Candy
とても短いものになってしまいました。すみません。
◆a boy◆
降り続いてた雨も止んで、僕の涙もやっとひいてきた。
さっきまで親友のように一緒に泣いてくれて、僕の涙を隠していた雨も、今は僕の心のようだ。さっきまでの荒れ模様がうそみたい。
だってあの子が太陽みたいな笑顔で、僕に笑いかけてくれたんだ。
「ないしょだよ」
って言って僕の湿った手のひらに、小さな飴玉を押しつけて。
僕は飴玉を口にいれた。包み紙はポケットに突っ込んだ。 なんだかあとで必要になる気がして。
口の中は、あのこの笑顔みたいなひだまりの匂いでいっぱいになった。
変なの、あめ、なのに。 僕はうれしくって笑顔になりながらみずたまりを踏ん付けて帰ったんだ。口の中で飴玉をカランカランいわせながらね。
◇a girl◇
雨の中を走り回ろうと思って飴玉を持って外にでたの。
そしたら、妖精さんみたいなあの子が立ってたの。でもなんだか悲しそう。おめめも真っ赤。
だからあたしの大切な飴玉をあげることにしたの。
「ないしょだよ」
って。だって、誰かに見つかったら笑顔のマホウがとけちゃうもん。
あたしはドキドキしながらあの子の手に飴玉をおしつけたの。ちょっとびっくりしてた。
いつのまにか雨も止んだみたい。あたしはうれしくなってみずたまりを踏ん付けて帰ったの。
今ごろあの子もきっと笑ってるよ。
ほら、耳を澄ませると、飴玉がカランカランっていう音が聞こえてくるよ。きっとね。
ま、要するに駄洒落になってしまうのですが…。
お菓子をテーマにしたお話は、これからも書いていきたいと思います。