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習作

深き森の高貴なるウサギ

作者: 反田拓海

 ある森の奥にウサギの村がありました。

 ウサギと言っても彼らは高貴なウサギでした。

 その誇り高さは同じように耳の長いことで有名なエルフにも匹敵するという評判が彼らの間でありました。

 実際は非常に憶病で肉食獣からは逃げてばかりでした。


「へっ、ライオンなんて俺なら簡単に倒せちゃうね! むしろライオンが怖がって逃げ出すから戦う必要なんてないね!」


 というのは、村長の一人息子のウサ吉の言です。

 もちろんライオンと戦ったことなんてありません。

 彼はよく嘘を吐いていたので、他のウサギたちからホラ吹きのウサ吉と呼ばれていました。

 ですが他のウサギたちもウサ吉と同じくらいに強がってばかりいました。

 ドングリの背比べというやつです。

 しかしそんなウサギたちにも誇り高いところがないわけではありません。

 彼らは耳の長い神様から伝説の人参を守ることを命じられ、代々その任務に就いていたのです。

 伝説の人参とはその根が星の中心に繋がっていると言われる人参です。

 それを抜いたら世界は虚無に包まれると言い伝えられています。(実際のところは誰も抜いたことがないのでわかりません。)

 ウサギたちはその守護者というわけです。

 そうです。彼らがこんな辺鄙なところに村を作っているのにも理由があったのです。

 決して、人間達が怖くてここまで逃げてきたわけではないのです。ええ、決して。

 普段は臆病な彼らも、もし伝説の人参が狙われたら勇敢に戦って耳の長い神様から与えられた使命を立派に果たすことでしょう――


「大変だ! 伝説の人参が盗まれた!」


 こうして世界は虚無に包まれました。


おしまい

読んでくれてありがとう。

もしよかったら感想を書いてくれると嬉しいです。

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