表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/127

レベル120まで周回RTAしろってさ

 翌日、目が覚めたら、自室のベッドの上でした。どうやら、あれから力を使い果たした私は、精神的にも肉体的にも限界が来て気絶していたみたいです。起き上がった私は、あれからの事について、傍に居た何故か無傷のメドゥーサちゃんに訊きました。


「勝負に勝ったのはアナタよ。私が無傷でいる回答については、『脱皮したから』という回答で十分かしら?」

「は、はぁ……」


 まぁ、あれぐらいでこの人? が死ぬとは思えませんが、私の身を削ってまで打ち込んだ渾身の一撃を、『脱皮』の一言で済まされましてもね……


 なんだか、凄く拍子抜けというか。私だけ張り切ってたみたいで、恥ずかしいというか。とにかく不満でいっぱいです。


「さぁ、これからの話をしましょう」


 そう言って、メドゥーサさんは祠の奥の方へと歩いて行きました。私もその後を追って行きます。


 奥の一室に待ち構えていたのは、妖艶な笑みを浮かべるステンノーさんと、神妙な面持ちのエウリュアレさんでした。

 

 先に口を開いたのは、エウリュアレさんです。


「待ってたぜ。そして、おめでとよ。無事に試練を突破出来たじゃねえか」

「ええ……正直実感ないですが、ありがとうございます」

「ふん。まぁ、少しは良い面構えになったんじゃねえか? それに、自分が何であるかを理解したように見える」


 そう言って、破顔するエウリュアレさんでしたが、私はその言葉の意味がよく分かりませんでした。次に、ステンノーさんが口を開きます。


「私からも謝辞を送るわね。三ヶ月という短い期間の中で、アナタは期待通り……いえ、期待以上に急激な成長を遂げた。これは歴史に残る偉業よ」


 それからも、幾つか賛辞を受け取った私は、良い加減鬱陶しくなったので、遮るようにして話を切り替える。


「そ、それで……!! 私を呼んだ本題って何ですか?」


 まだ、修行の期間は終えていなかった。現在の私のレベルは、メドゥーサちゃんを倒す前が『87』だったので、その一個か2個上がったぐらいだろうか。


 最終目標の『120』まではまだまだ先が長い。しかし、私の言いたい事を察してか、ステンノーさんが言いました。


「……実は、残りのレベル上げは、メドゥーサを下したアナタからすれば大して苦行でもないの」


 ステンノーさん曰く、残りのレベル上げは、ひたすら【白狼の視線】という私が以前攻略した、フェンリルさんの所有するあのダンジョンを周回するだけで、いずれはレベル120に到達するとの事でした。

 

「そこで、アナタに一つ渡しておく物があるわ」


 そう言って、ステンノーさんはこちらに歩み寄って来て、蛇の紋章が刻まれた指輪を差し出して来ました。「嵌めてみなさい」と、ステンノーさんの視線の下、私はそれを左手の中指に嵌め込みます。


「……これは?」

「私達に認められた者だけに贈られる、謂わば、九ヶ月後から一回だけ使える、何時でも何処からでも、此処へ戻って来られる転移の魔法が内包された指輪よ。ロマンチックにいうなら、合鍵と言ったところかしら」

「えっ……!? 良いんですか? こんな貴重な物! っていうか、何だか雰囲気がこれからお別れみたいな……」

「それじゃ、行ってらっしゃい〜」


 ステンノーさんが言い終えた途端、私の足元に、いつか見た転移の魔法陣が浮かび上がって来て、視界を眩い光が包み込み、次の瞬間。




 ——眼を開けば、これまたいつか見たダンジョンの入り口へと飛ばされていました。

 


次回、遂に修行が終わります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ