第3話 魔法使いの挑戦(後)-3
「ええ、募集要件は厳しいですが、パララさんのセントラルでの成績なら受ける資格はありますよ?」
「知恵の結晶」、この国の中にはカレンさんが所属しているようなギルドがいくつも存在する。そのなかでもいくつか種類があり、魔法使い専用のギルドもある。その中でたしか最大規模を誇るのが「知恵の結晶」だったはず。
私は元々「ギルド」を「組合」的な意味合いで捉えていた。ただ、こちらの世界のギルドは、どちらかというと「会社」に近い意味のようだ。つまり、今回だと「就職先」としての認識になる。
「知恵の結晶」に関しては、この酒場からは地理的に遠いこともあり、そこ所属のお客が来ることは非常に少ないのであまり詳しい情報はなかった。
「『知恵の結晶』を私が受けるなんて……、おこがましいというか……」
「そんなことはありませんよ。いいですか? パララさん、あなたのセントラルでの成績は非常に優秀です。むしろ魔法ギルドの方からお願いしたいくらいのものなんですよ?」
ラナさんはパララさんの目を覗き込むように顔を近づけてそう言った。
「まずは書類選考があると書いてあります。とりあえず応募だけでもしてみるべきではないでしょうか? そのギルドの採用募集などそんなにあるものではないのでしょう?」
「スガさんの言う通りです。それに先ほど話していた憧れの魔法使いと出会うにも、優秀な魔法使いが集まるギルドに所属するのが近道に違いないんです」
パララさん憧れの「ローゼンバーグ卿」という人物について熱く語っていたのをラナさんも聞いていたようだ。――というより、あのテンションと声なら別の部屋にいても耳に入ってきたのだろう。
「たっ…たしかにそれはそうですが――」
「とりあえず書類選考を受けましょう! その先のことは結果が出てから考えたらいいですよ!」
ラナさんの勢いに気圧されてパララさんは、知恵の結晶の採用試験に応募することになった。
そして、数日後……、彼女はあっけなく書類選考を突破したのである。
後に聞いたが、他国からも試験を受けに来る魔法使いがたくさんいて倍率は百倍近くにもなっていたらしい。やはりパララさんの成績は非常に優れているのだ。
そして、書類選考の次は面接が控えていると知った。間違いなくここが鬼門になる。ここを突破できるようにどう手助けてしていくかが私の役割だ。




