ゴルゴーン三姉妹との交渉③
あれからのエウリュアレさん、なんて言うか見苦しかったというか……しつこかったというか。誤解を解くのに大変だった様で、私達の方から諫めるのも一苦労しました。
――ツンデレキャラ扱いされるのが、そんなに嫌だったのでしょうか?
「ありすん?? また、変な事考えてるでしょ? 躾が足らなかったかしら」
冷たい笑みを浮かべて私の方を凝視するエウリュアレさん。それが恐ろしくて、私は咄嗟にごめんなさい、と謝りました。
そういえば、私の呼び方はありすんで定着した様です。
エウリュアレさん以外に、そう呼ぶ方はいませんが。
……何と言うか、テンションがJKみたいですよね。
クラスに一人ぐらいは居て、カーストのトップにいる様な……
「気を取り直して、アナタの話を聞かせて頂戴。ありすん」
エウリュアレさんの一声で、一変した場の空気が真剣なものに戻っていく。
「交渉の続き……ですよね。とは言っても、私の条件は先程言った通り、貴女達に協力する代わりに、私をお嬢様を護れるぐらい強くして欲しいというもので……」
「はぁ。アナタは何を聞いていたのかしら? お姉も言ってたでしょ? 時には一人で抱え込まず誰かを頼る事だって……」
「はい。分かってます。皆さんのお陰で気付きました。だから、言葉を変えて再度お願いさせて下さい」
エウリュアレさんの言葉を途中で遮って、私は言った。
驚きに眼を開けたままのエウリュアレさんを放って、私は続ける。
「交渉です。ゴルゴーン三姉妹。ステンノー、エウリュアレ、そして、メドゥーサ。貴女達に、私の身を捧げます。ですので、私と協力して、共にお嬢様を助けてくださいませんか……」
沈黙が流れる。
つまらなそうに髪を梳いでいたメドゥーサちゃんも、神妙に一連を眺めていた。
ステンノーさんが感嘆に揺らめく。
エウリュアレさんはまだ納得がいかないのか、うむむ、と低く呻いていた。
だが、最初に沈黙を破ったエウリュアレさんの言葉は意外なものだった。
「まぁ、及第点ね。一応合格よ。身を捧げるとか気軽に言っちゃって……まるで、その意味を分かった気になっているのが気に入らないわ。他にも気に入らない点はあるけどね……これからじっくりと調教してその隠された裏腹をさらけ出してやるわ」
不承不承、といった様子で、エウリュアレさんは言いました。
「へぇ、エウリュアレが言うならワタクシからも異論は無いわ」
「うん、エウリュアレ姉様が言うなら問題なし」
エウリュアレさんの言葉に続いて、他の二人も何の疑いを見せる事無く頷きました。
――かなり、信頼されているのでしょうか? エウリュアレさん。
確かに、ステンノーさんとは別視点から、こちらの全てを見抜いている様な感覚がありましたが、予知に似た何か特別な力でもあるのでしょうか?
冷静に分析する私でしたが、己の事は全く見えていなかったようです。
今しがた、エウリュアレさんが私に対して言った事の意味を把握していませんでした。
だけど、少なくとも半分だけ認められたという事だけは、私にも分かったのです。
「そ、それでは……!!」
伺う様な私の期待の声に、ステンノーさんが答えました。
「ええ。ゴルゴーン三姉妹が長女。そして、【均衡を保つ者】の名に誓って、アリス。アナタの交渉に応じましょう。責任を持って、アナタを教育してあげます。その代わり、ワタクシ達の為にその身を捧げなさい。そうすれば、アナタとワタクシ達は血盟を結んだ者同士。アナタが窮地に瀕した時、必ずや助けに行くと誓いましょう」
これで、この章は終わりです。次話からはアリスの修行の章になりますね! 会話しかないこの章でしたが、次からは戦闘描写も入ってきます! お楽しみに!
それと、ブクマ、評価等も貰えていて、お陰で作者のモチベはずっとずっと最高潮です!!
誤字報告も多数頂いておりまして、全て適用させて頂きました!! 報告頂いた方、ありがとうございます!!
報告ですが、明日の朝二時の更新はお休みさせて頂きます。ご了承下さい。
後、二週間以内には十二万文字に届くと思いますので、これからもご応援よろしくお願い致します!!
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