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【TS転生異世界格闘バトル小説】転生美少女(元♂格闘家)はその拳で無双する ~魔法? スキル? 知るか! 鋼鉄の肉体とMMA技術で、理不尽も陰謀も全部ブッ飛ばす!~  作者: 霧崎薫
第2部:拳と理不尽

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パート7: 騎士団の要求

「リリアーナ…お嬢様…?」

「やはり、貴族の方だったのか…」


 村人たちがざわめく。リリアーナが身分を隠していたことが、これで明らかになった。


 村長のバルガスは、動揺を隠せない様子だったが、それでも一歩前に出て、馬上の騎士ゲルハルトと名乗った男に向き合った。


「…王国騎士団の方が、このような辺境の村に、何の御用でしょうか。リリアーナ様は、確かにこの村におられますが…」


 ゲルハルトは、バルガスを鼻であしらうように見下した。


「ほう、やはりいたか。ならば話は早い。その娘を引き渡してもらおう。お家騒動に巻き込まれた、いわばお尋ね者だ。匿えば、村ごと反逆罪に問われることになるぞ」


 冷たく言い放つ。その言葉には、有無を言わせぬ威圧感があった。


「は、反逆罪…!?」


 村人たちは蒼白になる。辺境の村にとって、王国騎士団、ましてや反逆罪など、想像もつかない恐怖だ。


 バルガスも顔を引き攣らせた。


「そ、それは…しかし、リリアーナ様は、我々にとっては客人です。それに、まだ子供。何か事情があるのでは…」


「黙れ、愚民が!」


 ゲルハルトは一喝した。


「貴様らに、貴族の事情を詮索する権利などない! 我々は王命により、リリアーナ嬢を保護――いや、確保しに来たのだ。速やかに引き渡せ。さもなくば、実力を行使するまでだ!」


 ゲルハルトは腰の剣の柄に手をかけた。後ろに控える騎士たちも、一斉に武器を構える。空気が一気に張り詰めた。


 村人たちは恐怖に震え、後退りする。槍を持つ手も震えている。戦意など、もはや欠片もないだろう。

 バルガスも、苦渋の表情で唇を噛み締めている。村を守るためには、リリアーナを引き渡すしかないのかもしれない。


 (…胸糞悪い展開だな)


 俺は静かに状況を見ていた。リリアーナがどんな事情を抱えているのかは知らない。だが、このゲルハルトという男のやり方は、あまりにも高圧的で、気に食わない。そして何より、リリアーナは俺が助けると決めた相手だ。たとえ一時的であっても。


 バルガスが、諦めたように口を開きかけた、その時だった。


「――待て」


 俺は、バルガスの前に進み出て、ゲルハルトを真っ直ぐに見据えた。


「あん?」


 ゲルハルトは、突然現れた銀髪の少女に、訝しげな目を向けた。


「なんだ、貴様は? 関係ない者は引っ込んでいろ」


「俺はフローネ。リリアーナの…まあ、用心棒みたいなもんだ」


 俺は言い放つ。


「リリアーナを引き渡すかどうかは、俺が決める」


 その言葉に、ゲルハルトだけでなく、村人たちも、そして後方のリリアーナさえも、唖然とした顔で俺を見た。

 一介の、それも見た目はか弱い少女が、王国騎士団の部隊長に真正面から啖呵を切ったのだ。


 ゲルハルトは、一瞬呆気に取られていたが、やがて、顔を侮蔑と怒りに歪ませた。


「…面白い。どこぞの馬の骨か知らんが、騎士団に逆らうとは、命知らずな小娘だ。その愚かさを、後悔させてやる」


 ゲルハルトは、馬から静かに飛び降りた。

 腰の剣を抜き放ち、その切っ先を俺に向ける。


「かかれ! あの小娘と、抵抗する村人は皆殺しにしろ!」


 冷酷な命令が下された。


 騎士たちが、一斉に村へとなだれ込もうとする。

 村人たちの悲鳴が上がる。


 (…結局、こうなるか)


 俺は、静かにファイティングポーズを取った。

 相手は王国騎士団。数は十数名。装備も訓練も、これまでの相手とは比較にならないだろう。


 だが、やるしかない。

 この拳で、理不尽を打ち砕く。

 それが、今の俺にできる、唯一のことだ。


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