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05.冷えゆく灯火

前へ前へと進み、いつのまにか日は高く高く昇っていた。

よく見ると川が増水してきており、少し離れなくてはと距離を開ける。


いつ仲間と会うことができるか分からない、何日歩き続ければいいのか分からない・・・

時間が過ぎるとともに不安も大きくなっていく。

空腹も限界になり、更に足取りが重くなる。


川を離れながら目についた木の枝や葉を拾い集め、良さげな場所を見つけた。

ドサッと座り込み、火おこしを始める。

力を込めると痛む腕に歯を食いしばって動きを止めない。


時間がかかるも無事に火をおこし、次は食料を調達しなくてはと立ち上がる。

森の中、今は看病をしてくれる仲間もお見舞いを持ってきてくれる仲間もいない。


身体にムチを打ち、食べ物を得なければ死んでしまう。

こんな所で野垂れ死にをしてしまえば、死体が見つかるまでにどれほどかかるだろうか。

動物に食べられて、誰かに見つかる前に綺麗さっぱりなくなってしまうだろうななんてことを考える。





生きるために森を進んで行くと、物音が聞こえた。

様子を伺いながら音のする方向へ向かうと、木と木の隙間に角が挟まって動けなくなっている鹿を発見した。

脱出しようともがいている音が聞こえていたらしい。


一歩近づくと、気配に気が付いたのか鹿が暴れ始める。

しかし、角が抜けることはなく身動きを取ることはできていない。

全力で挑む余力がない中、この機会は逃せないと仕留めることを決めた。


背後からゆっくりと近づき、剣を構る。

後ろ足を切り動きを抑えようと踏み込んだ瞬間、更に鹿が暴れ出して蹴りを受ける。

ドンッと近くの木に打ち付けられ、運悪く剥けた木の皮がこめかみに刺さってしまう。

ずり落ちる体に食い込み、深い傷を作る。


「クソッ・・・」


流れる血を拭いながら立ち上がる。

首を狙って一撃で仕留めるべきかと、考えを変える。


砂埃を撒き上げながら興奮をする鹿の首に狙いを定め、思い切り剣を振り下ろす。

負傷をしながらも仕留めることに成功し、解体を始める。


焚火でこんがりと焼き、口に運ぶ。

何度も何度も咀嚼をし、噛みしめる。


先ほど頭を打った時に顎もやられてしまったのか、しっかりと嚙み切るのに時間がかかってしまう。

それでも、やっとありつけた食事に手が止まらない。


しばらく食べ続けるも、空腹感が収まらない。

倒れそうだと思うほど限界を感じていたから当たり前か・・・と思いながら食べ進めていく。

次第にお腹が膨れる感覚を覚え、ゆっくりともたれ掛かる。


もうしばらくすれば日も落ちて夜が来るだろう。

食事をし、ここからまた数日は生きる事はできるが、いつまでもこのままでは居られない。


赤く揺れる炎をまっすぐに見つめ、唇を噛む。

こめかみからどろりと流れる血が、炎の光を反射している。


枯葉や枝以外に何かが混ざっていたのだろう。

バチッと大きく爆ぜた音がした。


ハッとし、これからの事を考える。

仲間と落ち合うのが先か、街へたどり着くことが先か。


無駄な時間は過ごせないと立ち上がり、足で火を踏み消す。

まだ少々の空腹感を感じながらも空を見上げ、顔をパンと叩き力強く踏み出した。

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