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幸福の花は静かに笑う  作者: 武尾 さぬき
第2章 利害関係者(ステークホルダー)
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第5話 悪意の火種(後)-5

「パララ・サルーンについて聞きたいって?」





 魔法ギルド「知恵の結晶」に、セントラル魔法科学研究院でパララと同期だった人が所属している。彼女は卒業後、推薦で「知恵の結晶」に入団していた。


 ブイレヴ・ピラーの者たちはパララ・サルーンについて調べていた。魔法研究員の教授や出入りしていた仕事の紹介所など、様々なところで情報を集めていた。





「同期というだけで仲が良かったわけじゃないんだけど?」




 しかし、パララ・サルーンと深く関わりをもっている人を見つけることはなかなかできなかった。




「なにがあったか知らないけど、私の名前出さないでもらえるならち、ょっとくらい話してもいいけどさ……?」




 ブレイヴ・ピラーの者は彼女に少額だがコインを握らせていた。




「はっきり言って嫌われてたわよ、パララさん。私もあんまり好きじゃなかったしね……」




 ふう、っと大きく息を吐き出すと彼女は続けた。




「嫌われてる、というか妬まれていた……かなぁ。あの子、研究院でいつもひとりでいてね? 話しかけてもおどおどして何言ってるかわからなかったし、合同演習とかも全然参加してなかったからね」




 虚空を見上げてさらに話を続ける。昔を思い出しているようだ。




「ただ……、それだけなら嫌われることはなかったと思うよ? 群れるのが苦手な人っているのはわかってるからね。けど、あの子の場合はそうなる理由があったんだよ」





「誰とも協力しようとしない、演習場で訓練とかしてる姿を見た人も全然いない。だけど、魔法の技能試験はいつも成績トップだったのよね。私も成績いい方だったけど技能試験だけは一度も勝てなかったわよ」





「認めたくないけどあの子……、多分『天才』なのよね。ただ、必死に努力してる側からしたらああいうのって認めたくないし、群れないでいるのもなんか見下されてるように感じてる人もいたわけ。だから、妬みも含めて嫌われてたって感じかな?」





「――いじめ!? そういうのはなかったと思うよ。一部にはつまらない嫌がらせとかしてる奴らもいたらしいけど、あ! 私じゃないからね……。それもすぐになくなったって聞いてるし」





「だからぁ、私は詳しく知らないって……けど、あれじゃない? ビビったんじゃないかな? あの子の技能試験見てたらそうなると思うよ。正直、あの子が同じ魔法ギルドに来なくてよかったって思ってるもの。魔法で比べられたら悔しいけど勝てる気がしないのよね」

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