パート2: ギルドへの帰還と報酬
レンブラントへ戻る道すがら、リリアーナはまだ少し興奮冷めやらぬ様子だったが、同時に自分の未熟さを痛感したのか、口数は少なかった。セレスは、そんなリリアーナを優しく励ましながら、彼女の腕の傷に応急手当を施していた。
俺は、気絶させた疾風兎――結局、逃げられたので依頼達成にはこの一匹が必要だ――を担ぎ、先を歩く。素材にするためには、血抜きなどが必要なのだろうが、その知識はない。とりあえず、ギルドに持ち込めば何とかなるだろう。
冒険者ギルドに戻ると、昼時を過ぎているにも関わらず、ホールは相変わらずの賑わいを見せていた。俺たちは人混みをかき分け、受付カウンターへ向かう。
対応してくれたのは、またしてもあの眼鏡の女性職員だった。彼女は、俺が担いでいる疾風兎を見ると、少し目を見開いた。
「あら…フローネ様。もう戻られたのですか? まさか、もう依頼を…?」
「ああ。達成した」
俺は疾風兎をカウンターの上に置く。まだぴくぴくと痙攣している。
「これでいいんだろ?」
女性職員は、まじまじと疾風兎を見た後、手慣れた様子で素材の確認(検品)を始めた。毛皮の状態、大きさなどをチェックしているようだ。
「…はい、間違いなく疾風兎ですね。状態も良好です。討伐確認、および素材の納品、完了しました」
彼女は書類に何かを書き込みながら、事務的に告げる。その声には、隠しきれない驚きの色が混じっていた。まさか、登録したてのレベル1冒険者が、半日で疾風兎討伐依頼を達成するとは思っていなかったのだろう。
「報酬の銀貨五枚です。ご確認ください」
女性職員は、カウンターに五枚の銀貨を置いた。ずしりとした重みがある。
俺はその銀貨を受け取ると、すぐさま懐から三枚を取り出し、隣に立っていたリリアーナに差し出した。
「ほらよ。立て替えてもらった分だ」
「えっ? い、いえ、そんな…フローネ様には助けていただいたのですから…」
リリアーナは慌てて手を振る。
「借りたものは返す。当然だろ」
俺は有無を言わさず、リリアーナの手に銀貨を握らせた。
「これで貸し借りなしだ」
リリアーナは、少し顔を赤らめながらも、こくりと頷いた。
セレスが、その様子を微笑ましげに見ている。
(さて、これで銀貨は二枚残ったか。当面の生活費にはなるだろうが…)
もっと稼ぐ必要がある。そのためには、より難易度の高い依頼を受けるか、あるいは別の方法を探すか。
そんなことを考えていると、ふと、ギルドの壁に貼られた一枚の大きな羊皮紙が目に留まった。それは、依頼書が貼られているクエストボードとは別の、目立つ場所に掲示されていた。




