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幸福の花は静かに笑う  作者: 武尾 さぬき
第2章 利害関係者(ステークホルダー)
108/214

◇ 間奏2 ◇

××日目




 今日は、この「異世界」について私が考えた仮説をいくつか記しておこうと思う。あくまで「仮説」で、立証する材料はなにひとつない。ただ、私がここで生活をしていく中で感じたことからいくつか考えてみた。





■仮説1.この異世界は元々私のように、日本のどこかからやってきた人が文明を築いて今に至っている。




 この説は、私の言語が通じていることと、貨幣経済や食するものなど生活の基本的な部分が、私の暮らしていた日本とさほど大きく変わらないという理由から思い付いた。


 「魔法」や「魔物」といった明らかに異なるものも一部存在する。ただ、裏を返せば、その程度の違いなのだ。




 今の私の生活は、正直、「明日から海外出張です」と言われたくらいのレベルでしか困り事がない。もちろんそのレベルの困り事でも大変ではあるが、「異世界」というと、極端な話、物理法則が根本的に違って意思疎通できる者も存在しない、くらいがあってもおかしくない気がする。




 だが、今いる世界でそれはない。これはある種の「平行世界」のようなもので、場所や次元などが異なるのかもしれないが、この文明・文化を築き上げたのは私と非常に近い人間、だからではないだろうか?




 確証はまったくない。この世界の歴史がどれほどのものかもわからない。ただ、私自身がある程度納得できる仮説ではあった。






■仮説2.現代日本人がつくったゲーム世界の中にいる。




 これも「仮説1」と同様、言語や文化の基本的な一致から考えたことである。私がこの世界について知っていき、最初に感じたのは「テレビのRPGの世界」に入ってしまったようだ、ということだ。




 ゲームの世界が実在するかはさておき、そう仮定すると、日本人が開発したものなら当然日本語も通用するだろうし、ゲーム世界の経済も、現実を模したようにつくられるはずだ。都合よく私が生きていられるのもいろいろと納得がいく。




 そして、この仮説の場合、元いた現代の日本に戻れる方法がなにかしらありそうな気がする。私自身が戻りたいと希望しているかは別の問題として……。




 いずれにしろどちらも仮説である。それを裏付けるものは今のところ存在しない。ただ、もし私と同じような境遇の人間と出会うことができれば、より真相に近づけるかもしれない。






■仮説3.全部、夢。




 タイトル以上に語ることはない。夢にしては長すぎるが……。でも、万が一、目が覚めたらいつもの自室のベッドにいたらこれで納得してしまいそうだ。





 他にもいくつか仮説はあるが、文章としてまとめられるほど頭で整理できていないので、今日はこの辺に留めようと思う。

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