魔術と魔法 また魔術士と魔法使い その違い
「魔法・魔術基礎」 暁ユギト 2010.04.30(FRI)
魔術も魔法も、魔力により自己や他者、世界に関渉するものであるが、似て非なるものである。
例として氷属性の魔術士と魔法使いを挙げよう。
魔術士は四大元素、四属性の火、水、土、風の内、水と風を組み合わせ、術とする。
気流により空気中の水分が移動、雨雲を作りさらに雪雲へと変える、と言えば解り易いだろうか。
風の術で気流を、水の術で水分を操り、雪の結晶を作り出す。
基本はこれであり、応用により結晶の体積、質量、形状を変化させる。
また、その過程で生まれる冷気そのものを風の術で操ることもできる。
それに対し、魔法使いは火の術により、法とする。
つまりは、温度変化そのものであり、熱を奪い去るのである。
それは物質からエネルギーが無くなることであり、0になれば理論上全ての物質は崩壊する。
そして、魔法使いはそれを、絶対零度を可能とする。
…魔術士には、まず、その様なことはできない。
なぜなら、彼らが水を凍らせるには、上記の通り、その水が必要だからである。
エネルギーが0になれば、全ての物質は崩壊する。それは水も例外では無い。
水の分子がその形を保っていられない、つまりは、水というものが存在しなくなる。これは矛盾である。
そもそも、エネルギーが無ければ気流は生まれず、術は成り立たないのである。
それどころか、自分の魔力を消費し行うのであるから、自らがエネルギー源であることも踏まえておかなければならない…
この様に、魔法は対象の「普遍的なあり方」に直接作用し改変する、まさしく「恐るべき掟」を生み出すものである。
対して、魔術は「普遍的なあり方」に則ったものに過ぎず、あまり大規模で無ければ時間と労力等が有れば可能なものが多い。また、学問色が強く、魔法と比べ極めるのは然程困難では無い。
…自らがエネルギーの、熱の発生源であるにも関わらず、氷属性の魔法使いが絶対零度を可能とする理由、
それは彼らが「負の存在」であるからに他ならない。
「負の存在」。つまり陰の存在、「闇の存在」である…
丈短裾氷玖大学より
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