The last day
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲Ⅰ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
運命は信じていても奇跡は信じない、その逆も然り
では、奇跡がおきる運命だとしたら…?
はたまた、そう運命付けられていることが
奇跡だったとしたら…?
……あなたはどちらを望みますか?信じますか?
――――ここ、世立帝学園は
その両方の望みを叶えられた奇跡的な運命的な
人のみが学園生活を送ることを許されている
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時は満ちた…ってこういう時に使うのかしら?
デジタル時計の緑色の淡い光は19:50を映していた
「……来たかしら?」
不意に窓の外をみた
……ここ、二階よね?
そこに見えたのは
「ヤッホ~!ルークちゃん☆」
「来ちゃったわよ~」
「なんか…すいません」
………何故に?
……あ!
急いで静かにさせ、周りに誰もいないことを
確認してそこから中へ入れた
「……キィ、滋子、シュアゴ……!」
バカなの!?なんでいるのよ!
…だいたい、肝心なジョーカーは?
「あー!猫だあ!…ってルークちゃん、
猫飼っていいの?」
「…違反にはならないわ、部屋の中に収まるもの」
「そーゆー問題なんだ…」
……あら違うの?
……ジョーカーは?
「うわ~ルークの部屋結構落ち着いた雰囲気ね
…意外!」
「…そうかしら?」
「そうよ、だってルーク服とか高そうなやつ
多いけどお嬢様的なのは無いもの
むしろ少し派手目なのよね」
……よく、見てるのね
……あの時から気付いてたけど滋子は人をよく見る
……その人の好みや性格はもちろん、
その人の考えてることや
その人への……ベストな接し方、とか
……簡単にいうと、優しすぎて易しすぎる
さらに滋子はポーカーフェイスが出来ないわね
隠せない…自分のことを
嘘をつけない…誰にも
……こういう子は世に出たら潰されるわよ
……汚く不潔で不吉な者達にね
「あの…なんか私までお邪魔してしまって
ほんとスイマセン」
「……別に構わないわ、ここはガキの部屋よ」
……シュアゴ、割りと紳士ね
「お?皆揃ってたのか、待たせたなルーク」
……君が呼んだのか!
「……2分遅刻よ、時間にルーズな人は嫌い」
「好かれたいと思ってねぇよ」
………
「…………そうね」
「んじゃ、始めるか」
「…えぇ」
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「……ミュウェイ、あたしのペットよ」
……そして今回の鍵よ
「で、具体的には何をすればいんだ?」
……そうね、キィ達も来ると思ってなったから
……あたしの作戦では
①ミュウェイに犯人を突き止めさせてる〔clear〕
②あたしがその犯人について調べる
…それをジョーカーに手伝わせて
③使えそうな情報を片っ端から集めて脅す
………という感じね
……大人数か、どうしようかしら?
「なんだ?考えてなかったのかよ」
……バカにしないで、君が計算狂わせたのよ!
………でも
「……皆、ケータイは持ってるわね?
細かい指示はここからするわ」
皆ケータイをだして返事した
……いっそのこと同時進行にしてしまおう
「……よし、ではキィはミュウェイと一緒に犯人を
張ってちょうだい
どこにいるかは彼女が知ってるわ
…絶対に逃さないで!」
「オーケー、行ってくる」
……元気ね
…よろしく頼むわね
「……ジョーカーはあたしと情報集めよ
……ミュウェイに持たせたカメラに
犯人の画像が入ってるわ」
「地味な作業だな」
…黙りなさい
……フン、そんなこと言いつつ始めてるじゃない
「……シュアゴは、調べた情報をもとに
罠を仕掛けてほしいの」
「罠…ッスカ?」
……何て言えばいいのかしら
「……あたしが思うに君は賢いし、頭の回転も良い
気付いてないでしょうけどあたし達の中では
一番知識を持ってるわ」
……これはミュウェイが余計な情報も集めるという
迷惑な行動が教えてくれたこと……彼の生き方
「いや、一番知識持ってるのはルークちゃんスよ」
「……違うわ、狩りよ…いえ、君が今まで
生きてきた時間そのものについてよ」
………………
…………一応、ごめんなさい
「……!知ってるンスか?なんて、愚問ですかね
……いいでしょう、任せてください」
……助かるわ
「ねぇ、ウチは?」
………
君は……
「…………ホントはこんなこと、自分でしなきゃ
いけないのでしょうけど…危険だから」
……相手の気持ちを無意識に理解し、同感できる
「…危険、なの?」
「……滋子以外にはね
話してほしいのよ、犯人と」
……そんな滋子だからこそ相手は彼女に警戒し
あたし達に……隙を見せる!
「話す?何を?」
「……それはシュアゴが考えるわ
……犯人と口を聞いていいのは君だけよ、滋子」
「?どーゆー…」
「大丈夫ッスよ滋子ちゃん、
ルークちゃんの案は良案ッス」
……ありがとう
「まぁ、わかったわ
じゃあウチはシュアゴの指示を聞けばいいのね?」
「…えぇ」
……さあ、あたしも久しぶりに全力で探し物よ!
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それぞれの分担に別れて自分のやるべきことを
真剣に黙々と続けた
そして21:23を映しだしたデジタル時計はより一層
強く光りを放った
―――――丁度そんなとき
「そろそろいいだろう、ルークどうだ?」
「……いいわ、シュアゴお願い」
殆んどの情報 をネットからかき集め、持っている
知識と組み合わせ、丸裸にし、弱点になりそうな
ものだけを搾り取る
……へぇ、幼少期は日本の別荘で過ごしてた時も
あったのね……九州か
「フフッ面白いッスね……ホントはもうこんなこと
できないと思ったンスけどね」
……それは、“したくない”ってこと?
それとも“またできる、懐かしい…楽しみ”?
……まあ、どっちでもいいわ
「じゃあ早速、舞台はB棟4階ッス
滋子ちゃん 誘き出してください」
……!
……そこは!
「あの、B棟4階って……まさか」
「……モナーチの部屋、かしら?」
「そうッス……なんか、きな臭いくないッスか?」
……きな臭い?
…………なるほど、彼はもしかしたら
気づいているのかもしれないわね
…………あたしに
「……意外と勘いいのね、滋子お願い」
「…?ま、いいわ、行ってきま~す☆」
……滋子ならうまくできると思うけど念のため
キィにもメールしておこうか
「じゃあルークちゃん、ジョーカーさん
先回りしてください
モナーチは絶対に逃さないでくださいね」
「……了解よ」
「あぁ、………お前は?」
……確かに
……まさか終わるまであたしの部屋にいるわけでは
ないでしょう?
「私は…状況を把握しなければならないので
ここにいます
それと罠……仕掛けないとですしね」
……殺すわよ?
「……あたしの部屋はやめて
せめて自分の部屋にして」
「あぁ!そ、そうでしたね、スミマセン…」
ということであたし達はモナーチの部屋に向かった
シュアゴは自分の部屋に向かった
キィと滋子は犯人のもと
さあ、もう終わりにするわよ
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B棟4階――――ここにある部屋はモナーチの部屋
それだけ、他になにもない
そもそもこの学園はA・B・C棟からなっていて
A棟は学生寮で6階まであり、B棟は各教室で3階
プラス4階にモナーチの部屋、C棟は体育館や集会場
温室なんかもあって一番大きい
そして校庭、こうしてみると結構広い学園ね
……まあ、結構山の中にあるものね
……目立たず、ひっそりと、不気味に
とまぁ、暗くてよく見えない外を眺めながら…
「……着いたわ」
……モナーチの部屋
……結構質素ね
「失礼しまーす」
ガチャ
……無神経ね、悪くないけど
「おや?君達は確か…fast gradeだね」
「こんなに夜遅くに何の用かな?」
……モナーチ、子供、双子
……どうやら早寝らしい
「……用って程でもないですけど
……すみません、あと20秒お待ちください」
………18…17…16……………………
……………10……
「どういうことかな?」
……………5……4…3…2…
「おまたせ!」
…0……ジャスト!
「「……!」」
……おや?随分と驚いているわね
「……お疲れ様、キィ、滋子」
……助かったわ
「説明、しましょうか?お二人さん…」
「……言うまでもないわ」
「……クソっ…」
……!君は………同じクラスだわ
「……君もお疲れ様、モナーチの犬
でもここまでね、残念だったわね」
…わかってたわよ?
モナーチの指示でこんなことしたって
……ホントはもっと何かするつもりだったので
しょうね、あんな軽いのはものともしないわ
「…はぁ、どうやら我々は君を
見誤っていたのかもしれない」
「…はぁ、すまなかったね八重
私達の判断が甘かった、君に罪はない」
「……!そ、そんなガーコン様、フィッレ様
私が…未熟だったから……!」
……八重というのか彼は
……そんなに未熟でもなかったわよ?
……あたしがはめられたのだから
「ねぇルーク、モナーチの名前あなたの言う通りね
ガーコン、フィッレか…意味は?」
「……たまには調べなさいよ
……いいわ、教えてあげ
……ガーコンはおそらく英語で
召し使い、少年という意味のgarconよ
Cの音をSの音にして読んでるのよ
フィッレは同じく英語で娘、独身の女ね、filleよ」
「やはりさすがだな、新入生もとい侵入生と
言うべきか……君の存在に気付けなかった僕は
自分に対しての怒りを覚えたよ」
「だから君が来たときは心底嬉しかったよ」
……それは光栄ね
「どーでもいいが結果は犯人はモナーチと
その犬ってことでいいのか?
終わったならさっさと帰りたいんだが……」
……それもそうね、
ジョーカーの疲れたところ始めてみるわね
……それもそうか、まだ日が浅い
「そうだね、わざわざ御出向かいご苦労」
「もちろんポイントは加算させてもらう」
こうしてこの事件…もといモナーチの悪戯的ゲーム
は幕を閉じた
…なんだったのよ!もう!
「待ちたまえ、君には話がある」
「いや、正確には話を聞きたい」
「「…ルーク」」
……そう来ると思ってたわ
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「……ま、一度こうやって話さなければならない
と思っていたわ」
「率直に聞こう、何故君はこの学園にいる?」
……どう説明したらいいのかしらね
……そもそも話したところで
信じてもらえるのかしら?
モナーチの質問だから答えないわけには
いかないのだけれど……
……そのまえに
「……そうね、取り敢えずドアの向こうで
聞き耳たててるやらしい人達にお帰り願ってからに
しましょうか?…ねぇ?」
……バレてないとでも思っているのかしら?
「あ、アハハハハ…やっぱりバレるよね~」
「さすがッスね、ホントに…」
「ルーク…ごめんね」
「チッ」
「………」
……八重までまだ居たのね
「君達…戻れと言った筈だが?」
「……いいわ、やっぱり居てもいいわ
……後になって探られるのも酷だし
……モナーチ、続けましょう?」
「……君がそう言うのならいいだろう
では、先程の質問に答えてもらおうか」
……
「……あたし、コンピューター強いのよ
……どんなてを使ったかなんて覚えていないわ
……たまたまよ」
……事実よ?本当なのよ
「それを信じろと?」
……そうよね、こんなの信じる方がどうかしてるわ
……根拠も証拠もないものね
でも強いて言うなれば……
「………そうね、偶然と偶然が衝突して奇跡を生み
出した……という表現が合うかもしれないわね」
「…全く、理解に苦しむよ」
「…もういい、また後にしよう」
……説明が下手でごめんなさい
「とにもかくにも」
「今日はご苦労であった」
「諸君」
「ゆっくり休んでくれたまえ」
……皆さんも疑問符が浮かんでいるわね
……でもこの話はもう少し後になったら
知ることになると思うわ
……だってあたしは話すと思うから、
少なくとも今のあたしならね
★現在のポイント★
ルーク・710〔学習500、生活10、その他200
ジョーカー・707p〔学習482、生活25、その他200
キィ・538p〔学習362、生活44、その他132
滋子・547p〔学習356、生活71、その他120
シュアゴ・669p〔学習469、生活67、その他133
ミンスター・386p〔学習302、生活58、その他26
ペリドット・404p〔学習312、生活63、その他29
八重・3681p〔学習2976、生活294、その他411