旅路の果て (ステータス公開)
結論からいうと。メドゥーサちゃん達の元へ戻るのに、一年と半年が掛かりました。一年と三カ月前に始めた【白狼の視線】でのレベリング自体は、修行開始から丁度一年。今から、九か月前には終わっていました。
そこで、ステンノーさんに渡された転移の指輪を使って、帰還しようとしたタイミングで、あの忌ま忌ましい白毛こと、フェンリルさんの妨害があり、何故か指輪を強奪され、そのまま噛み砕かれ、仙界を追い出されてしまいます。
――いや、なんでやねん。
帰る手段を失った私は、ステンノーさん達の元へ戻るべく、世界中を流浪していました。
そして、旅を初めて九か月が経ったこの日。遂に、蛇の仙界へと至る道を見つけた私は、漸く帰還することが出来たのです。
ここまでに色んな苦労がありましたよ。ええ、それはもう壮大な冒険譚の様でした。楽しかった事もあったけれど、それ以上に苦しい事ばかりです。最初に訪れた町なんて、身分証が無かったものですから、即座に牢獄行きからの、一か月間の重労働、挙句の果てに、魔物の跋扈する戦地へと投げ込まれ、そこで一躍魔物を一掃して見せて、そこで漸く釈放されました。
……まぁ、これ以上話せば本当に長くなるので、割愛して、あの悍ましい毛玉への呪詛だけ残しておきます。
「あの毛玉野郎!、マジで許さねえ……!! 次会った時は覚悟しろよ!! その無駄に綺麗な毛皮を逆立たせて、血の色に染めてやる……!!」
まぁ、確かにこの旅路には大きな意味がありましたよ。レベルで言えば、この九か月間で、『120』から『146』まで上がりました。その分の死闘を、数多く経験しましたよ。フェンリルさんは、それを試練として、私に課したのでしょう。
「……だからって、やって良い事と悪い事があるだろうが!!」
蛇の祠の入り口で騒いでいると、それを聞きつけたメドゥーサちゃんが、奥の方からとことこと出て来ました。
「――煩いわね。一体誰よ。こんな時間に……って、アナタまさか、アリス? 一週間も帰還が遅れるなんて、それにこの存在感……お姉さまと同じ神域に至ってるじゃない? 一体何があったのかしら?」
「……あ、そっか。こちらでは、時間の流れが違うから一週間しか経ってないんですね」
ごちる私を見て、メドゥーサちゃんが怪訝な顔をする。
「その言い方……まるで、あっちから帰ってきたみたいね……戻ってきた、というのが正しいかしら。詳しい話は後で聞くわ。先ずは、そのみっともなく伸びた髪をどうにかしなさいな」
その後、散々事情聴取をされましたが、事の顛末を語ると、皆納得した様な表情になっていました。曰く、
「【導者】なら確かにそうしそうね」
との事。いや、納得するぐらいでしたら最初からその可能性を考慮しといて下さいよ。との私の批難に対しては、私以外のその場の誰もが眼を逸らしましたね。
何はともあれ、修行を終えたので、無事お嬢様の元へ還れるそうです。しかし、此処へ戻るまでの九か月間は、人間界? の方にいたので、お嬢様と同じ時間が経過していました。最悪です。大分待たせてしまったでしょうか? それか、そもそも、私の居場所なんてもうない?
……誰も私の帰りなんて待っていないんじゃ――
なんて、最悪の可能性を頭の隅に追いやって、逸る気持ちと不安に溢れた胸を抑え込みながら、私は用意された転移陣の上へと乗りました。
――現在のステータス
アリス level 146 ↑(65)
種族:人間 (?)
職業:どぶさらいプロ (NEW) 流浪者 (NEW)
特技 黒魔法(影魔法) ???? (NEW)
スキル 女誑し どぶさらい (NEW) 感情制御 (NEW)
パッシブ 持続回復、持続MP回復、黒の召使い 神域 (NEW) 全能魔性(NEW)
称号:骸骨王を打ちし者、【導者】に認められし者 邪竜を失墜せし者 (NEW) 魔神の脅威 (NEW) 神域に踏み入れし者 (NEW)
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