00.悪魔と人間
悪魔は人間を食料とし、街に現れては襲い内臓を食い散らかす。
そんな悪魔は、ルビーよりも深い血のように真っ赤なピアスをしている。
これが悪魔の象徴であり、恐怖の対象である。
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この街には、100人もの悪魔を前にたった一人になってもあきらめずに立ち向かい、そして勝利したという英雄がいたらしい。
生きようと必死の人間を、悪魔は家畜のように支配することを論んでいると知ったことで、怯え隠れることをやめて立ち向かった。
人間対悪魔の戦争がはじまり次々と倒していくも、倒れた仲間がゆらりと起き上がりこちらに切りかかる。
剣を振りかぶったはずなのに急に動きが止まり、抵抗なく悪魔に切り捨てられていく。
そんな異様な光景が広がる。
仲間同時で戦い、悪魔をかばい、抵抗することもなく命を落ちしていく。
それでも尚、戦い続ける一人の人間がいた。
これは悪魔の能力だ、悪魔に負けるなと大声で叫び、仲間だけでなく己自身も奮い立たせるように低く強く響かせる。
すべては悪魔がもつ能力だ。
殺された人間を操り人形として蘇らせ、駒としてけしかける。
記憶を改ざんする能力で仲間同士を戦わせているのだと。
己の手を煩わせずとも勝手に敵が減っていくと、余裕な表情を浮かべる悪魔が目に入る。
人間の痛みを知らず、ただの食料、駒としか思わない悪魔への憎しみが頂点に達し、一人で悪魔陣営の中へ飛び込む。
言葉にもなっていない怒号をまき散らしながら、油断していた悪魔を切り倒していく。
もう、刺されても切られても何も分からない程、強い殺意が体を動かす。
目は血走り、どちらが悪魔であるのかすら分からない。
辺りが静まり返ったとき、そこには1人しか立っている者はいなかった。
それは後に英雄として語られることになる兵士【ニール】である。
すべての仲間を失うも、あきらめずに立ち向かった英雄だと称えられた。
誰も太刀打ちできない剣の腕前を持ち、悪魔の能力にも屈しない最強の兵士などと噂は尾ひれをつけて広まり、ついには【100人の悪魔に打ち勝つ英雄ニール】として本まで出版されていた。
しかし、悪魔を絶滅させたわけではない。
次第に新たな犠牲者が現れ、悪夢の再来に人々は恐怖におびえる日々へ逆戻りをすることになる。
年月が過ぎても、悪魔との戦いが終わる未来は見えなかった。




