますが、実際問題として神役継承者が世界を牛耳っているのは明白です」

「くそ。可愛い顔してるくせに、なまじ上手い回答しやがて。実は腹黒なんじゃないのか。これだから女子は好かんのだ。評価下げてやろうか」

 気にするのそこかよ!

 ほぼ全員からのツッコミを受けたところで、講師は空に寝てていいぞと手を振った。

 許可を頂いた空は、早速椅子に座り直して机に腕と頭を預けた。寝たいがために頑張って答えたのだろう。すでに放っている空気がウトウトしている。

 ……カンペでも見てたのかアイツ?

 内心で疑問しつつも、遠野は空の発言をまとめて、データブックに保存した。

 ……全く。

 遠野はふと、窓の外を覗いた。快晴の大空が日差しを落とし、その向こうには積乱雲が小さく立ち昇っている。自分に呆れて溜め息が出るのを、彼は抑えられなかった。

「……スサノオを襲名して、神力も得て、〝有者〟の力も使えるようになった。――だが、俺はまだこの世界の事を知らない。外に出なければ、それはないのと同じだ」

 神州を統べる三貴神の一柱になったからには、一度外交の席に着くのもありかも知れない。これまで蒼衣や波坂たちがやってきた事を、今度は自分も明確に手伝う事ができる。

 それにもうすぐ夏休みだ。二月前の揉め事もだいぶ収集が着いて、新設された直轄の特務隊の方にも余裕が出てきている。顔を広げる良いチャンスだ。明日の会議の時に蒼衣に提案してみよう。

 たおやかな天を見仰いで、遠野は静かにそう思った。

      *

      *

 澄んだ空を見上げて、長衣を纏ったその者は小さく笑んだ。

 傍にはもう一人、長衣を着た人間が立っている。

 目の前にするのは、高さ七メートルに達する垣。黒く、厚い壁だった。

「空が蒼いねぇ。ここも結構熱いけど、向こうに比べるとまだ涼しいくらいかな?」

 その不気味な見た目とは裏腹に、口調は気軽で短絡的だった。

「こちらは湿度があちらほど高くない。その分それなりに涼しく感じられるだろうね」

返事した方は冷静な声質が特徴的だった。

 ふーん、とその言葉に頷いた気楽な方の長衣は、再度フードを深く被ると、

「ま、いいや。どの道遊ぶだけだもんね。どのくらい楽しいか、まずはお手並みを拝見つかまつるよう!」

 もう一人の長衣を連れて小気味良い足取りで壁に近付いた気楽な方の長衣は、片手を前に出して、小声で言葉を放った。

『――〝私に従え(Follow me)〟』

 二人の足元で、何かがうごいた。

      *

      *

 その警報は突然だった。

 講義の途中、前触れもなく警戒態勢を知らせる警報が学園全域に発せられたのだ。

 しかし、警報とは別に、学園は喧騒に包まれていた。二年D組の教室でも、

「おいどうなってる! 何が起こってるか通達はないのか!? 通信士!!」

 遠野はクラスの通信伝達を担う放送委員を怒鳴った。が、通信士は首を振るばかりで、明確な情報がないと喚いている。どうやら放送委員会でも情報が錯綜しているようだった。

 ……くそ。指揮所と通信科の連携、まだ練度が低いのが祟ったか。

 頭の中で毒づきつつも遠野は、次の間に校内放送が入ったのを悟った。

『……えぇ、あー、えーと、――し、侵入者発生をお知らせしましゅ。不正規のルートから侵入を確認、現在侵入者は学園内で魔術を行使している模様。被害状況、場所など不明。常時特務隊の生徒は速やかに捕縛、または迎撃に当たるようにお願いします!』

 放送はそれで終わった。命令の繰り返しもされず、まともな情報が一つもなかった。

戦 闘訓練だけでは駄目だな、心底そう感じた遠野は嘆息し、横にいた少女に言葉を掛けた。

「波坂、どうなってるか想像が着くか? 侵入者みたいだが」

 問いかけに、波坂は腕組みして答えた。

「おそらく幻惑か何かの魔術を使い、結界に細工でもしたのでしょう。術を行使されたのは分かったが、 結果的に何人潜り込まれたか分からず、とりあえず探せ、と」

「ま、それが簡単な推察だな。おい、宿禰。指揮系統と指揮所の情報を漁れ」

「にょ? いいのかー?」

 遠野の呼び声に、教室の隅でアダルト雑誌を熟読していた少年が反応した。

 ――宿禰・真人。無継承でありながら襲名を果たした非継承襲名者の一人だ。変態と名高き馬鹿だ。短い茶髪と細身が印象的な少年で、襲名神は知略を司るオモイガネ。中尉相当官だ。

「ああ、お前の〝本〟と技術なら侵入するくらい楽だろ」

「遠野・和時。表だってそういう発言の仕方は頂けませんわ。気を付けなさいな」

「緊急事態だ甘く見ろ。――出来るか、宿禰?」

 できるよーん、と宿禰はあっけらかんと応じた。

 彼はアダルト雑誌を仕舞うと、手元に淡い発光を示す魔力物質を出現させる。彼が編み出した術式残留媒体、通称〝本〟と呼ばれる情報統括も行える特殊術式だ。

 彼は〝本〟を片手に持った状態でデスクと向き合い、超精密な魔力操作技術を駆使して電子回廊に侵入する。特に苦労した様子もなく、彼は数秒で遠野たちに向き直った。うーん、と数秒唸った後、

「とりあえず無人区の方の外堀で術式を行使したとみられる魔力が感知されてるっぽいよーだよ大将ぅ。結界自体は破壊されてないから魔術師だろねーこりゃあ」

「そうか、分かった。あとで礼をする。――波坂、それと起きろ空。俺たちも出るぞ!」

 警報音が鳴り喚く中でまだ熟睡に生きる空を叩き起こす。何も言わず起きるまで叩いた。

「痛い! 痛いよ何するの和時君?」

「貴女という子は……。蒼衣・空、緊急事態ですわ。ワタクシたちも出張りますわよ!」

「え、どこ? 悪い人……?」

「少なくとも不法侵入ではある。空、さっさとシャッキとしろ」

「涎も拭いて。忘れ物はありませんの? リュウ属用の符とハンカチ、信号弾は持ってますわね?」

 ん、と目蓋を擦りながら空は頷いた。

「大将も伊沙紀ちゃんも空ちゃんも親子してないで、急がねえと怖―い竜王にどやされんじゃねえのー?」

 宿禰の一言に波坂が肩を震わせた。瞳を金色に輝かせて、

「親子なんかしてませんわよこのマッパ!」

 宿禰を波坂が痛めつけてから、三人は五階の窓から飛び降りた。

      *

      *

 敵の強さが未知数とはいえ、限られた空間。まずは発見を最優先にすべきだろうと考えた三人は、分散して侵入者を追う事にしていた。

 空は市街地演習場〝無人区〟に隣接する〝森林区〟。波坂は〝森林区〟に近い学生寮。遠野は〝無人区〟の横に位置する〝能力開発区〟だ。

 特務隊は他にも二十名近くいるが、できれば接敵するのは空か波坂であってほしい。

 ……特務隊でも二人の実力は折り紙付きだ。圧倒するだけの差があってくれた方が安心できる。

 だがそうは言っても、と遠野は走る足に力を込めて叫んだ。それは、

「今日の神力使っちまったから何も出来ないだよな俺! 無能者じゃ勝てないぞ!」

 今敵に遭ったら十中八九殺される。半日近く魔力を練れば神力を発動できるだろうが、時間にそんな余裕はない。念話もできない今、もはやどこにいても似たようなものだろう。

「現場指揮は波坂に委任した。全体の指揮も会長が取っている筈だ。なら、やるとしたら最悪侵入者を見付けて信号弾を飛ばすくらいだな……」

 役立たずだと自分を罵って、遠野は疾駆する足を更に速めた。

      *

      *

 E字状に建つ新東合学園の教棟。

 中央に位置する二学年の教棟。その屋上には巨躯のオニが一人いた。

 二年D組の担任である国語教諭、鬼村だった。

 赤い肌に角、体長二メートル近い巨体を持つ彼は、真っ直ぐな瞳で五百メートルほど先にある〝森林区〟を見詰めていた。

「警報が鳴るから何かと思ってみれば、また性懲りもなく……」

 オニ属らしい重低音の声で、しかし冷静な口調で鬼村は呟いた。

「このまま行けば寮か園芸広場に出そうですね。手持ちの紙で足りるかどうか」

 仕方ないと鬼村はぼやいて、その図体には似合わない動きで軽々と屋上の柵を飛び越えた。そして、

「……今回は自分が出ても問題なさそうです。久々に妖精(あの子)たちと戯れてみますか」

 鬼は魔術で気流を操り、グラウンド前の大広場に緩やかに降下していった。

      *

      *

 グラウンドと水路を越え、寮の手前にある園芸広場に至った所で、波坂は空気が変わったのを悟った。

 空気が重い。

 けたたましかった蝉の音すら耳には届かず、静かな空間がそこに広がっていた。

 竜王に殺気を向けられた時と似ているが、あれは間近で直に向けられていた。だが、今のはただ辺りに殺気を放ち、あまつさえ認識もされていない状況でこの圧力だ。

 ……圧倒的な力量の差がある、という事ですの!?

 勝てないかも知れないという不安に、足が竦みそうになる。

「幸い、一番乗りのようですわね。念で連絡するのもありですけど、盗聴技能を持っていられては迂闊に使えませんの。戦闘の音で勝手に集まってくる事を願いしかありますせんわ」

 ならば、

「神州神話機構所属、新東合学園生徒会本部会計、大佐相当官。波坂・伊沙紀。――そこにおりますのは分かっていますわ! 四肢を隠す事なく尋常に姿を現しなさい!!」

 名乗りを挙げ、波坂は相手の反応を窺った。

 威圧感、そして周りを包み込む気配からして近くにいる事は明白。届いていないという事はあり得ないだろう。奇襲を受ける可能性を考慮して、彼女は腰を落として身構えた。

 眼球に魔力を集めて異能を行使寸前で止めておく。その過程で体内の魔力を整調、周囲の魔力を吸収し精製していった。

 ……邪眼から見る限り魔力の漏れはしていないですわね。ここまで用意周到、なおかつ圧倒的な戦力差を持っていながら油断を見せていない。

「――まさかオリジナルの魔術師?」

 と少女が想像を口にした時だった。

 波坂は目を見開いた。

 広場のむこう。一瞬だけ意識を外したその隙に、長衣を纏った誰かがそこに立っていた。

 ……っ、いつの間に!

 気配、この威圧感からして侵入者はあの者だろう。距離はまだ百メートル近く開いている。

 長衣の侵入者はフードを目深に被って顔を隠し、その身長からも長衣の性別を判断するのは難しかった。少しでも相手の情報を得たいが、何故か上手く認識できない。

 と、長衣が静かな歩調で歩き始めた。徐々に近づいてくる。

 どう対処すればいいのか分からなかった。敵は襲い掛かる訳でもなく突然出現し、明確な敵意も剥かずにこちらに接近している。在るのは、ただ重い殺気のような威圧感のみ。

 この炎天下、波坂は奥歯を噛み締めた。頬を伝った汗が顎から滴り、胸に落ち制服をわずかに湿らせた。

 直後。

 波坂は躊躇を払いのけ、捕縛という一手に全力を投じた。

「縛しますわよ〝邪眼束縛〟!!」

 ありったけの魔力を侵入者の霊体を縛る事に費やし、圧死覚悟で束縛した。

 全身の毛が逆立つ思いがする。

 あれはヤバい。危険だ、と本能が叫ぶ。

 逃げろ無駄だ、と理性が警告を鳴らす。

 だが彼女は引かず、長衣に立ち向かった。精製される魔力を神力発動に溜めながら、

「逃げるよりも、戦わなければならない時代ですの! 今は!!」

 異能を発動させ、神力を準備し、その上彼女は魔力弾を作成し始めた。

 処理能力のキャパシティを越えた脳は沸騰しそうだ。しかし歯を食い縛りその激痛を堪える波坂は、動きを停止させた長衣目掛けて手加減なしの火炎弾を投射した。

 紫電の如き速さ。

 火炎弾は長衣に直撃し、轟音を唸らせ爆炎と煙が発生した。

 普通ならば即死レベルの威力だった。

 異能を掛ける力を、波坂は解かない。手応えはあった。威力も十分だ。しかし安堵などする気は最初からなかった。何故ならば、

「邪眼の手応えはまだ健在ですわ!」

 援軍が来るまで持ちこたえられるか勝負!

 少女は防御壁とするべく、眼前を取り巻く気体の流動性を神力で半円状に縛した。

 圧倒的な決定打をこちらが持っていない以上、対処でしか相手を計れない。魔弾を幾ら放っても効かなければただの消耗。こちらがどこまで通用するか見極めなければ。

 ……さあ。相手方はどう出てくるのか!

 待ち構える波坂は、晴れていく煙の中から長衣を認めた。――途端、息を呑む。

「近付いてますわ……!」

 ぎこちない足取りで、しかし着実に長衣はこちらに歩みを寄せていたのだ。

 異能の捕縛は完璧だ。筋肉はおろか内臓の機能すら縛り付けている。普通なら、指一本でも動かせている方がおかしい状態なのだ。歩行の理屈を探ろう考えた波坂だが、長衣が腕を動かそうとしたのを悟り、

 ……とにかく攻撃ですわ!

 動いているとはいえ速度は亀ようのにのろい。それなら、撃って撃ちまくるのみだ。余力を魔弾に費やして、波坂はありったけの魔弾を長衣に見舞った。

 計十五発。全て直撃した。

「――っ」

 流石にこれ以上は脳が持たない。波坂は一時的に神力による防壁を解いた。

 バックステップを踏み、距離を空ける。まだ異能の手応えが残っている。おそらく瀕死か死体、少なくとも動けない状態になっている筈だ。

 ……一分以上心機能を縛されて生きている方が恐ろしいですわ。

 侵入者を殺してしまえば元も子もないが、殺してしまわなければならないと直感できた。

 直感させる相手をわざわざ生かす事もない。危険は極力排除する方が無難だ。

 爆煙が消えるのを待つ。念のため、異能は一度も解かずにいた。

 が、ややあってから、波坂は絶句した。

 長衣は立っていたのだ。

 先程よりもスムーズな足取りで一歩ずつ、自分の許へ近づいてくる。

「――嘘、ですわ」

 もはや放心するしかなかった。

 何故死んでいないのだ。心臓を止められ、即死の攻撃を無防備に食らったのだぞ。

 何故生きている。

 全身に鳥肌が立つ。

 逃げなければ。

 これは無理だ。殺される。勝てない。

「貴方は、いったい……!」

 問い質す声が震える。敵前逃亡はしたくなかったが、そんな事を言っていられる余裕は、今の彼女にはなかった。

 始め百メートルあった二人の距離も、いつの間にか、五十メートルを切っている。

「ッ―――」

 だが舌打ち一つ。波坂は退かなかった。

 空や今の遠野にコイツを合わせる訳にはいかない。逃げ出す訳にはいかないのだ。ここで食い止めなければ、空や遠野が傷付くかもしれない。蛮勇にも、彼女は長衣に立ち向かう事を決めた。 

 波坂は、人差し指を長衣に向ける。

 パン。

 銃弾サイズの魔弾を一発、長衣のこめかみ目掛けて放った。

 魔弾は数瞬で長衣に到達し、長衣の頭部を撃ち抜こうとする。爆発を生む魔弾では直前に何が起こっているか判断しづらい。無傷の理由を知るための小規模魔弾だった、が、

「な―――――!?」

 命中する寸前で、魔弾は消去された。

 魔弾が飛来する中で、侵入者は不動。ただその影だけが一瞬ぐにゃりと揺らぎ、その直後には泥のような塊が長衣の目の前に飛び出し、波坂の魔弾を受け止め吹き飛ばしたのだ。

 彼女は軽く目を見開くと、しばらくして息を詰めた。

 ……全て今の泥のような影で防いでいましたの。なら、邪眼の干渉も別の何かが請け負っていると考えるのが妥当ですわね!

 この一分の闘いで消費した魔力はすでに自己生成量の五倍近い。周囲の魔力も無駄遣いする訳にはいかない。ここは、異能で足止めし、魔弾で防戦を強いるのがベストだ。

 そうとなれば、と彼女が魔弾を放とうとした時だった。

 再び、長衣の足元がグラついた。

 侵入者の周囲に歪な魔力が集約している。影から生まれる泥のようなモノは、徐々にその形を得ていき、最終的には、

『――』

 ヒトの呻き声に似た音を挙げる、黒い人形がなった。

 二体の、ゴーレムだった。

「悪趣味なものを!」

 背中を擦る悪寒を堪えて、波坂はゴーレムに魔弾を乱発した。

      *

      *

 遠くの方で爆発音が聞こえた。

 おそらく侵入者と特務隊の誰かが戦闘に入ったのだろう。

 自分もそこへ向かうべきか、空は走りながら悩んだ。

 今、自分が向かっているのは陸上演習場である〝森林区〟。爆発音は波坂が向かった寮や第二講堂の辺りだ。距離的には近いが、

「まだ他に侵入者がいないっていう訳でもないし……」

 また爆発音が聞こえた。今度はかなり大きい。それも二度、三度と続いている。

 空がいるのは〝森林区〟と、その手前にあるスポーツ施設の間。眼前にある水路を渡ればもう目的地だ。

 ……助けが欲しいなら念話してくるだろうし、何もないならわたしはわたしの役割を果たさないとダメだよね?

 水路の前で立ち止まり、空は考える。

「うーん」

 こちらから念話を届けるのは集中力を乱す恐れがあるからなるべく避けたい。なら、

「やっぱりわたしはこのまま森に入ろうかな……」

 空は不安がりつつも結論を出した。

 すると、少女は水路の向こうに人影がいる事に気が付いた。

 一瞬特務隊の生徒かとも思ったが、人影はマントのような物を羽織っており、足取りもどこか不自然だった。もしかするとこれは、

「――あのヒトがそうなのかな?」

 侵入者かも知れない。

 空は小走りに水路に架かる橋を渡って、マントの許へと近寄った。

 五メートルほど距離をおいて、濃紺の少女は口を開いた。

「あの、侵入者の方ですか!」

 フードを被っているせいで顔が見えないから少し怖い。

 空の接近でマントは立ち止まり、しかし無言が返ってくるだけだった。無反応な事に首を傾げ、空は恐る恐るマントに近付いていった。

 が、ふと不意にマントが動いた。

 脱力したようにガクリと頭を下げたのだ。場所が場所なら、うたた寝しているように見える仕草だった。だが、その唐突な動きに空は吃驚し、全身を硬直させた。

 ……ね、寝てるのかなぁ。

 時分は午後の昼下がり。夏場ゆえ暑いが、陰に行くと涼しい。マントのヒトも昼寝したいのを堪えていたのだろうか?

 ……悪い人なんだよね?

 呑気に昼寝する人がそうなのか甚だ疑問だったが、本当に眠っているのか確かめるために、空は更に近寄った。間近に寄って分かったが、結構背が高い。生徒会の書記の人くらいだろうか、と空は頭の中で思った。

 そろそろ手が届く。指で突いて起きているか確かめてみよう。

 ……危なかったら獣化すればいいし。

 冷や汗を流しながら、そっと肉薄した空。

 しかし空は、ふとフードの中の顔が気になって思わず見上げた。直後、

「ひ―――――!!?」

 頭が真っ白になり、思考が停止。身体が硬直して動けない。

 空が見たものは悍ましい光景だった。黒ずんだ肌。焼けただれたような皮膚は膿み、悪寒を誘う。眼球はほぼ吐出し、溶けた目蓋から今にも落ちそう。口から覗く歯と舌は妙に生々しく湿り、空腹に餓えた獣のようだった。

 目が合った。

 瞳孔の開ききった、腐った魚の目。

「ぁ、ぁ……」

 言葉にならない恐怖と悪寒が足を竦ませ、背を凍らせ、身体を動けなくしている。

 目が放せられない。

 吐出した左目がにゅるりと音を立てて、

 ――べとり。

 空洞になった左目が見える。

 頬に生温かいぬるりとした感触。空はそれが何であるか気付くまでに数秒掛かった。

 恐怖に視界が歪む。塞がらない口から、少女は、

「ぅぎゃ――――――――――っ!!」

 絶叫を発して、恐怖のあまり気絶した。

 マントの中の死体にしか見えないゴーレムは、倒れた空を不思議そうに眺める。

 しばらくすると、すぐ傍の〝森林区〟から姿をふと現した男がいた。

 杖を突き、夏場だというのにコートを着るその男は、おぼつかない足取りで少女とゾンビに歩み寄る。ゾンビは彼に気付くと、そそくさと下がり大気に霊子となって消えた。

 男は立ち止まって片膝を着く。杖を置いて少女の手を取り、血脈と脈炉を軽く計った。

 彼はフードを剥いでおり、容貌もはっきりと分かる。男はまだ若い。三十代半ばという印象だが、髪には所々白の筋が混ざっており、どこか儚い灯を思わせる雰囲気を纏っていた。

「濃紺の髪、――帰化性の高い精霊か」

 脈を計り終えた男は、次いで少女の服に手を着けた。

 乱れたスカートを整えて袖や裾を正し、男は置いた杖を取るのと一緒に少女を抱き上げた。

 感情の読めない虚ろ瞳で、男は少女を見下ろしている。

      *

      *

 遠くから聞こえた爆発音に、遠野はすぐさま反応した。

「爆発っ、――寮の方か!?」

 無人区から寮までは四百メートル以上離れていたが、彼の聴覚はその位置を正確に掴んでいた。すぐさま身体を翻し、遠野は走り出した。学生寮に向かって、だ。

 ……寮の辺りは波坂が行っている。爆発はアイツの魔弾か?

 遠野は頭の中で思考しながら、そして何も出来ない事を理解した上で駆けていた。

      *

      *

 波坂は、目の前の戦闘に呆気に取られていた。

 彼女は戦闘から外れていた。何故なら加勢が一人来たからだ。

 戦うのは先程まで自分が相手していた呪術を使うゴーレム遣いと、自分のクラスの担任である国語教諭の、

 ……鬼村先生、こんなに強かったんですの!?

 鬼村が使うのは敵と同じ人形だった。

 周囲の草木を主原料とした木人形だ。木人形は、敵のゾンビと互角に張り合っている。

「ゴーレムって土っぽくて砕いたら終わるようなものだと思ってましたけど、これを見る限り何でもありですのね……」

 敵のゾンビ。当初はゴーレムと考えていたが、千切れても動き続けるところを見ると、やはり不死身のゾンビのように思える。鬼村の木人形も不死身かと思うほど再生力が高かった。

 ゾンビは腐った身体を軽快に動かして木人形を切り裂いていく。

 木人形は蔓と茎の肉体を縦横無尽に伸び縮みさせて身体を打ち付けていく。

「ひひ……!」

 長衣の笑い声が聞こえた。心底愉しんでいるような、ゾッとする笑い方だった。

「まだまだこんなものじゃない筈です! ――奔れ〝木霊ドライアド〟!!」

 叫んだ鬼村は手に持った紙片を数枚投げた。

 紙片は空中で一瞬子葉のようなものが生えたかと思うと、瞬時に周囲の草木が吸い込まれていった。数秒後には新たな木人形が三体できあがっていた。

 鬼村の手数が一気に倍増した。

 ゾンビ二体に、木人形が五体。これなら押し切れますわ、と波坂は思った。が、

「な……っ。――食うとはまたこれいかに」

 ゾンビを木人形が粉砕した途端。付着した肉片が木人形を犯し侵食し増殖して、ついには一体丸々飲み込んでゾンビが再生してきたのだ。

 人形とはいえおぞましいその光景に、波坂は悪寒を感じずにはいられなかった。

 ……助けに来てくれた鬼村先生には感謝しますが、手を出すなとは一体。多少の助力はワタクシにもできますのに。

 後退するしかなかった波坂の許に鬼村が来たのは、ほんの数分前だ。

 鬼村は到着した瞬間、助力不要と言い放って、一対一で長衣のゴーレム遣いとの戦闘に入った。集中力の限界に近かった波坂はそれを従うしかなかった。

 戦闘は苛烈を極める。

 長衣の方もゾンビを一体追加し、後れを取らまいと鬼村は攻撃の回転を上げた。

「いひ―――」

 甲高い笑い声が響く。

 が、不意に長衣が身を回して、長衣の前の合わせから両腕を突然直上に掲げた。

 白く細い腕としなやかな手が、波坂の目に留まった。だが何事かと思う間もなく、長衣は動いていた。頂点に掲げた腕を地面に真っ逆さまに振り下ろしたのだ。

 直後。

 ゾンビが木端微塵に破裂し、霊子になって消滅したのだ。

「…………」

 波坂は言葉が出なかった。

 何が起こったのか、そして長衣の目的が理解できず呆ける事しか彼女にはできなかった。

 いつの間にか、鬼村もその攻撃の手を止めている。

 と、鬼村は何を思ったか召喚していた木人形を解き、中にいた妖精もろとも自然に帰したのだ。波坂は吃驚し、慌てて走った。

「鬼村先生! 人形を放しては!」

 反射的に波坂は鬼村の前に立ち、邪眼を目覚めさせて魔弾を両手に構えた。

 しかし、鬼村は波坂の肩をポンと叩いて構えを解くよう促した。そして鬼はそのまま波坂の横を通り過ぎて、長衣の方に歩いていった。

 ……一体どういう事ですの?

 もはや訳が分からず、波坂はその場に佇み、脱力するしかできなかった。すると、

「いやあ、お久しぶりですエリスさん。――あっちから来るのは海瀬先輩ですか?」

「ん、そうだよクニキ。カイセが来たから止めたんだ」

 鬼村と長衣は互いに握手を交わすと、何故か親しげに会話し始めた。見れば、スポーツ施設群の間から何かを背負って歩いてきた長衣が、おそらく海瀬という人物なのだろう。

 ここまで来ると何もかも平静して見られる。すでにエリスと呼ばれた長衣からは殺気はおろか、敵意も感じられない。おそらく本当に大丈夫なのだろうと楽観してしまう。

 ……海瀬という方が担いでるのは、ああ空さんですわね。

 安堵の息をつき、警戒心を解いた波坂は、空を担ぐ長衣とは逆の方から遠野が駆けてくるのに気付き、その目で認めた。

「あら遠野・和時。――どうやら鬼村先生のご友人が侵入者のようで……」

 そう告げようとした波坂だが、疾駆してくる遠野の顔はどこかおかしかった。

 ……? 何故焦って、和時さんもう心配ありませんのに。

 眉をひそめた波坂は、どうしたのだろうかと彼を目で追った。

 遠野は自分の横を走り過ぎると、鬼村と波坂の中間で立ち止まる。そこから彼は、エリスと呼ばれた長衣を睨み付けた。その瞳は警戒に満ちている。

 しかし、和気藹々と話していたエリスという長衣は、遠野の事に気付くと、いきなり歓声を挙げた。嬉々とした声で、

「カズトキ!」

 遠野の名前を呼んだ彼女は、両手を挙げ、彼の許へいきなり駆け出した。

 走る勢いと風で長衣がはだける事もいとわず、エリスは遠野の胸に飛び込んだ。

「カズトキぃ!!」

 長衣が風に飛んだ。途端、波坂は目を見開いた。

 まず見えたのは、銀色に輝く豊かな髪だった。

 長衣の中身は女性。それも、遠野や自分たちとさして年の差も見られない美女だったのだ。

 ワンピースに似た白い服を纏う彼女は、その豊満な胸と共に遠野を抱き締める。きゃぴきゃぴと跳ねて喜ぶ彼女の胸の中では、遠野は何かを叫びながら必死にもがいていた。

 それを見た波坂は、絶句し、内心で叫んだ。

 ……か、和時さんに銀髪巨乳がぁあ‼ かかか、彼女彼女さんななななんですのっ⁉

 半刻前までは幸せ絶頂だった筈なのに、この一瞬でどん底に落ちた気分だ。崩れかけた膝を何とかふんばらせて起ち続ける波坂はショックに肩を震わせる。

 しかし、彼がエリスという美女からの拘束から無理やり逃れて叫んだ台詞に、彼女は驚嘆せざる負えなかった。何故ならば、

「な、何をやってるんだッ、――母さん!!」

 数秒、周囲が無言に包まれた。

「……え、えぇえええええええ!!?」

 波坂はもはや現状に追いつけなかった。


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