文学賞最終選考は厳しく粗探しされる
プロの作家の作品であっても、よく読めば設定の矛盾が見つかることはあります。
長編であればなおさらで、編集を経ても細部の齟齬が完全になくなることはありません。
しかし、だからといって文学賞狙いの原稿が同じ扱いを受けるわけではありません。
文学賞の選考では、はるかに厳しい目で粗探しが行われます。
理由は単純です。
プロの作品はすでに「商品」であり、編集部が責任を分担しています。
一方、文学賞の応募作は、作者個人の力量を測るための材料です。
そのため、設定の一つひとつが、「理解して書いているか」「偶然書けただけか」を見極める判断材料になります。
選考では、
・前後で条件が変わっていないか
・人物の行動原理がぶれていないか
・世界のルールが都合よく変化していないか
こうした点が、意識的にチェックされます。
特に二次以降では、物語を楽しむ読み方はされません。
欠点を見つける読み方に切り替わります。
そこで見つかった設定矛盾は、小さなものであっても評価を大きく下げます。
プロなら許されることが、応募作では許されない。
これは不公平ではなく、立場の違いです。
文学賞は、「完成度」よりも「安定性」を見ています。
だからこそ、
「市販の小説にも矛盾はある」
という言い訳は通用しません。
文学賞では、粗があるかどうかではなく、粗を出さないだけの基礎があるかが問われているのです。




