04.それも現実
目を閉じていても眩しさを感じるほどの日差しが痛い。
ウッと眉間にしわを寄せ、いつの間にか眠って朝が訪れたことを感じる。
昨日より痛みが引いたかもしれない。
"かも"ではあるが、首を動かして辺りを見ることができる。
やはり川辺にいたようで、陽に反射した水がキラキラと光っている。
ぼやけていた意識がはっきりしてくると、血と焦げたような臭いが漂っていたことに気が付く。
戦の残骸を感じ、とにかく現状を把握しなくてはと痛みに軋む体を無理やり起こす。
「すまない・・・」
キンッと剣の切っ先を石だらけの川辺に突き刺し、支えにして立ち上がる。
ともに戦う相棒に思わず謝罪をするが、いくら立ち上がれなかったとは言え嫌な使い方をしてしまったと思った。
立ち上がったことにより、ようやく辺り一面を見渡すことができる。
緩やかな風に髪が靡き、肌が晒されて空気に触れている感覚を覚えた。
自分の体を見ると赤紫色の痣があちこちにあり、擦り傷や切り傷で肌色がの面積の方が少ないのではと思うほどだった。
着ていた服は燃えて焦げ、衣類と言うより焦げた布を身にまとっているような状態だった。
左肩からドロッと生暖かい液体が流れ、出血をしている事に気が付く。
しかし、手当てができる包帯など持っているはずがない。
少し考えて服だったはずの焦げた布を破り、脇に巻き付けて止血を行う。
そして、改めて辺りを見回すが何もない。
あるのは一緒に吹き飛ばされた瓦礫ばかりで、ここには自分一人しかいなかった。
耳を澄まし物音を感じようとするも、風に揺れてこすれる葉の音と川の流れる音しか聞こえることはなく、力なく足元を見つめる。
傷だらけの拳をグッと握り、仲間と合流しなくてはと顔を上げてゆっくりと歩きだす。
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川の流れに沿って歩き続けていると、いつの間にか風がなくなっていることに気が付いた。
どのくらい時間が経ったのだろうかと、空を見上げて考える。
目が覚めた時と変わらず、日差しはものすごく眩しい。
暑さと疲れに限界を感じ、水を飲もうと川へ近づく。
パリッ
何かを踏んでしまい音が響いた。
足を避けると、何かの破片を踏んでしまい、更に細かくしてしまったようだ。
その時、破片に太陽の光が反射して視界が一瞬白に染まった。
よく見ると、ヒビだらけの破片の中に空が映っている。
ただの鏡か、と割れた破片の中でも大きいものを拾い上げる。
自分の顔を映した時、あまりの惨状に目が見開く。
火傷で皮膚はただれ、赤紫色の痣が広がり、切り傷だらけで、体と変わらない程に顔にも大きなダメージがあった。
乾いた傷口と、パリパリとした血液・・・
お前は誰だと聞いてしまいそうだ。
鏡の破片を投げ捨て、川で顔を洗う。
喉の渇きより、気持ちの悪い顔を流したかった。
思わず強くこすってしまい、痛みが走る。
はあ、とため息をついて、水を飲む。
最後に何かを口にしたのはいつだろうか。
一口の水が体中に染み渡る。
そうしてしっかりと水分補給を終えると、次は空腹感が沸いてきた。
こんな時でも腹が減ることに呆れつつも、体が回復しようとしているのだとポジティブに捉える。
気持ちも少しは落ち着き、改めて鏡の破片で顔を見直す。
火傷も痣も変わりはしないが、乾いた血は綺麗に流されている。
自分とは思えないほどの顔を嘆いても、今すぐに治るものではないと受け入れる。
まずは仲間を見つけなくてはならないと、重い体を動かして先を進んでいく。




