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緊迫した場面は短い文で書く
緊迫した場面は、短い文で書かなければなりません。
緊迫とは、時間が圧縮される感覚です。
読者は状況を考える余裕を失い、登場人物と同じ速度で事態を追うことになります。
その状態で長い文や複雑な構文を使うと、読者の意識は物語から文章そのものへ逸れてしまいます。
これは致命的です。
短文は、行動・感情・判断を瞬時に伝えます。
「走る」「止まる」「息が切れる」「振り返る」――こうした断片的な情報を、区切って提示することで、切迫したリズムが生まれます。
一文に複数の動作や説明を詰め込むのは避けるべきです。
緊迫した場面では、説明よりも反射が優先されます。
また、緊張している人物は、論理的に整理された思考をしません。
文章を短くすることは、登場人物の心理状態を忠実に再現することでもあります。
長い内省や背景説明は、その場面が終わってから入れるべきです。
最中に挿入すると、緊張は必ず崩れます。
緊迫した場面で長文を書くことは、演出ミスではありません。
構造上の失敗です。




