表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/127

【導者】との対面①

 起きたら知らない天井でした。


「あら、お目覚めかしら」


 聞き慣れた声。ひどく、懐かしい気もする。


「め、どぅ、さちゃん?」


「ええ、ワタシが認識出来るなら頭の方は問題なさそうね。一応確認取るけど、何処まで覚えてるかしら?」


「……えっと、確か。黒い狼と闘って……それで」


「なんだ、ちゃんと最後まで覚えてる様ね。勝ったのよ。アナタが。見事な幕引きだったわ」


 そう言って、拍手をするメドゥーサちゃん。見事な幕引きだと言われても、随分泥臭い戦いだった様な気もしますが……


「っていうか、見てたんですか?」


「ああ。お前の雄姿。しかと、見させてもらった。格上相手に見事な立ち回りであったぞ」


 メドゥーサちゃんに訊いた私でしたが、メドゥーサちゃんに代わって答えたのは、いつからそこにいたのか、銀色の髪を携え、狼の様な眩い毛並みのフードコートを着た、勇猛な印象の綺麗なお姉さんでした。


「えっと……あなたは?」


 しかし、私がそう問い返すと、綺麗なお姉さんは黙り込んでしまいます。代わりに、今度はメドゥーサちゃんが答えました。


「このお方は、元老院の一体にして、【導者】の称号を持つ者、フェンリル。ワタシ達の探していたその人よ」


 一瞬、メドゥーサちゃんの言っている意味が分からず、呆然と見つめ返す私。


「……って、えええっ!? こ、この方があのフェンリル様!? で、でも狼じゃないですよね? 人の姿をして……」


「ああ。それなら問題はない。ありのままの姿では、この古家には入り切らないのでな。人化の魔法を使って、一時的に人の体を受肉しているだけだ」


 今度はちゃんと疑問に答えてくれた (正体はフェンリル)の銀のお姉さん。答えてくれる時とくれない時の判断基準が謎です。


「そ、そうなんですね……何だか急にファンタジーしてますね」


「あ、因みにお姉様達も人化出来るわよ? 私はまだ出来ないけど」


 メドゥーサちゃんが爆弾発言をかます。


「ええっ!?……って、もう驚き飽きましたよ。確かに、あの人? 蛇? さん達なら出来てもおかしくない気がします」


「あら、つまらない反応ね。もう少し驚いてくれても良かったのに」


 そう言って、少し残念そうに唸るメドゥーサちゃん。常に私を弄ろうとするのは、あの姉達に染められたからでしょうか? それとも弄られやすい私が悪いのでしょうか。


「それより、そちらのフェンリルさん? にお聞きしたい事があるんです」


 私が視線を向けると、彼女? は凛然とした表情のまま睨み返しました。


 その眼からは、とっとと要件を言え。という言外の圧を感じます。


「……えっと、あの時、森の中で私を誘導したのはあなたですよね? そして、黒狼に相対する様に仕向けたのもあなただ」


 そう言って、私は睨みを利かす。私は、この人? に罠に嵌められた訳なので、どうしてもその真意を聞き取っておきたかった。


「ふん。口を慎めよ人間。本来、私はお前如きが対等に視線を交わせる相手ではないのだぞ?」


 そう威圧的に言い放つフェンリルさんですが、その表情からはこちらを試しているかの様な視線が伺えました。

 

「では、私の勝手な解釈を失礼致します。あなたは、【導者】の称号を持つ者。言い換えれば、導き手。あの時あなたは、私を然るべき舞台に導いただけにすぎない。そうでしょう?」


「……ほう? 口だけでは無く、随分と頭も回るようではないか」


 その時、フェンリルさんは僅かに笑った様に見えました。

 

 


ご拝読頂きありがとうございます。誤字脱字の方ございましたらご指摘頂けますと幸いです。また、少しでも面白い!と感じて頂けましたら、いいねやブクマ。お星様を頂けますと大変励みになります♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ